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なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

決算書に見る「統計調査」

「毎月勤労統計」や「賃金構造基本統計」の不正、不適切な統計操作が話題になっていますが、ついでなので2016年度の決算報告書から、厚生労働省で支出された統計調査に関する決算項目をピックアックしてみます。

厚生労働本省–本省共通費

項目 算額 支出済額 不用額
厚生労働統計調査費 8.82億円 8.47億円 3520万円
厚生労働統計調査委託費 4005万円 3896万円 109万円
国民生活基礎調査等委託費 19.75億円 19.56億円 1952万円
毎月勤労統計調査委託費 8.83億円 8.83億円 0円

厚生労働省都道府県労働局

項目 算額 支出済額 不用額
統計調査員手当 9167万円 8647万円 521万円
厚生労働統計調査費 1143万円 990万円 153万円

ま、これだけでは、それぞれの予算がどのように使われたかははっきりしませんが、それなりに予算を使用して取り組んでいることが(好意的にみれば)分かります。気になるのは、「毎月勤労統計調査委託費」だけが全額支出済で不用額が0円なこと。

厚生労働省のホームページを探しても、この「毎月勤労統計調査委託費」がどこに支払われているのかは、判然としません。引き続き、なるべく時間を作って追いかけてみようかな、と思っていますが。

まあ、自分ひとりでできることも少ないし。
今日の所は、取り急ぎ。

「基幹統計」、どういうのがあるのか、ご存じですか?

「基幹統計」で検索すると、まずは総務省のページがヒットします。その他にはニュースサイトと、地方自治体のサイト。個人のブログなどは検索上位に出てきませんね。

とりあえず、「基幹統計」の全体像を知る手がかりとして、総務省のホームページが公開している「基幹統計一覧」をコピペして、ここに貼っておこうかと。

全部で56の統計。この内6つは、他の統計を加工することによって得られる「加工統計」だそうで。
さて、不正があった23統計って、ニュースサイトは一覧を掲載しているでしょうか? どれが、不正が行われた統計なんでしょうね?

基幹統計一覧

内閣府 ≪1≫

国民経済計算  (注1)
(注1)国民経済計算、産業連関表、生命表社会保障費用統計、鉱工業指数及び人口推計は、他の統計を加工することによって作成される「加工統計」であり、その他の統計は統計調査によって作成される。

総務省 ≪14≫

国勢統計
住宅・土地統計
労働力統計
小売物価統計
家計統計
個人企業経済統計
科学技術研究統計
地方公務員給与実態統計
就業構造基本統計
全国消費実態統計
社会生活基本統計
経済構造統計  (注2)
産業連関表  (注1)(注3)
人口推計  (注1)(注4)

(注1)国民経済計算、産業連関表、生命表社会保障費用統計、鉱工業指数及び人口推計は、他の統計を加工することによって作成される「加工統計」であり、その他の統計は統計調査によって作成される。
(注2)経済構造統計は、総務省の外、経済産業省も作成者となっている。
(注3)産業連関表は、総務省の外、内閣府金融庁財務省文部科学省厚生労働省農林水産省経済産業省国土交通省及び環境省も作成者となっている。
(注4)人口推計は、平成28年10月18日に基幹統計として指定された。なお、この指定は平成29年度に公表するものから効力を生じることとしている。

財務省 ≪1≫

法人企業統計

国税庁 ≪1≫

民間給与実態統計

文部科学省 ≪4≫

学校基本統計
学校保健統計
学校教員統計
社会教育統計

厚生労働省 ≪9≫

人口動態統計
毎月勤労統計
薬事工業生産動態統計
医療施設統計
患者統計
賃金構造基本統計
国民生活基礎統計
生命表  (注1)
社会保障費用統計  (注1)
(注1)国民経済計算、産業連関表、生命表社会保障費用統計、鉱工業指数及び人口推計は、他の統計を加工することによって作成される「加工統計」であり、その他の統計は統計調査によって作成される。

農林水産省 ≪7≫

林業構造統計
牛乳乳製品統計
作物統計
海面漁業生産統計
漁業構造統計
木材統計
農業経営統計

経済産業省 ≪10≫

工業統計
経済産業省生産動態統計
商業統計
ガス事業生産動態統計
石油製品需給動態統計
商業動態統計
特定サービス産業実態統計
経済産業省特定業種石油等消費統計
経済産業省企業活動基本統計
鉱工業指数  (注1)
(注1)国民経済計算、産業連関表、生命表社会保障費用統計、鉱工業指数及び人口推計は、他の統計を加工することによって作成される「加工統計」であり、その他の統計は統計調査によって作成される。

