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2016(平成28)年度一般会計決算を読む その6(内閣所管)

引き続き、一般会計決算を読んでいきます。
ここからは内閣、内閣府をはじめ、各省庁所管の歳出決算になるので、読むスピードが遅くなるかもしれませんが。

歳出 - 内閣所管

内閣所管合計
歳出当初予算: 1152億円
補正予算: 209億円
前年度繰越: 156億円
歳出予算現額: 1517億円
支出済額: 1389億円
翌年度繰越: 62億円
不用額: 66億円

内閣所管の歳出には、「内閣官房」「内閣法制局」「人事院」が含まれています。


内閣官房

  • 歳出予算額: 1233億円
  • 前年度繰越: 148.7億円
  • 歳出予算現額: 1381億円
  • 支出済額: 1258億円
  • 翌年度繰越: 62億円
  • 不用額: 61億円

 

この中で大きいのは「情報収集衛星業務費」になります。

情報収集衛星業務費」
  • 歳出予算額: 778億円
  • 前年度繰越: 32.3億円
  • 歳出予算現額: 810億円
  • 支出済額: 737億円
  • 翌年度繰越: 47.2億円
  • 不用額: 26億円
情報収集衛星施設費」
  • 歳出予算額: 15.4億円
  • 支出済額: 7.3億円
  • 翌年度繰越: 7.4億円
  • 不用額: 6539万円
拉致問題対策庁費」
  • 歳出予算額: 5億円
  • 支出済額: 3.8億円
  • 不用額: 1.2億円
拉致問題対策情報収集等活動費」
  • 歳出予算額: 6億円
  • 支出済額: 6億円
  • 不用額: 152万円

拉致問題の支出については、支出の内容が気になりますが。

「国家安全保障政策活動費」
  • 歳出予算額: 1.2億円
  • 支出済額: 5627万円
  • 不用額: 6373万円
「国際テロ情報収集等活動費」
  • 歳出予算額: 6.2億円
  • 支出済額: 1.8億円
  • 不用額: 4.4億円

「国際テロ情報等活動費」、予算の3割程度の支出しかありません。これは、予算の段階でどのような予算計上がされたのか、どのような活動が行われたのか、確認したいところです。

社会保障・税番号制度システム開発等委託費」
  • 歳出予算額: 99.4億円
  • 前年度繰越: 44.7億円
  • 歳出予算現額: 144.1億円
  • 支出済額: 143.2億円
  • 不用額: 9341万円

この「社会保障・税番号制度システム開発委託費」には、翌年度繰越額がありません。つまり2016年度で委託は終了した、ということなのでしょうか。これも、中身が気になります。

「サイバーセキュリティ施策評価事務委託費」
  • 歳出予算額: 1.9億円
  • 支出済額: 0円
  • 翌年度繰越: 1.9億円
  • 不用額: 15万円

これは年度中に支出されずに、ほぼ全額が翌年度に繰り越されています。事務委託先が見つからなかった、ということなんでしょうか。これも中身が気になるところ。

 

内閣法制局

  • 歳出予算額: 12.6億円
  • 支出済額: 12.4億円
  • 不用額: 1828万円

「不用額は、庁舎維持管理における水光熱費が予定を下回ったこと等」という説明がついてます。庁費で865万円の不用額を計上しています。

 

人事院

  • 歳出予算額: 116億円
  • 前年度繰越: 7億円
  • 歳出予算現額: 123億円
  • 支出済額: 118億円
  • 不用額: 4.9億円

人件費以外では、「情報処理業務庁費」というものが増額になっています。

「情報処理業務庁費」
  • 歳出予算額: 29.0億円
  • 前年度繰越: 7億円
  • 他項目からの流用額: 1.5億円
  • 歳出予算現額: 37.5億円
  • 支出済額: 37.5億円
  • 不用額: 6.8万円

これは「確定拠出年金法を改正する法律の施行等に伴い、人事・給与等に係るシステム改修のため」と説明されています。これも翌年度繰越はありません。

以上が内閣所管の歳出の主なものになります。

2016(平成28)年度一般会計決算を読む その5

引き続き、2016(平成28)年度一般会計決算を読んでいきます。

決算–国会所管(2)

