乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その10 東日本大震災復興特別会計(1)

特別会計の最後は、「東日本大震災復興特別会計」です。

東日本大震災復興特別会計

(国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁、総務省法務省、外務省、財務省文部科学省厚生労働省農林水産省経済産業省国土交通省環境省防衛省所管)


東日本大震災復興特別会計」は、国会、裁判所、内閣を含む17府省庁の所管となる会計になっており、その歳出の項目も多岐にわたります。「特別会計はざっと見て」とか言ってましたが、そうも言えないほど内容が多いです。なので、歳入はともかく、歳出は一覧するだけでも項目が多すぎるので、歳出は2回に分けようと思います。


まあ、まずは歳入から。

東日本大震災復興特別会計 歳入

歳入: 算額 収納済額 差額
租税 3714億円 3706億円 -7.7億円
うち復興特別所得税 3714億円 3671億円 -43億円
うち復興特別法人税 0円 35億円 +35億円
一般会計より受入 6999億円 6999億円 0円
復興公債金 1兆9037億円 7909億円 -1兆1128億円
公共事業費負担金収入 912億円 931億円 +19億円
災害等廃棄物処理事業費負担金収入 6.1億円 6.0億円 -1533万円
附帯工事費負担金収入 4.7億円 2.9億円 -1.7億円
雑収入 1427億円 7253億円 +5826億円
前年度剰余金受入 134億円 1兆4245億円 +1兆4111億円
歳入合計: 3兆2235億円 4兆1053億円 +8819億円

「租税」収入は、所得税でマイナス、法人税でプラスになっています。所得税のマイナスは「課税額が予定より少なかったこと等のため」となっています。法人税のプラスは、予算段階では0円ですが、「既往年度分収納未済金の収入があったため」とあります。
特別法人税は、調べてみると、「2012年4月から3年間、法人税額に10%の加算税として上乗せ」されてきたもので、当初は2015年度まで徴収する制度だったのですが、2013年12月の税制改正大綱で、1年前倒しで廃止されたそうです。なのでこの未済金は、2014年度以前の分、ということになるようです。

「一般会計より受入」は、財務省より2項目に分けて全額繰り入れられています。
「復興公債金」のマイナスは、「復興公債の発行が予定より少なかったため」となっています。

「公共事業負担金収入」は、治山、河川、道路整備、港湾整備など様々な項目に分かれていて、それぞれにプラスマイナスがありますが、一番大きな収入増は「道路整備事業費負担金収入(+20億円)」で、これは「事業計画の変更により、道路整備事業に伴う地方公共団体の負担金が予定より多かったこと等のため」となっています。

「災害等廃棄物処理事業費負担金収入」のマイナスは、「事業計画の変更により、災害等廃棄物処理代行事業に伴う市町の負担金が予定より少なかったため」となっています。

「附帯工事費負担金収入」のマイナスも「事業計画の変更により」となっています。

「雑収入」の中で、プラスの殆どを占めるのは「事故由来放射性物質汚染対処費回収金(+5225億円)」で、これは「特別措置法 (平成 23 年法律第 110 号)第 44 条第 2 項の規定による回収金が予定より多かったため」とあります。
この法律は、環境省に概要を説明したページがあります。
http://josen.env.go.jp/about/tokusohou/summary.html
法律を見てみると、この「汚染対処」の費用については、国が財政上の措置を実施し、措置の費用は関係原子力事業者の負担、となっているようです。ということは、東京電力からの回収金、という事になるのでしょうか。

その他に「雑収入」の中に「返納金(+593億円)」があり、「災害復興住宅融資等緊急対策事業の返納金があったこと等のため」とあります。

「前年度剰余金受入」の大幅なプラスは、前年度の剰余金ということで、前年度にそれだけ余していた、という事になります。

さて、歳出なんですが、各省庁に分かれて記載されているため、非常に項目が多くなっています。なので、ある程度表を区切りながら見ていきたいと思います。なお、項目に「東日本大震災」という名前がついている項目は、その部分を「(東)」と表記して省略してあります。項目名が長いので。

歳出-内閣、内閣官房、内閣本府、警視庁、金融庁消費者庁

歳出: 算額 前年度繰越 移替増減 支出済額 翌年度繰越 不用額
歳出合計: 3兆2235億円 1兆4111億円 2兆9610億円 1兆1427億円 5309億円
内閣・内閣官房
  内閣共通費 2652万円 1493万円 1159万円
内閣本府 371億円 171億円 406億円 137億円
 原子力災害復興再生支援事業費 31億円 26億円 5.8億円
 地域活性化等復興政策費 340億円 171億円 381億円 131億円
警視庁 12億円 2.3億円 9.7億円 4.2億円 7673万円
 治安復興政策費 5.0億円 4.1億円 2232万円 6755万円
 治安復興事業費 7.3億円 2.3億円 5.6億円 3.9億円 918万円
金融庁
 金融機能安定・円滑化復興政策費 1.3億円 2022億円 1.1億円
消費者庁
 地方消費者行政推進交付金 4.8億円 4.2億円 6561万円

「内閣共通費」は、人件費のみになります。不用額を生じたのは「低位号俸の職員が予定を上回ったので、職員基本給を要することが少なかった」とあります。「号俸」とは公務員の職階によって区分された給料、ということなので、予算策定時より職階の低い職員が多かったので、基本給の総額が少なくなった、ということなのでしょうか。

内閣本府の「原子力災害復興再生支援事業費」は、総額が「福島再生加速化交付金」という交付金として支出されています。不用額を生じたのは「個人線量管理・線量低減活動支援事業及び相談員育成・配置事業が予定を下回ったこと等のため」とあります。

地域活性化等復興政策費」の主な支出には「災害救助費等負担金(予算:288億円、支出済:230億円)」、「被災者生活再建支援補助金(前年度繰越:171億円、支出済:106億円)」などが含まれています。
不用額を生じた理由としては「被災者からの支給申請の遅延があったことにより被災者生活再建支援法人からの交付申請額が予定を下回ったので、被災者生活再建支援金補助金を要することが少なかったこと等のため」とあります。「災害救助費等負担金」の不用額は58億円、「被災者生活再建支援補助金」の不用額は65億円が計上されています。

警察庁の「治安復興政策費」には警察の活動費の他、都道府県警察への補助金が含まれています。不用額を生じたのは「災害警備活動の見直しにより派遣人数が予定を下回ったので」とあります。
「治安復興事業費」は、都道府県警察の「施設整備費補助金」「施設災害復旧費補助金」として支出されています。

金融庁の「金融機能安定・円滑化復興政策費」には、「個人債務者私的整理支援事業費補助金(予算額:1.0億円、支出済:305万円)」が含まれています。不用額を生じたのは「個人債務者の私的整理に関するガイドラインの運用支援事業における申出件数が予定を下回ったこと等により」とあります。