国土交通省 ≪9≫

港湾統計
造船造機統計
建築着工統計
鉄道車両等生産動態統計
建設工事統計
船員労働統計
自動車輸送統計
内航船舶輸送統計
法人土地・建物基本統計

≪合計 56≫

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その4 エネルギー対策

エネルギー対策(内閣府文部科学省経済産業省環境省所管)

特別会計」を見る前に、訂正を一件しておきます。以前の文章の中で、「一般会計からの繰入総額」のところで計算ミスがありました。
「エネルギー特別会計への繰入」総額は、9282億円でした。前のブログでも、訂正しておきます。
エネルギー対策特別会計」は、「エネルギー需給勘定」「電源開発促進勘定」「原子力損害賠償支援勘定」に分かれています。


エネルギー対策–エネルギー需給勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
一般会計より繰入 6370億円 6370億円 0円
石油証券及び借入金収入 1兆5915億円 1兆4183億円 -1732億円
備蓄石油売払代 417億円 93億円 -324億円
雑収入 148億円 562億円 +414億円
前年度剰余金受入 1947億円 4393億円 +2446億円
歳入合計: 2兆4797億円 2兆5601億円 +805億円

「一般会計より繰入」は、資源エネルギー庁からの「燃料安定供給対策…」と、環境省からの「需給構造高度化対策…」を足し合わせると、この金額になるようです。
「石油証券及び借入金収入」のマイナスは「石油証券の借換発行額が予定より少なかったこと等」のため、とあります。「備蓄石油売払代」のマイナスは「国家備蓄石油の油種入替事業に係る備蓄石油の売払いがなかったこと等」のため、となっています。
「雑収入」の中では、「石油公団の解散」に伴う債権整理収入、株式配当金収入が予定額を上回ってプラスになっていることが、プラスの主な要因になっています。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
燃料安定供給対策費 3047億円 245億円 1782億円 270億円 1239億円
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構出資金 684億円 684億円 0円
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構運営費 142億円 142億円 0円
エネルギー需給構造高度化対策費 4162億円 1080億円 3531億円 445億円 1257億円
(研)新エネルギー・産業技術総合開発機構運営費 1218億円 1218億円 0円
事務取扱費 21億円 12億円 9億円
諸支出金 20万円 1520円 20万円
融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入 9000円 9000円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 1兆5513億円 1兆4501億円 1012億円
予備費 10億円 0円 10億円
歳出合計: 2兆4797億円 1325億円 2兆1871億円 715億円 3536億円

「燃料安定供給対策費」には、「備蓄石油増強対策事業費」「石油備蓄事業補給金」などの他、「石油資源開発技術等研究調査等委託費」「産油国等連携強化促進事業費補助金」「石油製品販売業構造改善対策事業費等補助金」などが含まれています。
あと「国際エネルギー機関等拠出金」も。

独立行政法人、国立研究開発法人には、ホームページがあります。
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
「国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)」

「エネルギー需給構造高度化対策費」には、「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金」など「非化石エネルギー」に関する支出、「エネルギー使用合理化設備導入促進等対策費補助金」など「エネルギー使用合理化」に関する支出、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」などが含まれています。
あと「国際再生可能エネルギー機関分担金」なども。
こちらにも「国際エネルギー機関等拠出金」という項目があります。上の同じ項目とは異なった機関に拠出されているのか、同じ拠出先ながら名目上で振り分けられているのか、これだけではわかりません。

以上の内容には補助金交付金、委託費などが多く組み込まれていて、詳しい支出先を知るにはそれぞれの調達情報に当たる必要があるようです。

「事務取扱費」には、人件費が含まれています。この中にも、「一般会計へ繰入」67万円があります。
ここにも「融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入」という項目があります。わずか9,000円ですが、どこへ回ってるんでしょうねえ。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は3731億円になります。この剰余金は、うち3.69億円を一般家計の歳入に繰り入れ、残額の3727億円を翌年度の歳入に繰り入れる、と言うことになっているそうです。


エネルギー対策–電源開発促進勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
他会計より受入 2913億円 2913億円 0円
うち電源立地対策財源一般会計より受入 1440億円 1440億円 0円
うち電源利用対策財源一般会計より受入 1066億円 1066億円 0円
うち原子力安全規制対策財源一般会計より受入 407億円 407億円 0円
周辺地域整備資金より受入 230億円 134億円 -97億円
雑収入 11億円 18億円 +7億円
うち返納金 3万円 8億円 +8億円
前年度剰余金受入 302億円 618億円 +315億円
歳入合計: 3458億円 3682億円 +227億円