国立国会図書館

  • 歳出予算額: 195億円
  • 前年度繰越: 3億円
  • 予算総額: 198億円
  • 支出済歳出額: 189.7億円
  • 翌年度繰越額: 2.4億円
  • 不用額: 5.5億円

職員の人件費として、歳出予算額が96.6億円、支出済額は93.4億円、不用額は3.2億円となっています。

資料購入費、資料費、資料整備費、納入出版物代償金などを合わせると、歳出予算額24億円、支出済額は23.9億円、不用額は863万円となっています。

施設費は、予算額14.2億円に繰越額3億円を加えて17.3億円、支出済額は14.8億円、2.4億円を翌年度繰越として、不用額は1.3億円、となっています。

 他に国会所管の予算・決算として計上されているものに「裁判官訴追委員会」「裁判官弾劾裁判所」があります。裁判官は、職権の独立を憲法上明示されています(第76条)。
また、憲法第78条に「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。」とされています。

この「公の弾劾」を行うために「裁判官弾劾法」があり、これによって訴追委員会、弾劾裁判所が設置されています。

裁判官訴追委員会
http://www.sotsui.go.jp/index.html
裁判官弾劾裁判所
http://www.dangai.go.jp


裁判官訴追委員会

  • 歳出予算額: 1.2億円
  • 支出済額: 1.2億円
  • 不用額: 532万円

裁判官弾劾裁判所

  • 歳出予算額: 1.1億円
  • 支出済額: 1.0億円
  • 不用額: 401万円

歳出は、殆どが人件費、旅費、雑費で締められています。


歳出–裁判所所管

続いては、裁判所所管の歳出を見ていきます。

  • 歳出当初予算: 3175億円
  • 前年度繰越額: 81億円
  • 歳出予算総額: 3256億円
  • 支出済額: 3112億円
  • 翌年度繰越額: 81億円
  • 不用額: 63億円


最高裁判所

  • 歳出予算総額: 737.0億円
  • 支出済額: 714.1億円
  • 不用額: 22.9億円

下級裁判所

  • 歳出予算総額: 2054億円
  • 支出済額: 2038億円
  • 不用額: 16億円

検察審査費

  • 予算総額: 3.2億円
  • 支出済額: 2.6億円
  • 不用額: 5535万円

以上の3項目は、人件費がかなり多くを締めています。最高裁判所の歳出には、「司法修習生研修委託費」や「司法修習生旅費」なども含まれています。なお、「国家公務員共済組合」等の負担金は、下級裁判所の決算明細には載っておらず、全て最高裁判所の決算明細にまとめられているようです。

裁判費

  • 歳出予算総額: 190億円
  • 支出済額: 171億円
  • 不用額: 18億円

これが、実際の裁判が行われる時の費用でしょうか。諸謝金19億円、裁判庁費で122億円が支出されています。

裁判所施設費

  • 算額: 191億円
  • 繰越額: 79億円
  • 歳出予算総額: 271億円。
  • 支出済額: 184億円
  • 翌年度繰越額: 81億円
  • 不用額: 5.3億円


歳出–会計検査院所管

会計検査院

  • 歳出当初予算額: 168億円
  • 補正予算額: −3億円
  • 前年度繰越額: 1.5億円
  • 歳出予算総額: 167億円
  • 支出済額: 161億円
  • 翌年度繰越額: 7242万円
  • 不用額: 5.2億円

「休職者給与」という項目がありますが、予算額1427万円に対し、支出済額が2164万円とオーバーしています。「休職者が多かったため」という理由が記されてますが、ちょっと気になったり。
不足分は「退職手当」と「国家公務員共済組合負担金」から流用して充当されています。

検査旅費

  • 歳出予算総額: 5.1億円
  • 支出済額: 4.2億円
  • 不用額: 8671万円

会計検査情報処理業務庁費

  • 歳出予算総額: 7億円
  • 支出済額: 5.5億円
  • 不用額: 1.5億円

会計検査院施設費

  • 歳出予算額: 1.3億円
  • 前年度繰越: 5955万円
  • 歳出予算総額: 1.9億円
  • 支出済額: 1.1億円
  • 翌年度繰越: 7242万円
  • 不用額: 1359万円