消費者庁の「消費生活復興政策費」は、「地方消費者行政推進交付金」一項目として支出されています。不用額を生じたのは「食品等の放射性物質検査に係る事業が予定を下回ったこと等のため」とあります。

歳出-復興庁

歳出: 算額 前年度繰越 移替増減 支出済額 翌年度繰越 不用額
復興庁 2028億円 3769億円 -2068億円 248億円 1337億円 2144億円
 復興庁共通費 58億円 1.3億円 47億円 0円 13億円
 (東)復興支援対策費 146億円 77億円 69億円
 (東)復興推進費 930億円 3091億円 -1639億円 0円 930億円 1452億円
 原子力災害復興再生支援事業費 286億円 62億円 105億円 29億円 214億円
 新しい東北施策推進費 14億円 3.6億円 16億円 0円 1.6億円
 (東)復興推進調整費 15億円 0円 15億円
 地域活性化等復興政策費 41億円 0円 30億円 11億円
 生活基盤行政復興政策費 2.8億円 0円 2.8億円
 生活基盤行政復興事業費 568万円 0円 568万円
 教育・科学技術等復興政策費 3.6億円 0円 3.6億円
 教育・科学技術等復興事業費 153億円 46億円 -26億円 0円 137億円 36億円
 社会保障等復興政策費 4.1億円 0円 553万円 4.0億円
 社会保障等復興事業費 21億円 5456万円 -3347万円 0円 6.1億円 15億円
 農林水産業復興政策費 6494万円 0円 6494万円
 経済・産業及エネルギー安定供給確保等復興政策費 5599万円 0円 5599万円
 経済・産業及エネルギー安定供給確保等復興事業費 138億円 107億円 -107億円 0円 138億円 0円
 環境保全復興政策費 108億円 146億円 -139億円 0円 9.4億円 105億円
 環境保全復興事業費 4.8億円 279億円 -126億円 0円 0円 158億円
 (東)復興事業費 7.4億円 0円 7.4億円
 (東)災害復旧等事業費 93億円 30億円 -30億円 0円 58億円 40億円
 (東)復興山林施設災害復旧事業工事諸費 86万円 0円 86万円
 (東)復興河川等災害復旧事業工事諸費 221万円 0円 221万円
 食料安定供給特別会計へ繰入 0円 3.5億円 3.1億円 4057万円

復興庁は内閣に設置され、東日本大震災の被災地の「一刻も早い復興を成し遂げられるよう、被災地に寄り添いながら、前例にとらわれず、果断に復興事業を実施するための組織」と位置付けられています(復興庁HPより)。http://www.reconstruction.go.jp
法案要綱を読むと、復興庁は「別に定める法律により、平成33年3月31日までに廃止するものとする」と定められています。あと約2年、ですね。

復興庁の歳出には「移替増減額」が計上されています。これは正確には「予算決定後移替増減額」という名称で、これはこの特別会計の中で復興庁から他省庁へ歳出予算を移し替えて、各省庁で支出を計上してあります。これは「復興庁所管の前年度から繰越た額2068億円、及び流用増額2835万円について各所管に移し替えた」とされています。

というわけで、復興庁における歳出は、この特別会計から支出されています。「復興庁共通費」には、他の省庁と同じように、人件費・交通費や庁費が当てられています。

東日本大震災復興支援対策費」には、「被災者支援総合交付金」と「復興特区支援利子補給金」の二項目があります。不用額を生じたのは、「地方公共団体等からの交付申請額及び事業規模が予定を下回ったことにより」とあります。
「被害者支援総合交付金」は、予算額:127億円に対して支出済額:64億円、
「復興特区支援利子補給金」は、予算額:19億円に対して、支出済額:13億円、となっています。

東日本大震災復興推進費」は、「東日本大震災復興交付金」一項目となっています。
この項目からは「予算決定後移し替え額」があり、文部科学本省へ4.1億円、厚生労働本省へ6396万円、農林水産本省へ193億円、国土交通本省へ1439億円、環境本省へ2.3億円が移し替えられています。
この項目は支出額が0円、繰越を除いた不用額が1452億円となっています。

原子力災害復興再生支援事業費」には、「福島生活環境整備・期間再生加速事業依託費」と「福島再生加速化交付金」の二項目が立てられています。不用額が生じたのは「地方公共団体からの交付申請額及び契約価格が予定を下回ったこと等により」とありますが、ここでも214億円もの不用額が計上されています。

「新しい東北施策推進費」は、中身は旅費、調査費だけです。不用額を生じたのは「契約価格が予定を下回ったので、調査費を要することが少なかったこと等のため」だそうです。

東日本大震災復興推進調整費」は、「調整を要する事業がなかったため」、支出額0円、となっています。

地域活性化阿東復興政策費」以下の各項目は、全て支出済額が0円となっています。不用額を生じた理由としては、多くが「地方公共団体からの交付申請額が予定を下回ったので」と書かれていますが、交付申請がなかった、ということなのでしょうか。支出が0円なので。

「教育・科学技術等復興事業費」からは、26億円が文部科学本省へ「予算決定後移し替え」されています。
社会保障等復興事業費」からは、3347万円が厚生労働本省へ「予算決定後移し替え」されています。

「経済・産業及びエネルギー安定供給確保等復興事業費」からは、107億円が「予算決定後移し替え」で中小企業庁に移し替えされています。

環境保全復興政策費」「環境保全復興事業費」については、不用額が生じた理由として「地元との調整が難航したので」という理由が書かれています。

環境保全復興政策費」の中には「放射性物質汚染廃棄物処理事業費」というものがあります。
本年度予算は0円で、前年度繰越額が129億円あり、それは全額「予算決定後移し替え」によって、環境本省へ移し替えられています。また「放射性物質汚染廃棄物処理事業費補助金(予算額:79億円、前年度繰越:16億円)」というものもあり、11億円が予算決定後に環境本省に移し替えられています。

環境保全復興事業費」の中では、「放射性物質除去土壌等管理施設施工庁費」から全額(2835万円)が「放射性物質除去土壌等管理事業依託費」へ流用され、さらにそのまま「予算決定後移し替え」によって環境本省へ移し替えされています。流用の理由は「中間貯蔵施設予定地の新たな保管場の整備により搬入・保管された除去土壌等に係る監視・監督支援業等が増加したため」をあります。で、その後環境本省に「移し替え」されている訳で、どうしてこうなったのかは、知りたいところでもあります。
他にもこの中からは、「放射性物質除去土壌等管理施設不動産購入費」11億円と「放射性物質除去土壌等管理施設立地補償金」11億円が環境省地方環境事務所へ、「不動産購入費」104億円が環境本省へ「移し替え」されています。