「一般会計より受入」の項目が、こちらでは対策別に項目が立てられています。「内閣府」からの100億円、「文部科学省」からの1078億円、「資源エネルギー庁」からの1417億円、「原子力規制委員会」からの318億円を合わせると、総額2913億円になります。
「雑収入」の中の「返納金」は、「電源立地等推進対策補助金の返納金があったこと等のため」となっています。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
電源立地対策費 1735億円 26億円 1566億円 27億円 167億円
電源利用対策費 188億円 2億円 166億円 15億円 10億円
原子力安全規制対策費 359億円 27億円 293億円 17億円 76億円
(研)日本原子力研究開発機構運営費 915億円 915億円 0円
(研)日本原子力研究開発機構施設整備費 12億円 1億円 13億円 0円 0円
事務取扱費 242億円 10億円 215億円 1億円 35億円
諸支出金 42万円 17万円 24万円
予備費 5億円 0円 5億円
歳出合計 3456億円 66億円 3168億円 61億円 293億円

「電源立地対策費」には「原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金(支出済:350億円)」、「電源立地地域対策交付金(支出済:831億円)」などが含まれています。
「電源利用対策費」には「軽水炉等改良技術確証試験等委託費(支出済:104億円)」、「放射性廃棄物処分基準調査等委託費(支出済:42億円)」、「ウラン炭鉱支援事業費等補助金(支出済:5億円)」などが含まれています。
原子力安全規制対策費」には、「原子力施設等防災対策等交付金(支出済:144億円)」、「原子力施設等防災対策等委託費(支出済:117億円)」などが含まれています。
毎度のように差し込まれる「等」や、実際の支出先はどこになっているのか、いろいろ気になりますが。
「事務取扱費」には人件費も含まれています。他に予算計上していなかった「移転費」も。これは「原子力安全人材育成センター等を移転する必要が生じたため」となっていて、「原子力安全業務庁費から1.8億円が流用され、1.8億円が支出されています。

ホームページへのリンク:「国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 (JAEA)」

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は515億円。これは翌年度の歳入に繰り入れることになっています。


エネルギー対策–原子力損害賠償支援勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
原子力損害賠償支援資金より受入 132億円 39億円 -94億円
原子力損害賠償支援証券及び借入金収入 8兆3589億円 6兆2823億円 -2兆0766億円
原子力損害賠償・廃炉等支援機構納付金収入 1万円 2639億円 +2639億円
雑収入 135万円 2764万円 +2529万円
前年度剰余金受入 3億円 1298億円 +1295億円
歳入合計 8兆3724億円 6兆6799億円 -1兆6925億円

原子力損害賠償支援資金より受入」の減額は「原子力損害賠償支援証券利子の支払がなかったこと等のため」とあります。
原子力損害賠償支援証券及び借入金収入」の減額は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成 23 年法律第 94 号。 以下「原賠機構法」という。)第 48 条第 2 項の規定により交付された国債の償還に係る原子力損害賠償支援証券の発行がなかったこと等のため」とあります。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構納付金収入」の増額は、「原賠機構法第 59 条第 4 項の規定による納付金があったため」とあります。
それぞれは「法律の規定により」となっていますので、法律に従って処理された結果、増減が生じたものと受け止められます。

歳出: 算額 支出済額 不用額
事務取扱費 98万円 75万円 23万円
融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入 1000円 1000円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 8兆3724億円 6兆5780億円 1兆7944億円
歳出合計 8兆3724億円 6兆5780億円 1兆7944億円

算額8兆円に対して、支出額6.6兆円。参照書には「不用額を生じたのは、原賠機構法第 48 条第 2 項の規定により交付された国債の償還に係る原子力損害賠償支援証券の償還がなかったこと、同国債の償還に係る借入金の償還が予定を下回ったこと等のため」との記述があります。
これは、歳入においての増減に連動して歳出=「国債整理基金特別会計に繰入」の額が決まる、ということなのでしょうか。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は1.02億円。これは翌年度の歳入に繰り入れる、としています。


「電源促進勘定」には「周辺地域整備資金増減実績表」がついています。
資金は「前年度末現在額」が286億円、「電源促進勘定への繰入」が134億円、「本年度末現在額」が152億円、となっています。
原子力損害賠償支援勘定」には「原子力損害賠償支援資金増減実績表」がついています。
「前年度末現在額」222億円、「歳入繰入」が39億円、「本年度末現在額」が183億円、となっています。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その3 国債整理基金、外国為替資金、財政投融資

引き続き、特別会計の明細を読んでいきます。

国債整理基金財務省所管)