会計検査院の決算については、業務の内容も考え合わせないと、なんとも言えないところではありますが。やはり「休職者が多かった」が気になります。

2016(平成28)年度一般会計決算を読む その4

引き続き、一般会計決算の明細を読んでいきます。ここからは、国会が所管する歳出を見ていきます。

歳出–国会所管

国会が所管する歳出は、衆議院参議院国立国会図書館裁判官訴追委員会裁判官弾劾裁判所が含まれています。
国会の歳出予算は1379億円、繰越額が4.9億円、予算総額は1383億円となってます。
それに対する支出済額は1335億円。翌年度繰越額が3.8億円、不用額は44.6億円となっています。

衆議院

衆議院の歳出予算は737億円、繰越額1.4億円を合わせて予算総額は739億円。
支出済額は715億円、翌年度への繰越額は8283万円、不用額23億円となっています。

よく話題になる「議員歳費」は歳出予算102億円、「議員秘書手当」からの流用額6235万円を加えて103億円。支出済額もほぼ同額の103億円ながら、不用額として663円が計上されています。
これは法律の施行によって歳費が増加したためで、増加の内容は、以下の概要に示されています。

「特別職の職員の給与に関 する法律の一部を改正する 法律」概要
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/h281116tokubetu_gaiyou.pdf

この概要によると、審議官の棒給月額の引き上げ、総理大臣等の特別級(ボーナス)の引き上げ、となっています。

議員秘書手当」は、歳出予算額122億円ですが、上に記した「議員歳費」への流用額があるので、総額は121億円となります。支出済額は118億円。差額3億円は不用額となっています。

議員秘書退職手当」が予算3.7億円に対して、支出済額が1.3億円。2.4億円分が不用額となっています。これは、明細書に説明はありませんが、退職する議員秘書が少なかった、ということでしょうか。

「議員旅費」は予算額3.2億円、支出済額1.8億円。不用額1.4億円となっています。
6割程度しか支出されていませんね。

「議員文書通信交通滞在費」は予算額57億円、支出済額56.95億円。500万円が不用額となっています。

「議員特殊乗車券等交通費」は予算額8.7億円、支出済額8.6億円。不用額1797万円となってます。

国勢調査活動費」は、予算額4.1億円、支出済額2.2億円。不用額が1.9億円。

以上が国会議員の議員活動に関わる歳出でしょうか。上記分を合わせると予算総額300.9億円。それに対して支出済額が291.7億円となっていて、9億円が不用額となっています。

「職員基本給」は、予算額84億円、職員手当分として2800万円を流用し、支出済額は83.9億円。不用額は1326万円。

「職員諸手当」は予算額41.2億円に上記「基本給」からの流用額を足して総額41.5億円。
支出済額41.4億円で、不用額は399万円、となっています。

「超過勤務手当」は、予算額14.3億円、支出済額12.8億円、不用額1.5億円です。

職員の人件費をまとめると、歳出予算として、190.4億円。実際の支出済額は180.9億円。不用額が9.5億円、となっています。

衆議院には「列国議会同盟分担金」という項目があります。
参議院のページには、「列国議会同盟 (IPU)」についての簡単な解説があります。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/aramashi/keyword/ipu.html
主権国家の議会による国際組織」ということで、178の議会が参加、年2回会議を開き、議会制度の充実、国際的な課題についての議論を行っているようです。
歳出予算は1.36億円、決算もほぼ同額の1.36億円、不用額900円が計上されてます。
「なぜ900円余った?」という疑問も浮かびますが。

衆議院施設費」は予算額91億円に繰越額1.4億円を足して総額92億円。支出済額が91億円となっていて、翌年繰越額8283万円、不用額4351万円、となっています。
「施設費」の内訳で気になるのは、「不動産購入費」。予算で80億円が計上され、ほぼ同額が支出されています。不用額は100万円。予算で計上され、ほぼ予算通りの支出が行われているので、これは予算成立時点で購入が決まっている物件ではあるのですが、内容が気になります。

というわけで、財務省の資料を探すと、「民家資金等活用衆議院施設整備等事業費」という項目が立てられていて、議員会館などの整備事業として予算が計上されています。これは2005(平成17)年度から15カ年度(2019年度まで)かけて議員会館等の整備事業に対する支出、ということのようです。
総額1097億円のうちの、2016年度分を「不動産購入費」として当てているようです。


参議院

参議院の歳出予算額は、補正予算合わせて444.6億円。前年度繰越額4244万円を合わせて、予算の総額は445億円。対して支出済額は429億円、翌年度繰越額が5054万円、不用額16億円、となっています。