東日本大震災復興事業費」の不用額は「地方公共堕胎からの交付申請額が予定を下回ったので」とあります。支出はありません。
東日本大震災災害復旧等事業費」の中の「水道施設災害復旧事業費補助」項目の中から、30億円が「予算決定後移し替え」によって厚生労働本省へ移し替えられています。
不用額を生じた理由としては「関係機関との調整により事業計画の変更があったので」とあります。

食料安定供給特別会計へ繰入」は、正確には「農業生産基盤保全管理・整備事業費食料安定供給特別会計へ繰入」という名称で、不用額を生じたのは「特別会計の国営土地改良事業勘定においてかんがい排水事業費を要することが少なかったため」とあります。こういうのは、年度中の事業の推移によって不用額が生じてくる、ということになるのでしょうか。

歳出-総務本省、消防庁

歳出: 算額 前年度繰越 移替増減 支出済額 翌年度繰越 不用額
総務本省 3493億円 34億円 3469億円 53億円 6.0億円
 交付金特別会計へ繰入 3430億円 3430億円 0円
 原子力災害復興再生支援事業費 7267万円 7042万円 225万円
 生活基盤行政復興政策費 1.9億円 7.0億円 6.3億円 1・5億円 1.1億円
消防庁 61億円 27億円 32億円 51億円 4.8億円
 生活基盤行政復興政策費 3.9億円 3.8億円 1030万円
 生活基盤行政復興事業費 57億円 27億円 28億円 51億円 4.7億円

原子力災害復興再生支援事業費」の不用額については、説明が書かれてません。この中には「福島再生加速化交付金」一項目だけなのですが、交付申請額によって不用額が出た、と理解すればいいのでしょうか。

「生活基盤行政復興政策費」の不用額は「契約価格が予定を下回った等により」とあります。
この中に「情報通信技術利活用事業費補助金」から6832万円の不用額が生じています。

消防庁の二項目の不用額は、両方とも「契約価格が予定を下回った等により」とあります。大きいのは「生活基盤行政復興事業費」の中の「消防防災施設災害復旧費補助金」(予算額:56億円、支出済額:27億円、翌年度繰越:51億円)の不用額4.6億円になります。

歳出-法務本省、法務局

歳出: 算額 前年度繰越 移替増減 支出済額 翌年度繰越 不用額
法務本省 7.5億円 7.3億円 2455万円 46万円
 法務省共通費 5168万円 5122万円 46万円
 (東)復興日本司法支援センター運営費 6.0億円 6.0億円 0円
 法務行政復興事業費 1.1億円 8270万円 2455万円 0円
法務局 5.6億円 5.0億円 6618万円
 法務省共通費 3.7億円 3.6億円 1444万円
 法務行政復興政策費 1.9億円 1.4億円 5174万円

法務省共通費」は「国家公務員共済組合負担金」一項目のみです。
「日本司法支援センター」は、「法テラス」という名称で広報を行なっている、法的トラブル解決の総合案内所、だそうです。
リンク:「日本司法支援センター・法テラス

「法務行政復興事業費」は、中の項目を見ると「施設施工費」「施設整備費」等となっています。支出の剰余は、翌年度への繰越金として計上されています。

法務局の「共通費」には、人件費(基本給等)が含まれています。不用額を生じたのは「低位号俸の職員が予定を上回ったので」とあります。

「法務行政復興政策費」の中身は「情報処理業務庁費」や「登記業務庁費」などになります。不用額を生じたのは「事業規模の縮小による事業計画の変更をしたこと等により」とあります。

歳出-財務本省、財務局

歳出: 算額 前年度繰越 移替増減 支出済額 翌年度繰越 不用額
財務本省 2505億円 1471億円 33億円
 復興債費 1425億円 1391億円 33億円
 財務行政復興事業費 80億円 80億円 0円
 復興加速化・福島再生予備費 1000億円 0円 1000億円
財務局
 環境保全復興政策費 47万円 4924万円 1835万円 3136万円

「復興債費」は、多少の事務費等を除いて、ほとんどが国債整理基金特別会計へ繰り入れられています。繰入額は予算:1424億円に対して、支出済額:1391億円、不用額:33億円、となっています。不用額を生じたのは「国債整理基金特別会計において一時借入金利子の支払がなかったこと、復興債利子の支払いが予定を下回ったため」とあります。

「財務行政復興事業費」は、「(株)日本政策金融公庫出資金」一項目のみで、全額支払われています。
予備費」は使用していません。

財務局の「環境保全復興政策費」は、「放射線量低減処理業務庁費」一項目のみで、不用額を生じたのは「契約価格が予定を下回ったため」とされています。



今回はここまでにしておきます。あと半分くらいはありそうですが。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その9 自動車安全特別会計

自動車安全特別会計国土交通省

自動車安全特別会計」は、財務省のHPにあるガイドブックによると、
「自動車ユーザーからの検査・登録手数料、自動車ユーザーからの賦課金、積立金として管理している自賠責保険再保険契約に係る再保険料、過去の再保険料の運用益を財源として、自動車の検査・登録業務、基準適合性の審査、ひき逃げ・無保険車の被害者救済対策、再保険金の支払い、事故による重度後遺障害者等の被害者救済対策、事故発生防止対策等を実施しています。また、航空運送事業者等からの空港使用料収入や一般会計からの繰入金等を財源として、空港等の維持運営や空港整備事業等を実施しています」
と記述されています。

自動車安全特別会計」には、「保障勘定」「自動車検査登録勘定」「自動車事故対策勘定」「空港整備勘定」の4つの勘定があります。

自動車安全–保障勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
保障事業収入 21億円 20億円 -8960万円
積立金より受入 7.8億円 5.6億円 -2.2億円
雑収入 7.0億円 7.2億円 +1938万円
前年度剰余金受入 566億円 586億円 +19億円
歳入合計: 602億円 618億円 +16億円

「保障事業収入」のマイナスは、「責任共済に係る賦課金収入が予定より少なかった等のため」とあります。
「積立金より受入」がマイナスになったのは「再保険金及保険金が予定より少なかった等のため」とあります。「再保険金及保険金」というのは歳出にその項目があります。
「雑収入」では、「預託金利子収入」がプラスになっていて、「預託金の運用利回りが予定を上回ったこと等のため」となっています。

歳出: 算額 支出済額 不用額
保障費 31億円 14億円 17億円
業務取扱費自動車検査登録勘定へ繰入 8.8億円 7.6億円 1.2億円
再保険及保険費 5.4億円 3.8億円 1.6億円
予備費 2億円 0円 2億円

「保障費」の不用額は「保障金の請求件数及び1件当たりの請求額が予定を下回ったことにより」とあります。
「自動車検査登録勘定への繰入」が不用額を生じたのは、「自動車検査登録勘定において業務取扱費を要することが少なかったため」とあります。
再保険金及保険金」の不用額は「保険金の請求件数が予定を下回ったこと等のため」と説明されています。