言わずと知れた「国債」を運用するための特別会計、ですね。

歳入: 算額 収納済額 差額
他会計より受入
 他会計より受入 88兆4733億円 85兆1777億円 -3兆2957億円
 東日本大震災復興他会計より受入 4207億円 4174億円 -33億円
租税
 たばこ特別税 1428億円 1414億円 -14億円
公債金
 公債金 109兆2616億円 109兆4798億円 +2183億円
 復興借換公債金 0円 3880億円 +3880億円
資産処分収入
 東日本大震災復興株式売払い収入 1兆4000億円 0円 -1兆4000億円
配当金収入
 東日本大震災復興配当金収入 1136億円 1136億円 0円
運用収入
 運用収入 1951億円 739万円 -1950億円
 東日本大震災復興運用収入 57億円 0円 -57億円
雑収入
 雑収入 471億円 448億円 -23億円
前年度剰余金受入
 前年度剰余金受入 170億円 3兆0807億円 +3兆0637億円
 東日本大震災復興前年度剰余金受入 1000円 5381億円 +5381億円
歳入合計: 200兆0768億円 198兆9935億円 -1兆0833億円

「他会計より繰入」は、財務省の一般会計から22兆円、特別会計交付税及び譲与税配布金」から33兆円、「外国為替基金」から8240億円、「財政投融資特別会計」から20兆円、「原子力損害賠償勘定」から8兆円、「健康勘定」から1.5兆円、などとなっています。
他会計からの受入は、ほとんどの項目で減額となっています。それぞれの項目について「一時借入金利子の支払財源の受入が少なかった等のため」といった理由が書かれています。

歳出: 歳出予算 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
国債整理支出 198兆1369億円 3兆0637億円 194兆4541億円 3兆0711億円 3兆6754億円
復興債整理支出 9529億円 5381億円 1兆4571億円 0円 339億円
歳出合計 199兆0898億円 3兆6018億円 195兆9111億円 3兆0711億円 3兆7093億円

国債整理支出」で不用額を生じたのは「政府短期証券償還及び借入金償還の支払が予定を下回ったこと等により」となっています。
「復興債整理支出」の不用額については、「株式の売払いがなかったので、株式売払手数料を要しなかったこと等のため」と書かれています。「株式売払手数料」として計上されている227億円が、手付かずのまま不用額として計上されています。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は3兆0824億円、これは翌年度の歳入に繰り入れることになっています。

最後に、「国債整理基金の年度末残高表」が付いています。「償還財源繰入額等」が総額75兆1658億円、「償還額」が75兆7029億円、年度末基金残高は、前年度より5371億円減少の3兆0062億円、となっています。
年度末時点での「国際借家額」は、109兆4798億円、と記されています。

外国為替資金(財務省所管)

歳入: 算額 収納済額 差額
外国為替等売買差益 1500億円 2084億円 +584億円
運用収入 2兆4873億円 2兆1877億円 -2996億円
雑収入 7億円 2351億円 +2344億円
前年度剰余金受入 0円 3169億円 +3169億円
歳入合計: 2兆6138億円 2兆9481億円 +3169億円

「運用収入」のマイナスは、「外貨証券の運用益が予定より少なかったこと等のため」と書かれています。
「雑収入」のプラスは、「外国為替資金証券の発行において、発行高を超過する収入金があったこと等のため」とされています。

歳出: 歳出予算 流用増減 支出済額 不用額
事務取扱費 17億円 13億円 4億円
諸支出金 650億円 +39億円 685億円 3億円
うち償還差額補填金 543億円 +77億円 620億円 886円
うち払戻金 4000万円 +48億円 48億円 10万円
融通証券事務取扱費一般会計へ繰入 95万円 95万円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 8240億円 -39億円 4億円 8197億円
予備費 3000億円 0円 3000億円
歳出合計 1兆1907億円 703億円 1兆1204億円

…えらく出入りにばらつきがある会計になっていますが、外国為替レートに左右されるので、これはしょうがないのでしょうか。
「諸支出金」のうち、「償還差額補填金」という項目で、「外国為替資金の運用に伴い、外貨証券の償還差額を補填するため」という理由で、「国債整理基金への繰入」から38億円流用されています。残りの39億円は「諸支出金」の中で予算の移し替えで対応しています。
「諸支出金」の中の「払戻金」も他の項目から予算が移行されていますが、理由が「過誤納による払戻金の支払が多かったため」とあります。これも気になります。
それにしても「国債整理基金特別会計へ繰入」が予算8000億円に対して支出済み4億円、になっています。これは「外国為替資金証券利子の支払がなかったこと、融通証券起債に係る手数料の支払が予定を下回ったこと等のため」となっています。しかし8000億円もの不用額が出てしまうのは、どうも疑問に思えます。
「融通証券事務取扱費一般会計へ繰入」という項目ですが、一般会計で検索しても、この項目はありませんでした。どこへ行ったんでしょう? おそらく、所管する財務省でしょうが。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は2兆8779億円。この剰余金は規定により、2兆5188億円を翌年度の一般会計へ、3591億円を翌年度の歳入に繰り入れる、と記されています。