「議員歳費」は予算額52億円、流用額2344万円、支出済額はほぼ全額52億円ですが、不用額212円が計上されています。

議員秘書手当」は、予算額61億円、2344万円が「議員歳費」へ流用され、予算総額は60.8億円。支出済額は59.5億円となっていて、不用額が1.2億円、となってます。

議員秘書退職手当」が予算額8.6億円に対して、支出済額5.0億円。不用額は3.6億円です。

「議員旅費」は、予算額1.6億円に対して、支出済額8931万円、不用額7265万円となっています。

「議員文書通信交通滞在費」は、予算額29.7億円に対して、支出済額29.5億円。不用額1700万円です。

「議員特殊乗車券等購入費」は、予算額4.5億円に対して、支出済額もほぼ満額の4.5億円。不用額14万円が計上されています。

国勢調査活動費」は、予算額2.5億円に対して支出済額1.8億円。不用額6563万円となっています。

以上の歳出を足してみると、予算額161億円に対して、支出済額が155億円、6.6億円が不用額、ということになります。全体を通して、衆議院の約半分程度、ということになります。これは所属議員の数から見て妥当なところでしょう。

「職員基本給」は予算額64.6億円、そのうち「職員諸手当」への流用額618万円を差し引いて、予算総額は64.5億円。支出済額は64.2億円で、不用額3802万円です。

「職員諸手当」は予算額31.9億円に、上記の流用額を加えて32億円弱。支出済額も四捨五入して32億円。不用額は126万円になっています。

「超過勤務手当」は、予算額11.2億円に対して、支出済額が9.7億円。不用額は1.6億円です。

職員の人件費を合わせると、歳出予算額は144.1億円、支出済額は140.1億円、不用額は4億円、となっています。

参議院には「国有資産所在市町村交付金」というのがあります。
これは、地方にある国の固有資産(土地、家屋及び償却資産)について、「国有資産等所在市町村交付金法」というのがあって、それに従って支払われます。
歳出予算額2.96億円、支出済額も2.96億円、不用額500円が残っています。

参議院施設費」の総額は、予算額54.6億円に前年度繰越額4244万円を合わせて予算総額55億円、支出済額54.4億円、繰越額5053万円、不用額1088万円、となっています。

その中の内訳として、こちらでも「不動産購入費」が計上されていて、予算額43億円に対して支出済額もほぼ満額の43億円、不用額が364円、となっています。
こちらも衆議院と同様、「参議院施設整備等事業費」として、同じく2005年度から2019年度までの15カ年度に渡る予算計上で、こちらは全体で616億円に及ぶ予算額になっているようです。

とりあえず、今日はここまで、ということで。

2016(平成28)年度一般会計決算を読む その3

2016(平成28)年度決算を、引き続き見ていきます。歳出を、あれこれ見ていこうと思います。

 

歳出–皇室費

 

皇室費には予算額補正予算含む)として67億円が計上され、前年度繰越額3億円、予備費2億円を合わせて総額72億円が予算総額になります。

それに対する支出済額は、54億円。15億円を翌年度繰越とし、不用額が4億円、となっています。

 

その内訳は、大きく「内廷費」「皇族費」「宮廷費」に別れます。

 

内廷費

内廷費」3億2400万円は、天皇・内廷にある皇族の日常の費用に当てられるもので、法律(皇族経済法、皇族経済法施行法)によって定額が定められているものです。前年度繰越もなし、予備費の使用もなし。支出済額も同額の3億2400万円で、繰越金なし、不用額なしとなっています。

皇室経済法」では内廷費の範囲を「天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族」としているので、いわゆる直系を「内廷にある皇族」としているのでしょう。

 

これについては、天皇・内廷皇族の日常生活のためのお金で、これは「公金ではない」ということになっているので、その明細についても明らかにはなっていません。ま、「家計費」のようなもので、根掘り葉掘りするのも野暮、というものだと思います。

 

皇族費

そして「皇族費」は、その他の皇族に「品位保持の資に充てるため」独立の生計を営む皇族に支出するもので、これも法律によって年額が定められ、その家族構成によって各宮家に支出される金額は変動します。