「剰余金」は593億円となっています。これは、6422万円を積立金に、残額592億円は翌年度の歳入に繰り入れること、となっています。


自動車安全–自動車検査登録勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
検査登録手数料収入 334億円 330億円 -3.7億円
一般会計より受入 3.0億円 3.0億円 -143万円
独立行政法人納付金収入 1.0億円 1.5億円 +4734万円
他勘定より受入 13億円 10億円 -2.3億円
雑収入 1.4億円 1.8億円 +4184万円
前年度剰余金受入 152億円 158億円 +5.3億円
歳入合計: 504億円 504億円 +1898万円

「検査登録手数料収入」のマイナスは、「検査登録印紙の売りさばきが少なかったため」となっっています。
「一般会計より受入」は、国土交通省から「自動車重量税業務取扱費」という項目名がついているものになります。
独立行政法人納付金収入」は、「独立行政法人 自動車技術総合機構」からの納付金になります。プラスになったのは、「中期目標期間の終了にかかる納付金の受入が予定より多かったため」とあります。これだけではよく分かりませんが。
リンク:「独立行政法人 自動車技術総合機構」

「他勘定より受入」は、「保障勘定」より7.6億円、「自動車事故対策勘定」より2.7億円、となっています。両方ともマイナスになっていて、理由はどちらも「業務取扱費を要することが予定より少なかった等のため」となっています。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
(独)自動車技術総合機構運営費交付金 24億円 24億円 0円
(独)自動車技術総合機構施設整備費補助金 38億円 2988万円 36億円 2.1億円 4148万円
業務取扱費 313億円 291億円 3769万円 22億円
施設整備費 15億円 2.6億円 13億円 4.5億円 2124万円
予備費 3億円 0円 3億円
歳出合計: 394億円 2.9億円 365億円 7.0億円 25億円

「自動車技術総合機構」は上のリンクにあるものです。
「施設整備日補助金」での不用額は、「契約価格が予定を下回ったため」とあります。
「業務取扱費」には人件費が含まれています。というか、ほぼ人件費、庁費で占められています。不用額が生じた理由は「退職手当が予定を下回ったこと等により」とあります。


「剰余金」は140億円となり、「翌年度の歳入に繰り入れること」となっています。


自動車安全–自動車事故対策勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
積立金より受入 97億円 94億円 -2.2億円
償還金収入 11億円 11億円 0円
雑収入 27億円 27億円 +2002万円
歳入合計: 135億円 133億円 -2.0億円

「償還金収入」は、「独立行政法人 自動車事故対策機構」への貸付金償還金になります。
リンク:「独立行政法人 自動車事故対策機構 (NASVA)」

「雑収入」は「預託金利子収入」が主になります。プラスになったのは「自動車事故対策費補助金の返納が予定より多かったため」となっています。


歳出: 算額 支出済額 翌年度繰越 不用額
自動車事故対策費 57億円 51億円 5.6億円
(独)自動車事故対策機構運営費 69億円 69億円 0円
(独)自動車事故対策機構施設整備費 4.8億円 4.7億円 1039万円
業務取扱費自動車検査登録勘定へ繰入 3.9億円 2.7億円 3769万円 7837万円
歳出合計: 135億円 128億円 3769万円 6.4億円

「自動車事故対策費」の中身は、「自動車事故対策委託費(5899万円)」と「自動車事故対策費補助金(51億円)」に分かれます。どちらも、どのような組織に渡っているのかは、決算書では分かりません。
不用額を生じたのは「独立行政法人自動車事故対策機構において介護料支給費が予定を下回ったこと、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構からの交付申請がなかったこと等により」と記されています。
リンク:「一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構

「剰余金」は4.8億円。4.4億円を積立金に、残額3769万円を翌年度の歳入に繰り入れること、されています。



自動車安全–空港整備勘定

歳入 算額 収納済額 差額
空港使用料収入 2104億円 2315万円 +211億円
一般会計より受入 979億円 920億円 -59億円
地方公共団体工事費負担金収入 90億円 78億円 -12億円
償還金収入 201億円 201億円 +929円
配当金収入 62億円 66億円 +3.1億円
空港等財産処分収入 5680万円 16億円 +15億円
雑収入 237億円 315億円 +78億円
前年度剰余金受入 333億円 896億円 +564億円
歳入合計 4006億円 4806億円 +801億円

「空港使用料収入」のプラスは、「国際線の空港施設の使用件数、航行補助施設の利用件数が予定より多かったこと等のため」となっています。

「一般会計より繰入」は、内閣府からの「沖縄空港整備事業費」項目の272億円+150億円、国土交通省からの「空港整備事業費」という名前のついた6項目の合計金額になります。

地方公共団体工事負担金収入」のマイナスは、「直轄空港整備事業の年度精算に伴う減額があったこと等のため」となっています。

「償還金収入」は、空港運営会社の貸付金の償還金が主になっています。
「配当金収入」は、「成田国際空港株式会社」一社からの配当金です。
「空港等財産処分収入」のプラスは、「施設用地の売払いがあったこと等のため」とあります。
「雑収入」には、土地・建物の貸付料(261億円)の他に、航空衛星使用料収入、弁償及び返納金、預託金利子収入などが含まれています。プラスになったのは「土地の貸付料を改定したこと等のため」「契約金額の精算による返納金が予定より多かった等のため」など、小項目ごとに理由が説明されています。


歳出 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
空港等維持運営費 1473億円 1392億円 80億円
空港整備事業費 1066億円 271億円 833億円 460億円 44億円
北海道空港整備事業費 115億円 15億円 102億円 24億円 3.2億円
離島空港整備事業費 15億円 5.7億円 18億円 1・5億円 1.7億円
沖縄空港整備事業費 409億円 281億円 467億円 221億円 1.3億円
航空路整備事業費 318億円 39億円 332億円 19億円 5.7億円
地域公共交通維持・活性化推進費 64億円 56億円 8.5億円
空港塔整備事業工事諸費 18億円 9570万円 17億円 3219万円 1・2億円
一般会計へ繰入 26億円 26億円 667円
国債整理基金特別会計へ繰入 499億円 496億円 3.4億円
予備費 3.3億円 0円 3.3億円
歳出合計: 4006億円 612億円 3739億円 726億円 153億円

「空港等維持運営費」には人件費、庁費、事務処理日などが含まれています。不用額を生じたのは「課税対象仕入が予定を上回ったこと及び課税対象収入が予定を下回ったことにより、消費税を要することが少なかったこと等のため」とあります。この文章、よく理解できないのですが。
この中には「空港警備機器整備費補助」という項目があり、3.6億円を「消費税」の予算から流用増額され、5.3億円が支出されています。流用の理由として「バングラデシュにおけるテロ事案に伴い空港警備機器を整備したため」とありますが、この項目、当初予算で6.8億円確保されているんですよね。流用額を足して10億円としながら、不用額5.1億円を計上しています。