歳入・歳出の後に損益計算書貸借対照表、があり、最後に「外国為替資金増減実績表」が付与されています。昨年度末現在地が149兆円、歳入外受入が275兆円、歳出外払出が278兆円、本年度末現在額は、145兆3986億円、となっています。


財政投融資財務省国土交通省所管)

財政投融資」については、財務省に以下のような説明が示されています。

>> 「財政投融資とは、税負担に拠ることなく、国債の一種である財投債の発行などにより調達した資金を財源として、政策的な必要性があるものの、民間では対応が困難な長期・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動です。」

財政投融資特別会計」は、「財政融資資金勘定」「投資勘定」「特定国有財産整備勘定」に分かれて決算書が作成されています。

財政投融資–財政融資資金勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
資金運用収入–運用利殖金収入 1兆5734億円 1兆4455億円 -1279億円
公債金 19兆6000億円 19兆6000億円 -13万円
財政融資資金より受入 19兆4823億円 19兆4823億円 +116円
雑収入 381億円 77億円 -304億円
歳入合計: 40兆6939億円 40兆5355億円 -1583億円

「資金運用収入」のマイナスは、「貸付金の利率を改定したこと等のため」とのことです。
「雑収入」のマイナスは、預金利子収入や金利スワップ取引による利子収入が少なかった等、とされています。

歳出: 算額 支出済額 不用額
財政融資資金へ繰入 19兆6000億円 19兆6000億円 13万円
事務取扱費 59億円 56億円 3億円
諸支出金 3877億円 2441億円 1436億円
公債等事務取扱費一般会計へ繰入 7110万円 6045万円 1065万円
国債整理基金特別会計へ繰入 20兆4852億円 20兆3839億円 1013億円
予備費 6000万円 0円 6000万円
歳出合計 40兆4789億円 40兆2337億円 2452億円

「公債金収入」の20兆円と「財政融資資金へ繰入」はまったく同額になっています。「財政融資資金から受入」、「財政融資資金へ繰入」というのは、他の会計のような「前年度からの繰越」「翌年度への繰越」とは違う扱いになっている、ということなのでしょうか。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」3019億円は、積立金として積み立てることとする、と記されています。
また、この勘定の損益計算上の利益は3146億円あり、これは翌年度に繰り越して整理する、となっています。
ちなみに財政融資勘定の積立金明細が記されており、それによると、年度末の積立金は5925億円、となっています。

財政投融資–投資勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
運用収入 3577億円 4254億円 +676億円
うち償還金収入 1.05億円 1.05億円 0円
うち利子収入 8885万円 1376万円 +4892万円
うち納付金 2212億円 2213億円 +1.5億円
うち配当金収入 1364億円 2020億円 +656億円
うち出資回収金収入 0円 18.50億円 +18.50億円
一般会計より受入 2590億円 2590億円 0円
資産処分収入 2672億円 2672億円 0円
雑収入 546万円 3万円 -543万円
前年度剰余金受入 2857億円 5036億円 +2179億円
歳入合計 1兆1696億円 1兆4552億円 +2855億円

「運用収入」の中で大きな「配当金収入」は、「日本たばこ産業」「日本電信電話(NTT)」「日本政策投資銀行」「商工組合中央金庫」からの配当金収入で「1株あたりの配当金が予定より多かったため」となっています。
「一般会計より受入」は、財務省からの2590億円です。「雑収入」のマイナスは、「国有地の売払いがなかったため」とのことです。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
産業投資支出 5667億円 2億円 2780億円 2026億円 863億円
事務取扱費 1.23億円 9111万円 3145万円
一般会計へ繰入 1244億円 1244億円 0円
地方公共団体金融機構納付金収入
交付税及び譲与税配布金特別会計へ繰入 2000億円 2000億円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 13万円 0円 13万円
東日本大震災復興
国債整理基金特別会計へ繰入 2783億円 2783億円 0円
予備費 1億円 0円 1億円
歳出合計 1兆1696億円 2億円 8808億円 2026億円 865億円

「産業投資支出」が少なくなっているのは、「株式会社海外交通・都市開発事業支援機構出資金、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構出資金」が予定を下回ったため等、とのことです。というか、こんな会社があったのか、とちょっと驚いたり、そこにそれなりの投資支出が行われているということも、知られてないことではないか、と思います。ちなみにこの2つの会社は、「一般会計」の明細には出てきません。
他への出資金もあるのかも知れませんが、この会計による投資先にどのようなところがあるのか、知りたくなってきます。
「事務取扱費」には、人件費も含まれています。
「一般会計へ繰入」について、一般会計決算を見てみると、財務省の収入として「財政投融資特別会計受入金」として1245億円が計上されています。これはこの会計の1244億円と、上の「財政融資資金」の中の「一般会計繰入」の6045万円を足した金額になっています。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」5743億円のうち、法律の規定により10万円を一般会計に繰り入れ(少ない)、残りを翌年度の歳入に繰り入れる、とあります。
また、この勘定の損益計算上における利益は4761億円あり、この利益は「利益積立金」に組み入れる、と記されています。