「皇族」として、2018年現在では「秋篠宮家」「常陸宮家」「三笠宮家」「高円宮家」への皇族費が計上されています。この費用も、それぞれの宮家の「家計」に当たるものとして、明細はありません。

 

2016年度の歳出予算は2億2362万円。対して支出済額も同じく2億2362万円。ですが、明細を見ると、168円余らせてます。この余りは何でしょうか。ちょっと不明。予算額通りきっちり支出しても良さそうなものですが。

 

宮廷費

宮廷費」は、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てるもの(皇族経済法)だそうで、儀式、国賓・公賓の接遇、行幸、外国訪問などの公的活動の費用、皇室用財産の管理、施設の整備の経費などで、これは宮内庁が公金として経理を行っています。

これが皇室費の殆どを占めていて、予算62億円+繰越金3億円+予備費2億円となっていて、歳出予算総額67億円。支出済額は48億円となっていて、15億円が翌年度に繰り越されています。

 

不用額が3億7520万円。これは、明細書に「契約価格が予定を下回ったので、施設整備費を要することが少なかったこと等のため」と説明されています。

施設整備費には、予算額27億円+繰越金3.3億円+予備費3368万円で、予算総額30.8億円。対する支出済額が13.8億円で、余剰のうち15億円が翌年度の繰越金、不用額が1.5億円となっています。

 

その他に不用額が大きいものは、「庁費」が予算総額19億円に対して支出済額18億円。繰越2086万円に対して不用額1.1億円となっています。

「庁費」というのは、職員が仕事するための細々とした支出をまとめたものだそうで、備品費、図書購入費、消耗品費、被服費(制服とか、貸与される衣類なのだろうな)、郵便料・通信費、水光熱費、機器リース料、燃料費などなどを引っくるめたものだそうです。いろいろ節約しているのでしょうか。

 

「各所修繕費」も予算総額13億円に対して支出済額12.5億円。繰越なしで、不用額5644万円。

その他「諸謝金」「報償費」「招宴費」「自動車重量税」(ちゃんと払ってます)「交際費」などが、宮廷費の内訳として計上されています。

 

宮内庁に関しては、内閣府の所管官庁として、別枠で決算報告が出されています。こちらは、ざっと見たところほぼ人件費です。あとは宮内庁病院の経費とか、ですな。のちのち、ゆっくり見ることにしてみます。

2016(平成28)年度一般会計決算を読む その2

引き続き、2016年度の決算書を見ていきます。

数字は端数を四捨五入してますので、差額が合わない数字もありますが、ご了承を。

 

歳入(つづき)

 

前回の記事の中で「官業益金及官業収入」というのがありますが、これは国立病院の収入(宮内庁病院、国立障害者リハビリテーションセンター病院、国立ハンセン病療養所病院、防衛省病院、国立保養所診療所)と、林野事業収入が含まれます。

 

「政府資産整理収入」には、国有財産(土地・船舶・航空機・建物・工作物・立木竹)の売り払い収入が含まれています。予算総額3179億円に対して、決算額3842億円。662億円のプラスです。

そのうち「土地売り払い代」は、予算総額434億円に対して、決算額540億円。106億円のプラスになってます。

また、「政府資産整理収入」の中には「東日本大震災復興国有財産売払収入」という項目があり、予算総額646億円に対して、決算額1130億円。484億円増えてます。これは、具体的に何を(どこの土地を、どんな建物を)売ったのか、ちょっと気になるところです。

「回収金等収入」の項目には、特別会計整理収入、貸付金の償還収入、独立行政法人や国立雨開発研究法人からの出資金回収収入などが含まれています。

 

「雑収入」には国有財産の貸付料、入場料、利用料などの収入があります。

また、その中に「公共事業負担金」という項目の収入があります。何かと思ったら、どうやら「直轄事業負担金制度」という制度があり、国の実施する直轄公共事業の費用の一部を、地元自治体が支出する制度で、つまり国の直轄公共事業に対する、地元自治体からの負担金の納入額、ということでしょう。

 

後、雑収入には「電波利用料収入」という項目もあります。予算総額は、716億円。それに対する決算額は、762億円となっていて、47億円の増収となっています。

 

「交通反則者罰金」というのがあって、予算総額646億円(予算がついてる、ことも気になるが)に対して、決算額577億円。68億円のマイナス、ということになっています。これ、内閣府所管になってますね。