「空港整備事業費」の不用額が生じたのは、「契約価格が予定を下回ったこと、事業規模の縮小による事業計画の変更をしたこと等により」とあります。
「北海道空港整備事業費」「離島空港整備事業費」「沖縄空港整備事業費」はそれぞれ「空港整備事業費」「営繕宿舎費」「調査費」などが含まれています。それぞれ「契約価格が予定を下回ったこと等」といった理由で不用額を計上しています。

「航空路整備事業費」の不用額は、「契約価格が予定を下回ったこと、事業規模の縮小による事業計画の変更をしたこと等により」とあります。

「地方公共交通維持・活性化推進費」の内訳は「航空機等購入費補助金」の一項目だけです。不用額を生じたのは「航空運送事業者からの交付申請額及び契約価格が予定を下回ったため」とあります。

「空港等整備事業工事諸費」には、別に人件費、事務費が計上されています。

「一般会計へ繰入」は、正式には「収益回収公共事業資金貸付金償還金一般会計へ繰入」という項目名になっていて、これは同じ金額が財務省一般会計の収入の中の「諸収入」の項目の中に、「自動車安全特別会計受入金」として計上されています。。

「剰余金」は1067億円。これは翌年度の歳入に繰り入れることと、となっています。

以上が「自動車安全特別会計」の主な内容になります。

この後には、「保障勘定」「自動車事故対策勘定」の損益計算書貸借対照表がついています。
「保障勘定」「自動車事故対策勘定」には「積立金明細表」があり、2016年度末現在の積立金は、保障勘定:143億円、自動車事故対策勘定:1878億円となっています。
「空港整備勘定」には、それぞれの事業ごとの事業費と財源内容を示した「事業実績表」がついいています。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その8 貿易再保険特別会計、特許特別会計

今回は短く。次が長いので。

貿易再保険特別会計経済産業省

貿易再保険特別会計」は、この年度(2016年度)で廃止され、この会計に所属していた権利及び義務は、法律により、「株式会社日本貿易保険」が継承するものを除き、一般会計に帰属させることとして決算を終了しています。
リンク:「株式会社 日本貿易保険 (NEXI)

歳入: 算額 収納済額 差額
再保険収入 471億円 283億円 -187億円
一般会計より受入 16億円 16億円 0円
積立金より受入 1646億円 0円 -1646億円
雑収入 102億円 68億円 -35億円
歳入合計 2235億円 367億円 -1868億円

再保険収入」のマイナスは、「海外事業資金貸付保険の再保険料収入が予定より少なかったこと等のため」とあります。
「一般会計より受入」は、経済産業省からの「政府開発援助」項目として繰り入れられています。
「雑収入」のマイナスは、債権収入や利子収入が予定を下回ったため、とあります。

歳出: 算額 支出済額 不用額
再保険 2140億円 118億円 2021億円
事務取扱費 5.0億円 4.4億円 6751万円
国債整理基金特別会計へ繰入 213万円 0円 213万円
予備費 90億円 0円 90億円
歳出合計: 2235億円 122億円 2112億円

再保険費」の不用額は「海外事業資金貸付保険に係る再保険金の支払請求が予定を下回ったこと、海外投資保険に係る再保険金の支払請求がなかったこと等により」とあります。
「事務取扱費」には、人件費が含まれています。
不用額を生じたのは「特定テーマに係る委託調査を実施しなかったこと等により」とあります。

「剰余金」は244億円となります。この剰余金は「積立金として積み立てる」とあります。
「積立金」は2016年度末現在で1兆0331億円あり、それまで財政投融資金預託金となっていましたが、全額が日本銀行預託となっています。積立金は、そのまま存続するということでしょうか。「剰余金」も翌年度に積み立てられる事になってます。

損益計算書貸借対照表がついています。債務に関する計算書もついています。

会計が廃止されるということで、こうした債務はどうなるのか、気になりますが、決算書では明らかになっていないようです。


特許特別会計経済産業省

歳入: 算額 収納済額 差額
特許料等収入 1125億円 1132億円 +6.5億円
うち特許印紙納付金収入 907億円 914億円 +7.4億円
うち特許料等収入 218億円 217億円 -8940万円
一般会計より受入 1770万円 1770万円 0円
独立行政法人納付金収入 26億円 49億円 +23億円
雑収入 14億円 8.9億円 -5.3億円
前年度剰余金受入 1807億円 1909億円 +102億円
歳入合計: 2972億円 3099億円 +127億円

「特許料収入」は、うちに「特許印紙納付金収入」と「特許料等収入」の2つがあり、「印紙納付金」のプラスは、「特許印紙の売りさばきが予定より多かったため」となっています。
「特許料等」の方のマイナスは「現金納付による特許料及び登録料収入が予定より少なかったこと等のため」との記述があります。

「一般会計より受入」は、経済産業省の一般会計から、となります。
独立行政法人納付金」は「独立行政法人 工業所有権情報・研修館」からのものになります。
リンク:「独立行政法人 工業所有権情報・研修館

「雑収入」のマイナスは、「預託金の運用利回りが予定を下回ったため」に「預託金利子収入」のマイナスが9.1億円ありますが、「工業所有権調査委託費の返納金が予定より多かった等のため」に「雑入」が3.9億円のプラスになっています。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
独立行政法人運営費交付金 119億円 119億円 0円
事務取扱費 1311億円 1229億円 7518万円 82億円
施設整備費 14億円 1563万円 4.8億円 8.9億円 386万円
予備費 2億円 0円 2億円
歳出合計: 1446億円 1562万円 1353億円 9.7億円 84億円

独立行政法人運営費交付金」は、上に掲げた「独立行政法人 工業所有権情報・研修館」への交付金のみになっています。

「事務取扱費」には人件費が含まれています。支出額の大きなものとしては、「審査審判長費(495億円)」、「成果重視事業特許事務機械化庁費(276億円)」などがあります。
その他にも「工業所有権調査等委託費」「中小企業知的財産活用支援事業委託費」「世界知的所有権機関拠出金」などの項目があります。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その7 食料安定供給特別会計、国有林野事業債務管理特別会計

食料安定供給特別会計農林水産省所管)

食料安定供給特別会計」は、
「食料の安定供給を図るために相互に関係づけられる「農業経営安定事業」「食料の需給及び価格の安定のために行う事業」「農業共済再保険事業等」「漁船再保険事業」「漁業共済保険事業」「国営土地改良事業」に関する政府の経理を明確にするため、一般会計と区分して経理するもの」
だそうです。

というわけで、食料安定供給特別会計には、「農業経営安定勘定」「食料管理勘定」「農業共済再保険勘定」「漁船再保険勘定」「漁業共済保険勘定」「業務勘定」「国営土地改良事業勘定」の7つがあります。