財政投融資–特定国有財産整備勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
国有財産売払収入 619億円 1000億円 +380億円
雑収入 1.33億円 5.52億円 4.19億円
前年度剰余金受入 52億円 325億円 +273億円
歳入合計 673億円 1330億円 +657億円

「国有財産売払収入」のプラスは、「売払単価が予定を上回ったため」と書かれています。
「前年度剰余金受入」のプラスは、「前年度の売払収入が予定より多かったこと等のため」だそうです。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
特定国有財産整備費 590億円 127億円 506億円 204億円 7億円
事務取扱費 18.29億円 9120万円 9.98億円 0円 9.22億円
国債整理基金特別会計へ繰入 1億円 990万円 9010万円
予備費 1000万円 0円 1000万円
歳出合計 609億円 128億円 516億円 204億円 17億円

「整備費」の不用額は「事業内容の見直し、契約価格が予定を下回ったこと」などのため、となっています。また、この勘定の「事務取扱費」には、職員基本給や手当などの人件費は入っていません。「財政融資資金勘定」と「投資勘定」には、それぞれ人件費が計上されているのですが。
国債整理基金特別会計への繰入」が、支出済額が予算の1割に留まっているのは、「借入金利子の支払が予定を下回ったため」となっています。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は814億円、これは翌年度の歳入に繰り入れることになっています。


ちなみに、「財政融資資金勘定」と「投資勘定」については、損益計算書貸借対照表が掲載されているのですが、この「特定国有財産整備勘定」についてはどちらも掲載されていません。他の2つの勘定とは、性格の違う会計になっているのかも知れません。

「財政融資資金」には「増減実績表」というのが掲載されています。
前年度末現在額は133兆5187億円、受入合計が4195億円、払出合計が3兆8711億円、本年度末現在額は、130兆0672億円、となっています。

さらに、「財施融資資金勘定」には「運用資産明細表」が掲載されていて、有価証券、貸付金(国家会計、政府機関、地方公共団体独立行政法人、国立研究開発法人などへの)の明細が一覧表になっています。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その2 交付税及び譲与税配布金、地震再保険

さて、それでは特別会計ごとの、決算を見ていくことにします。今回は表の形式で表示してみます。

特別会計-交付税及び譲与税配布金(内閣府総務省財務省所管)

歳入: 算額 収納済額 差額
他会計より受入
 一般会計より受入 15兆4039億円 15兆3970億円 -68億円
 財政投融資特別会計より受入 2000億円 2000億円 0円
 東日本大震災復興特別会計より受入 3430億円 3430億円 0円
租税
 地方法人税 6293億円  6292億円 -1億円
 地方揮発油税 2553億円  2605億円 +52億円
 石油ガス税 90億円 87億円 -3億円
 自動車重量税 2642億円 2687億円 +45億円
 航空機燃料税 149億円 147億円 -2億円
 特別とん税 125億円 123億円 -2億円
 地方法人特別税 1兆7565億円  1兆7816億円 +251億円
借入金 32兆4173億円 32兆4173億円 0円
雑収入 369万円 39億円 +39億円
前年度剰余金受入
 前年度剰余金受入  1兆4668億円  1兆6631億円 +1963億円
 東日本大震災復興前年度剰余金受入  0円  5770億円 +5770億円
歳入合計  52兆7727億円  53兆5789億円 +8042億円

一般会計よりの受入は、総務省の「地方交付金」「地方特例交付金」、内閣府の「交通反則者納金財源 交通安全対策特別交付金等」を合わせた金額になっています。
「借入金」は「財政融資資金」から9兆3172億円、「民間資金」から23兆1001億円、となっています。
「雑収入」が大幅に増えていますが、これは「東日本大震災復興に係る地方交付税交付金の返納金があったこと等のため」と書いてあります。
「前年度剰余金受入」の項目で、予算では0円だった「東日本大震災復興前年度剰余金受入」がありますが、これは「前年度において東日本大震災復興に係る地方交付税交付金の繰越があったこと等のため」とあります。

歳出: 歳出予算 前年度繰越 経費増額 支出済額 翌年度繰越 不用額
地方交付税交付金 15兆8299億円 1兆8403億円 17兆2390億円 3430億円 881億円
地方特例交付金 1233億円 1233億円 0円
交通安全対策特別交付金 642億円 580億円 62億円
地方譲与税譲与金 2兆3228億円 174億円 2兆3402億円 1730円
事務取扱費 2.54億円 2.46億円 875万円
諸支出金 4.93億円 4.12億円 8059万円
国債整理基金特別会計へ繰入 32兆9757億円 32兆8284億円 1473億円
予備費 26億円 0円 26億円
歳出合計: 51兆3193億円 1兆8403億円 174億円 52兆5897億円 3430億円 2443億円