 

あとは「あへん売払代」という項目もあったり。厚生労働省所管ということで、国が売買を管理している(薬剤として)ということでしょうか。これにも予算総額22億円が計上されています。決算額14億円。8億円弱のマイナスです。

 

「刑務所作業収入」という項目もあります(法務省所管)。予算総額40.7億円に対して、決算額39.8億円。マイナス8547万円です。

 

 かなり大ざっぱですが、まずは大枠のみで。

次は歳出を見ようかな、と思ってます。

 

 

2016(平成28)年度一般会計決算を読む 1

2016年度一般会計決算を読んでみようか、と思い立ったりして。毎年、政府の年度予算の話題はニュースになり、大雑把な数字が大きく報道されるのだが、「決算」については殆ど報道されることがない。そのことが、時々妙に気になってしまう。


「決算」については、衆議院に「決算行政監視委員会」、参議院に「決算委員会」が設けられてそこで審議されているのだが、衆議院のホームページなどを見ても、あまり活発な審議がされているようには見えないし、それでも「決算」は、立てられた予算が、どのように使われたのか、あるいは使われなかったのか、を示す大事なデータであるとも思うので、時間をかけて読んで見ようと思う。


今が「平成30年度」で、昨年度の「平成29年度決算」は、まだ委員会に付託されたばかりで審議も進んでいないし。という訳で「平成28年度」の決算を、財務省のホームページから引っ張り出して読むことにする。

しかし、2016年度の決算報告書、昨年の特別国会に提出され、現在も衆議院で審議中だそうで、あまりスピード感はなさそう。これでは決算結果の評価を次回の予算に反映させることは困難であるし、きめ細かい審議もできているのかどうか、かなり不安。


とにかく、読んでみましょうか。

 

2016年度の歳入予算は、

  • 歳入当初予算額 96兆7218億円
  • 予算補正追加額 5兆5744億円
  • 予算補正修正減少額 △2兆0742億円
  • 前年度繰越額   3兆5919億円
  • 最終予算額 100兆2220億円

それに対して、歳入決算額は、102兆7740億円。2兆5520億円の増額になっています。


次は歳出額なんですが。

  • 歳出当初予算額  96兆7218億円
  • 予算補正追加額  6兆0585億円
  • 予算補正修正減少額 △2兆5583億円
  • 歳出予算現額   103兆8139億円  となってます。

これに対する支出済歳出額は、97兆5418億円です。

歳入の決算額は、上の通り103兆円足らず。歳入と歳出の最終差額は、6兆2722億円になります。この差額は、「予算を確保しながら使われなかった額」ということになり、一部は翌年度へ繰り越され、残りは不用額として計上されています。

2016年度決算では、4兆7390億円が翌年度へ繰り越され、1兆5332億円が不用額として計上されています。繰越額は、省庁ごとに、複数年度にまたがる予算については同じ項目への繰越という形でなされてます。

不用額については「お金が余った」ということにある訳ですが、その余ったお金はどこへ行くのか、そこはまだ良く分かりません。


では、まずは歳入から見ていきます。


歳入


租税収入は、54兆8080億円の予算額に対し、収納済決算額は、54兆3895億円。4185億円の収入減、となっています。主な項目別の歳入額を、一覧にしてみます。

 

租税収入(所得税法人税、消費税、相続税、酒税、たばこ税、揮発油税自動車重量税、その他の税を含む)

  • 算額  54兆8080億円
  • 算額  54兆3895億円
  • 差額     -4185億円

 

所得税収入

  • 算額  17兆7100億円
  • 算額  17兆6111億円
  • 差額     -989億円

 

消費税収入

  • 算額  16兆8010億円
  • 算額  17兆2282億円
  • 差額    +4272億円

 

相続税

  • 算額  2兆1100億円
  • 算額  2兆1314億円
  • 差額    +214億円

 

法人税

  • 算額  11兆1360億円
  • 算額  10兆3289億円
  • 差額    -8071億円

 

酒税

  • 算額  1兆3590億円
  • 算額  1兆3195億円
  • 差額    -395億円

 

たばこ税

  • 算額  9230億円
  • 算額  9142億円
  • 差額    -9億円

 

揮発油税

  • 算額  2兆3860億円
  • 算額  2兆4342億円
  • 差額    +482億円

 