ちなみに以前のブログ「その1」で農林水産省からの「共済掛金国庫負担金等 食料安定供給特別会計へ繰入」の額が支出済額ではなく、歳出予算額になっていました。正しくは支出済額:514.77億円でした。訂正しておきます。
また、「保険料国庫負担金等 食料安定供給特別会計へ繰入」は農林水産本省からの繰入ではなく、水産庁からの繰入でした。この部分も訂正しておきます。


食料安定供給–農業経営安定勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
食料管理勘定より受入 775億円 775億円 0円
一般会計より受入 1020億円 1018億円 -1.8億円
独立行政法人納付金 218億円 275億円 +57億円
雑収入 2万円 4307万円 +4305万円
前年度剰余金受入 689億円 694億円 +5.1億円
歳入合計: 2703億円 2763億円 +60億円

「一般会計より受入」は、農林水産省の「農業経営安定事業費等」が合致する額となっています。
独立行政法人納付金」は、「独立行政法人農畜産業振興機構」からの納付金になります。
ホームページはこちら。
独立行政法人 農畜産業振興機構(alic)

歳出: 算額 支出済額 不用額
農業経営安定事業費 2701億円 2004億円 698億円
事務取扱費業務勘定へ繰入 5914万円 4135万円 1779万円
予備費 1億円 0円 1億円
歳出合計: 2703億円 2004億円 699億円

「農業経営安定事業費」の中には、項目が3つあります。「農業経営安定事業収入減少影響緩和対策業務委託費」「農業経営安定事業生産条件不利補正対策交付金」「農業経営安定事業収入減少影響緩和対策交付金」とあるのですが、どのような事業に使われているかは、よく分かりません。「不用額を生じたのは、対象農業者の収入減少の幅が小さかったので」と説明されています。

「剰余金」は759億円。これは法律により翌年度の歳入に繰り入れることになります。


食料安定供給–食糧管理勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
食糧売払代 4689億円 3129億円 -1560億円
輸入食糧納付金 3.7億円 4.8億円 +1.1億円
一般会計より受入 956億円 956億円 0円
食糧証券収入 3727億円 910億円 -2817億円
雑収入 190億円 239億円 +49億円
前年度剰余金受入 0円 79億円 +79億円
歳入合計: 9566億円 5319億円 -4247億円

「食糧売払代」のマイナスは、「麦の売却価格が予定を下回ったこと等のため」とあります。
「輸入食糧納付金」のプラスは、「麦等の輸入に係る納付金が予定より多かったこと等のため」とあります。
「一般会計より受入」は、農林水産省の「食料安全保障確立対策費」項目と額が合致します。
「食糧証券収入」のマイナスは、「麦の買入費が予定より少なかったこと等により、食糧証券の発行残高が予定より少なかったため」と説明されています。
「購入費」が予定より少なく、「納付金」は予定より多く、「売却価格」は予定より低かった、ということ、なのでしょうか。詳しく調べると時間がかかりそうですが。
「雑収入」のプラスは、「国有財産売払収入」がその殆どを占めています。

歳出 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
食糧買入費 5593億円 28億円 2807億円 103億円 2711億円
食糧管理費 396億円 278億円 117億円
交付金等他勘定へ繰入 896億円 866億円 30億円
うち農業経営安定勘定へ繰入 775億円 775億円 0円
うち業務勘定へ繰入 120億円 91億円 30億円
融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入 1000円 1000円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 1832億円 1150億円 682億円
予備費 850億円 0円 850億円
歳出合計: 9566億円 28億円 5101億円 103億円 4391億円

「食糧買入費」の不用額は、「麦の買入価格及び買入数量が予定を下回ったこと等のため」との説明があります。
「食糧管理費」の不用額は、「米の保管経費及び運送経費が予定を下回ったこと等により、米穀販売・管理業務委託費を要することが少なかったこと等のため」との説明があります。
ここにも「融通証券」という名前のついた「一般会計へ繰入」項目があります。1000円ですけど、どこに行くんでしょう?

「剰余金」は、218億円あり、翌年度の歳入に繰り入れることとする、と記述されています。
なお、「損益計算上における損失」は919億円あり、業務勘定からの損益を受け入れた分を合わせた936億円は、法律の規定により調整資金の減額によって整理することとした、とあります。


食糧安定供給–農業共済再保険勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
農業共済再保険収入 688億円 662億円 -26億円
うち再保険 35億円 20億円 -15億円
うち一般会計より受入 515億円 515億円 -2268万円
うち前年度繰越金受入 138億円 127億円 -10億円
積立金より受入 214億円 0円 -214億円
雑収入 1504万円 4148万円 +2644万円
歳入合計: 902億円 663億円 -239億円

「一般会計より受入」は、農林水産省からの「共済掛金国庫負担金等」515億円が繰り入れられているようです。
「共済再保険収入」のマイナスは、「農作物共済の納入再保険料が予定より少なかったこと等のため」となっています。
「前年度繰越金受入」額にマイナスが出ていますが、これはこの項目の中の「未経過再保険料受入」のマイナスは「園芸施設共済の前年度に受け入れた再保険料のうち期間が満了していない再保険料の受入れが予定より少なかったこと等のため」、また「支払備金受入」のマイナスは「園芸施設共済の前年度より繰り越された再保険金の支払財源が予定より少なかったこと等のため」となっています。
再保険金支払財源に不足を生じなかった等のため」、「積立金より受入」は0円となっています。これ、歳出予算と見比べれば、積立金から受け入れないと赤字になるから予算計上しておいたのが、必要なかった、ということなのでしょうか。
「雑収入」は、「再保険金の返納金があったこと等のため」プラスになっています。


歳出: 算額 支出済額 不用額
農業共済再保険費及交付金 590億円 553億円 36億円
事務取扱費業務勘定へ繰入 9.4億円 9.2億円 2021万円
予備費 214億円 0円 214億円
歳出合計 813億円 563億円 250億円

「共済再保険費及交付金」の不用額は「農作物共済及び園芸施設共済において引受共済金額が予定より少なかったこと等により」となっています。
この項目の中には「農業共済組合連合会等交付金」や「家畜共済損害防止事業交付金」などが含まれています。

「剰余金」は100億円生じています。しかし、「未経過再保険料に相当する額」が83億円、「未払備金に相当する額」が72億円あり、これを剰余金から差し引くと55億円の不足を生ずる、この不足分は積立金から補足する、となっています。


食糧安定供給–漁船再保険勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
漁船再保険収入 99億円 94億円 -5.1億円
うち一般会計より受入 80億円 80億円 -1778万円
うち前年度繰越金受入 19億円 14億円 -4.8億円
積立金より受入 1.7億円 0円 -1.7億円
雑収入 521万円 215万円 163万円
前年度剰余金受入 0円 28億円 +28億円
歳入合計: 101億円 123億円 +22億円