地方交付税交付金」に不用額が出たのは、「東日本大震災復興に係る地方交付税交付金の交付額が予定を下回ったため」とあります。どうしてそうなったのかは、書かれていません。
地方譲与税譲与金」に経費が増額されているのは、「地方揮発油税」「自動車重量税」「地方法人特別税」の歳入が予算を上回ったため、その分地方への「譲与金」が増えたための増額、のようです。
国債整理基金特別会計へ繰入」で不用額が生じているのは、「一時借入金利子及び借入金利子の支払いが予定を下回ったため」とあります。

「収納済額」から「支出済額」を引いた残り、「剰余金」は9872億円あり、これは「法律の規定により翌年度の歳入に繰り入れる」と記されています。


特別会計地震再保険財務省所管)

地震再保険とは「地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理しています。」(財務省HPより)だそうです。
大きな災害など、多額の保険金支払いが発生した時にも、民間の保険責任を政府が「再保険」することで保険責任を担保しよう、ということのようです。

歳入: 算額 収納済額 差額
再保険料収入 1284億円 1246億円 -38億円
雑収入 246億円 211億円 -35億円
歳入合計 1530億円 1456億円 -74億円

再保険料収入」が少なかったのは「元受純保険料が予定より少なかったこと等のため」とあります。

歳出: 算額 支出済額 不用額
再保険 1529億円 1321億円 208億円
事務取扱費 6487万円 5515万円 972万円
予備費 50万円 0円(使用せず) 50万円
歳出合計 1530億円 1322億円 208億円

歳出で「不用額を生じたのは、「再保険金の支払い請求が少なかったため」とあります。
「事務取扱費」は、主に人件費、庁費となっています。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は135億円は、「積立金として積み立てる」としています。2016年度における「財政融資資金預託金」は1兆3021億円、となっています。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その1 一般会計からの繰入

ついでに、と言ってはなんですが、2016年度の「特別会計決算」も、ざっと見ておくことにします。特別会計については報道も少なく、よく分からないところもあるので、学びながら見ていくことにしましょう。

まずもって、「特別会計とは何か」からでしょうか。(財務省HPより)
日本の場合、「国の会計は「単一会計で一体として経理することが、財政の健全性を確保する見地からは望ましい」とされています。(単一会計主義)」
「しかし国の行政活動が複雑化してくると、単一の会計では各個の事業の状況や運営実績等が不明確となり、事業や資金運営にかかる適切な会計が難しくなりかねません。このような場合には、一般会計とは別に会計を設け、特定の歳入と特定の歳出を一般会計と区分して経理することにより、事業や資金運用の状況を明確化することが望ましい、と考えられます。」

ということで、特定の事業や資金運用に関して、一般会計とは別の会計(特別会計)を立てて事業や資金運用を明確化する、のだそうです。
2016年度の決算を見ると、次のような13の特別会計があることが分かります。

以上の「特別会計」に対してどのような項目の予算が繰り入れられているのかは、気になるところです。先日まで見てきた一般会計の決算にも「特別会計へ繰入」と表記された項目が数多くありました、まずはそれらを一覧しておきます。

一般会計からの繰入

内閣府

繰入合計:521.21億円

内閣府・子供・子育て本部>

繰入合計:1兆2521億円

内閣府警察庁

総務省

繰入合計:15兆3393億円

財務省

繰入合計:23兆1657億円

文部科学省

繰入合計:1078.46億円

厚生労働省

繰入合計:11兆4887億円

農林水産省

繰入合計:2959.2億円

経済産業省

繰入合計:16.18億円

経済産業省資源エネルギー庁

繰入合計:6378.46億円

国土交通省

繰入合計:524.04億円

環境省

繰入合計:1409.36億円

環境省原子力規制委員会

以上、一般会計からの繰入総計は、52兆5922億円になります。大きなものは国債償還費に充てる22兆円、地方交付金の15兆円、基礎年金拠出金等の11兆円、といった所になります。

特別会計別に見ると、一般会計からの繰入は、次のようになります。

財務省HPの「平成28年度決算」のページの、「決算書の情報」をクリックすると、「予算書・決算書データベース」というページに飛びます。
この中に一般会計、特別会計その他の決算書、計算書へのリンクがありますが、一般会計、特別会計の決算書は、全体を取りまとめたものが「歳入歳出決算」書類になり、細かな項目を並べて予算額との相違について書かれているものは「参照」書の方になります。