自動車重量税

  • 算額  3850億円
  • 算額  3915億円
  • 差額   +65億円

 

印紙収入

  • 算額  1兆0520億円
  • 算額  1兆0791億円
  • 差額     +271億円

 

官業益金及官業収入

  • 算額  447億円
  • 算額  470億円
  • 差額  +24億円

 

政府資産整理収入

  • 算額  3179億円
  • 算額  3842億円
  • 差額   +663億円

 

雑収入(日本銀行納付金、日本中央競馬会、その他を含む)

  • 算額  4兆6673億円
  • 算額  4兆8946億円
  • 差額    +2272億円

 

日本銀行納付金

  • 算額  5351億円
  • 算額  4814億円
  • 差額   -537億円

 

日本中央競馬会

  • 算額  2595億円
  • 算額  2973億円
  • 差額   +378億円

 

公債金

  • 算額  39兆0340億円
  • 算額  38兆0346億円
  • 差額      -1兆円

 

前年度剰余金受入

  • 算額    2975億円
  • 算額   3兆9450億円
  • 差額   +3兆6475億円

 

所得税法人税は予算額より減額となっています。

揮発油税ガソリン税)、自動車重量税が増額となっているのは、ネットなどの通販の広がりによる、運送業の業務の増加の影響もあるのでしょうか。

詳細については、他のデータも引っ張ってきて検証する必要があるわけですが。

 

所得税、消費税それぞれ17兆円に対して、法人税10兆円を、どう考えるか、というのはあるでしょうが、しかしそれは予算の段階でも明らかになっている訳で。

 

また、追って読み進めていこうと思います。

 

「労働時間」という数字の基準点を探って

結局、データの信頼性に対する疑念もスッキリ解決されないままに衆議院を通過した「働き方改革法案」。本来ならば、間違った資料に基づいて議論されて法案を取りまとめた「労働政策審議会」に、一旦戻して再論議をするべき事態なのですが、政府・自民・公明両党は「間違ったデータに基づいた法案」を通してしまいました。
国会で、「国民のための議論」がなされたのかどうか、低級な議論から前に進まないままに法律が可決されてしまう、今の国会の現状には、一国民としては自分の身を守るために動くしかないかな、とも考えています。自分は国家に守られなさそうだから。


取りあえず、「時間」についての数字を並べておきます。

1日の時間 : 24時間
1ヶ月の時間 : 24x30=720時間、24x31=744時間、24x28=672時間
1年の時間 : 24x365=8760時間、24x366=8784時間

1日の労働時間を8時間とした時の、基準となる時間

1ヶ月の労働時間(完全週休2日) : 8x(30-8)=176時間、8x(31-8)=184時間
1ヶ月の労働時間(週休1日) : 8x(30-4)=208時間、8x(31-4)=216時間
※ その他の就業形態は、すみませんが計算してください。

祝日の数 : 元旦、成人の日※、建国記念日春分の日、昭和の日、憲法記念日みどりの日、こどもの日、海の日※、山の日、敬老の日※、秋分の日、体育の日※、文化の日勤労感謝の日天皇誕生日、の16日(※印は月曜日の祝日:4日)

1年の労働時間(完全週休2日+全祝日が平日(16日)) : 8x(365-104-16)=1960時間
1年の労働時間(完全週休2日+全祝日が平日(16日)+1月2日、3日、8月13−16日、12月30,31日が休日) : 8x(365-104-16-8)=1896時間
1年の労働時間(完全週休2日+全祝日が土曜日(祝日が4日) : 8x(365-104-4)=2056時間


1年の労働時間については、暦や労働契約によっていろいろな条件があり、また労働者自身の「求める働き方」の違いもあるので、たぶん「最適な働き方」の基準を一律に決めることは難しいでしょう。

ただ、労働者の「働き方改革」を謳うのならば、それは経営者の「働かせ方改革」であってはならない、と思います。そう考えると、国会の審議に上がっている法案は、特に「高プロ制度」というのは、会社が指示する「働かせ方」から生じる労働問題を、労働者側へ転嫁する「働かせ方改革」としか思えません。

上に上げた数字が、「労働時間」を巡る論議の指標となれば、と思って、ここに残しておきます。
計算式のコピペ、引用、リンクは自由、ということにしておきますので。