「漁船再保険収入」のマイナスは「漁船特殊保険における保険加入1隻当たりの引受保険金額が予定より少なかったこと等のため」とあります。
「一般会計より受入」は、水産庁からの「保険料国庫負担金等」のうちの80億円分、となります。
「前年度繰越資金受入」の中には「農業共済再保険勘定」と同じく「未経過再保険料受入」と「支払備金受入」があります。「未経過再保険料収入」は「普通損害保険の前年度に受け入れた再保険料のうち期間が満了していない再保険料の受入れが予定より少なかったこと等のため」マイナスとなり、「支払備金受入」も「普通損害保険の前年度より繰り越された再保険金の支払財源が予定より少なかったこと等のため」マイナスとなっています。

こちらの勘定でも、「積立金より受入」は0円で済んでいます。
「雑収入」のプラスは「前年度において漁船再保険費及交付金が予定より少なかったこと等のため」とあります。

歳出: 算額 支出済額 不用額
漁船再保険費及交付金 78億円 46億円 32億円
事務取扱非業務勘定へ繰入 6.2億円 6.1億円 1778万円
予備費 1億円 0円 1億円
歳出合計: 85億円 52億円 33億円

「漁船再保険費及交付金」の不用額は「普通損害保険及び漁船船主責任保険において再保険金の支払を要する保険事故に係る保険金の支払請求が予定を下回ったこと等により」となっています。

「剰余金」は70億円生じますが、「未経過再保険料に相当する額」が13億円、「支払備金に相当する額」が1億円あり、それを差し引くと、剰余額は56億円となります。
この「剰余金」のうち、法律によって28億円を翌年度一般会計に繰り入れ、28億円を翌年度に繰り入れる、とされています。


食料安全供給–漁業共済保険勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
漁業共済保険収入 117億円 102億円 -15億円
うち一般会計より受入 89億円 88億円 -5917万円
うち前年度繰越金受入 28億円 14億円 -14億円
雑収入 2万円 0円 -2万円
歳入合計: 117億円 102億円 -15億円

「共済保険収入」のうち「保険料」は0円、収納済額は「一般会計」からと「前年度繰越金」を合わせた額になっています。
「一般会計より受入」は、水産庁の「保険料国庫負担金等」のうちの88億円となっています。
「前年度繰越金受入」のうち、「未経過保険料収入」は「特定養殖共済の前年度に受け入れた保険料のうち期間が満了していない保険料の受入れが予定より多かったこと等のため」プラスに、「支払備金受入」は「養殖共済の前年度より繰り越された保険金の支払財源がなかったこと等のため」マイナスになっています。
「雑収入」は、「預託金利子収入」も「雑入」も0円です。


歳出: 算額 支出済額 不用額
漁業共済保険費及交付金 87億円 55億円 32億円
事務取扱費業務勘定へ繰入 1.3億円 1.1億円 2310万円
予備費 1億円 0円 1億円
歳出合計: 90億円 56億円 33億円

「漁業共済保険費及交付金」の不用額は「漁獲共 済において共済事故が少な かったこと及び特定養殖共済 において共済事故がなかった こと等により」となっています。

「剰余金」は46億円となりますが、「未経過保険料に相当する額」15億円、「支払備金に相当する額」9億円を差し引き、剰余の3億円は法律により一般会計に繰り入れる、とされています。


食糧安定供給–業務勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
他勘定より受入 138億円 107億円 -31億円
うち農業経営安定勘定より受入 5914万円 4135万円 -1779万円
うち食料管理勘定より受入 120億円 91億円 -30億円
うち農業共済再保険勘定より受入 9.5億円 9.2億円 -3856万円
うち漁船再保険勘定より受入 6.3億円 6.1億円 -1852万円
うち漁業共済保険勘定より受入 1.3億円 1.1億円 -2545万円
雑収入 5450万円 13億円 +12億円
前年度剰余金受入 0円 54万円 +54万円
歳入合計: 138億円 120億円 -18億円

「雑収入」のプラスは、「土地の売払面積が予定より多かったこと等のため」となっています。

歳出: 算額 支出済額 不用額
事務取扱費 136億円 120億円 16億円
うち一般会計へ繰入 5207万円 5162万円 45万円
予備費 2億円 0円 2億円
歳出合計 138億円 120億円 18億円

「事務取扱費」には人件費が含まれています。「消費税」が独立した項目としてあり、これに95億円支出されています。

「収納済額」と「支出済額」は同額となっていて「剰余金」はなし、という事になっています。
しかし「損益計算上における損失」が17億円あり、そのうち「食料の需給及び価格の安定のために行う事業以外の事業に係る損益計算上の損失」233万円を控除した残りの損失額17億円は、「食糧管理勘定」の損失に合わせることで処理されています。


食糧安定供給–国営土地改良事業勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
他会計より受入 180億円 167億円 -13億円
うち一般会計より受入 180億円 164億円 -16億円
うち東日本大震災復興特別会計より受入 0円 3.1億円 +3.1億円
土地改良事業費負担金収入 109億円 108億円 -6276万円
借入金 27億円 24億円 -3億円
受託工事費等受入 1.1億円 5256万円 -5400万円
雑収入 1.8億円 1.2億円 -5391万円
前年度剰余金受入 7485万円 9.9億円 +8.3億円
歳入合計: 319億円 311億円 -8.8億円

「一般会計より受入」は、農林水産省の「農業生産基盤整備事業費」、国土交通省の「北海道農業生産基盤整備事業費」「離島農業生産基盤整備事業費」の合算になります。これがマイナスになっているのは、「事業計画の変更により、翌年度への繰越工事があったこと等のため」だそうです。
東日本大震災復興特別会計」よりの受入があるのは、「前年度からの繰越工事があったこと等のため」だそうです。
土地改良事業費負担金収入」のマイナスは、「かんがい排水事業に係る負担金が予定より少なかったこと等のため」だそうです。
「借入金」「受託工事費等受入」は、双方とも「事業計画の変更により、翌年度への繰越工事があったこと等のため」マイナスとなっているそうです。
「前年度剰余金受入」のプラスは、「前年度において土地改良事業費、東日本大震災復興土地改良事業費の繰越しがあったこと等のため」だそうです。


歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
土地改良事業 157億円 50億円 144億円 59億円 3.4億円
東日本大震災復興土地改良事業 0円 5.4億円 5.1億円   2700万円
北海道土地改良事業 20億円 20億円 3017万円
離島土地改良事業 7.3億円 1.1億円 6.0億円 2.2億円 1934万円
土地改良事業工事諸費 29億円 28億円 1.4億円
受託工事費及換地清算 1.0億円 5256億円 4500万円 428万円
土地改良事業費負担金等収入一般会計へ繰入 42億円 42億円 615万円
国債整理基金特別会計へ繰入 60億円 553億円 4.0億円
予備費 3億円 0円 3億円
歳出合計 319億円 56億円 301億円 62億円 13億円