これを見ると、細かい項目ごとの収入、支出が1円単位で記載されています。さらには各特別会計ごとの損益計算書貸借対照表なども記載されていますので、その辺りの知識を持っている方なら、もっと深く読み込めるのではないか、と思いますが。

今のところは、僕の場合は、記載された項目をつらつらと眺めるばかりになりそうですが。
ぼちぼちと、追いかけてみることにします。

訂正:「エネルギー対策特別会計」と「労働保険特別会計」への一般会計からの繰入総計に、計算間違いがありました。訂正しておきます (02/03)

とりあえず新年の挨拶と、決算報告を読む意味

あけましておめでとうございます。


今年もゆっくり、マイペースで行こうと思っています。と言っても、「自分のペースを守らないと、継続できない」からなのですが。

 

昨年の後半は、ずっと政府の決算書と睨めっこしていたような気がしますが(笑)、途中で挫折しそうになりながらも、時に項目と金額を見ていると、「おや?」と思うような項目に突き当たったり、予算額と乖離した決算額を計上した項目もあったり、なんとか最後まで興味を持ち続けられたことは、意外と面白い経験でもあったように思います。

なぜかマスコミは「予算」ばかりを注目し、毎年「総額がどうの、防衛費がどうの、社会保障費がどうの、国の借金がどうの」と繰り返し報道するのですが、「決算」についての報道にはほとんど触れることなく、個人的には、どこかそれを不満に感じていたことに、決算書を読みながら気づきました。

「予算」とは「次の年度はこうやるぞ」という話であり、結果的にそれがどうなったか、とは別の(視点の違う)問題です。「こうやるぞ」が「どうだったか、どうなったか」、それを確かめるためには、(年度が)終わった後の検証が欠かせないのでは、と思うのですが。

もちろん決算書についても、政府から国会に提出され、常設の委員会で議論され、最終的に本会議で可決されて成立する国会の議案のひとつです。
それが重要なニュースにならないのは、国家予算が「当年度の決算をする前に、来年度の予算を決定しなければならない」ため、決算についての議論、評価が次年度の予算に反映されず、それ以降にずれてしまうこと、そのために「予算編成作業に用いるデータとして有効に活用されない」こと、年度が変われば行政は「その年度の予算執行」を行いながら、その予算執行中に出される決算報告を吟味し、評価する必要が出てくるわけで、予算執行中に前年度の決算の議論と評価を報告されても、「今さらそれを言われても」ということになってしまうから、ということもあるのでは、と思っています。

 

国家の行政を預かる行政の中枢においては、日々の予算執行を行う中で、過去の予算執行についてあれこれ言われるのは、業務の妨害のように感じるのかも知れません。
でも、国民のひとりとして、「自分の支払った税金が、どこに振り分けられるのか」が気になるのと同時に、「実際に、どこに振り分けられたのか」も知りたい、ということも関心がありました。
そんな関心が、「決算書を読む」という行為を持続させたのだと、今から振り返って、思ったりします。

 

予算が、何がどれだけ増え、何がどれだけ減り、それで何が変化するのかを読み解く上で重要な「国政の情報」であるのは、確かだと思います。
でも、それと同様に「その予算は適正に使われたか、予算と決算に大きな違いが生じたのはなぜか、そこには予算策定の議論に瑕疵はないのか、予算執行上の問題はないのか、国家の収入の配分の結果について、見直す余地はないのか、についてのチェックをすることも、大事なことなのではないか、と思います。

 

そんなことを考えながら、無味乾燥に見える決算書を読んできました。「どう使われる(ことになっている)か」を示す予算、と「実際にどう使われたか」を示す決算は、国民にとって両方とも「重要な国政の報告書」であるのではないか、と思うので。

2016(平成28)年度の決算の報告書では、結果的な歳入額は103兆円、歳出額は98兆円。
予算計上の段階では、収入は補正予算合わせて100兆円。歳出予算は103兆円。
算額を見ると、歳入と歳出の間に6兆円余りの「使用されなかった」資金が残り、4.7兆円が次年度に繰り越さっれ、1.5兆円が不用額として計上されています。
http://namiheijodee.hatenablog.com/entry/2018/07/01/193304

6兆円も使い切れないお金があるのなら、それを国民のために振り分けられなかったのか、それはどうしてなのか。
そういうことを考える上でも、「決算を読む」ことは必要ではないかと思ったりするのですが、誰かやってくれないかな、と思っても、誰もやってくれなかったので(笑)。

 

そしてこれは、何年か追いかけないと実態が見えてこないものでもあると思います。配分された国民の税金、借金が何に使われているのか、その使われ方でいいのか。

決算書は、(他の政治・行政課題と同じく)奥が深そうです。