土地改良事業費」は、中の項目は「かんがい排水事業費」「総合農地防災事業費」「営繕宿舎費」となっています。不用額は「事業規模の見直しによる事業計画の変更をしたこと等により事業規模の見直しによる事業計画の変更をしたこと等により、総合農地防災事業費を要することが少なかったこと等のため」とあります。
東日本大震災不幸土地改良事業費」も中の項目は「かんがい排水事業費」となっています。不用額は、「入札結果による事業計画の変更をしたため」となっています。
「北海道土地改良事業費」「離島土地改良事業費」には、それぞれ中の項目として「かんがい排水事業費」「営繕宿舎費」が計上されています。不用額はいずれも「事業規模の見直しによる事業計画の変更をしたこと等により」生じたもの、と説明されています。
土地改良事業工事諸費」には人件費、庁費が主になります。なかに「一般会計へ繰入」7万円が含まれています。これも不用額を生じた理由は、「北海道土地改良事業費」と同じ理由になります。

ここまでが「食料安定供給特別会計」の明細になります。

この後にはそれぞれの勘定の損益計算書貸借対照表が表記されています。
「農業経営安定勘定」と「食糧管理勘定」、「業務勘定」にはそれぞれ財産目録があります。
「農業経営安定勘定」の財産目録は、現金預金(759億円)がその殆どになります。
「食糧管理勘定」の財産目録には、現金預金の他に食糧の売掛金、備蓄米、倉庫用土地、倉庫建物などが含まれています。
「業務勘定」の財産目録には、消費税受入未済金、未収金の他に、庁舎・倉庫敷地、建物、冷暖房その他の装置などが含まれています。

さらに、それぞれの勘定の積立金明細表が示されています。
農業共済再保険勘定」の積立金は、1700億円。注釈に「本年度決算の結果、翌年度において積立金から補足すべき額が 55億円ある」とあります。55億円の減額は翌年度に計上されるようです。
「漁船再保険勘定」の積立金は、57億円、となっています。

「食糧管理勘定」には「調整資金増減実績表」がついています。翌年度への繰越額は、1858億円となっています。

「国営土地改良事業勘定」には「事業実績表」がついています。これには「土地改良事業」として「かんがい排水事業」「農用地再編整備事業」「総合農地防災事業」、「北海道土地改良事業」として「かんがい排水事業」「畑地帯総合土地改良パイロット事業」があり、さらに「離島土地改良事業」「沖縄土地改良事業」「受託工事」について、それぞれ河川、地域ごとの工事の事業費、財源の一覧が示されています。
さらに「借入金の借入れ及び償還実績表」「受益者負担に係る債権の発生及び回収実績表」が事業別一覧表として示されています。


国有林野事業債務管理特別会計農林水産省

この特別会計は、単一の会計となっています。

歳入: 算額 収納済額 差額
他会計より受入
 一般会計より受入 116億円 116億円 -4516万円
 利子財源受入 45億円 45億円 -449円
借入金 3131億円 3131億円 0円
歳入合計: 3292億円 3291億円 -4516万円

「一般会計より受入」「利子財源受入」は共に農林水産省からで、「国有林野事業収入財源借入金債務処理費」「借入金利子」という項目名で一般会計より繰り入れられています。マイナスの理由は「一時借入金利子の支払がなかったため」と記されています。
「借入金」については、内訳の中で「借入先 民間資金」とだけ書かれています。これも細かいことは調べてみないと分かりませんね。

歳出: 算額 支出済額 不用額
国債整理基金特別会計へ繰入 3292億円 3291億円 4516万円

歳出は一項目だけです。収納済額の全額が「国債整理基金特別会計」へ繰り入れられ、歳入の不足額は、そのまま歳出の不用額となっています。剰余金の過不足もなし、という決算になっています。

なんでこんなお金の流れに、と思って財務省のホームページで見てみると、こうなってます。

それまであった「国有林野事業特別会計」は、2012(閉栓24)年度末で一般会計へ移管されていて、この「国有林野事業債務管理特別会計」は、以前の特別会計に残った借入金の償還のために残されていて、林産物収入や利子財源の額を一般会計から繰り入れ、国債整理基金特別会計を通じて償還する、という形になっているようです。

2016(平成28)年度特別会計決算を読む その6 年金特別会計

年金特別会計内閣府厚生労働省所管)

さて、年金特別会計です。
年金特別会計には、「基礎年金勘定」「国民年金勘定」「厚生年金勘定」「健康勘定」「子供・子育て勘定」「業務勘定」の6つの勘定があります。

年金–基礎年金勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
拠出金等収入 23兆1432億円 23兆1427億円 -4.9億円
うち国民年金勘定より受入 3兆5935億円 3兆5935億円 -2314万円
うち厚生年金勘定より受入 17兆2627億円 17兆2624億円 -2.8億円
うち国家公務員共済組合連合会等拠出金 2兆2819億円 2兆2818億円 -3738万円
運用収入 51億円 49億円 -1.5億円
積立金より受入 9412億円 8585億円 -827億円
雑収入 61億円 44億円 -17億円
歳入合計: 24兆0905億円 24兆0055億円 -849億円

「拠出金等収入」のマイナスは、「国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)」の規定によるもの、と記載されています。「基礎年金の給付に要する費用に当てられた額が予定より多かったため」とのことです。
「運用収入」のマイナスは利子収入の不足、「雑収入」のマイナスは「基礎年金費に係る返納金が少なかったため」「厚生年金勘定からの支払調整金の受入が少なかったため」などの理由が記されています。
全般的に、歳入は予算額より少なくなっています。

歳出 算額 支出済額 不用額
基礎年金給付費 22兆5104億円 21兆6833億円 8271億円
他勘定へ繰入及給付金 1兆4891億円 1兆4891億円 3517円
うち国家公務員共済組合連合会交付金 1910億円 1910億円 1831円
うち国民年金勘定へ繰入 5593億円 5593億円 1624円
うち厚生年金勘定へ繰入 7388億円 7388億円 62円
諸支出金 9.9億円 2.5億円 7.5億円
予備費 900億円 0円 900億円
歳出合計: 24兆0905億円 23兆1726億円 9179億円

「基礎年金給付費」は、「不用額を生じたのは、 1 人当たり給付費が予定を下回ったこと等のため」と説明がされています。
「諸支出金」の不用額は、ほとんどがその中の「支払調整金繰入」の不用額で、これには「厚生年金勘定及び国民年金勘定への支払調整金の繰入れが予定を下回ったことにより」となっています。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」8329億円は、積立金として積み立てる、とされています。


年金–国民年金勘定

歳入 算額 収納済額 差額
保険収入 3兆9589億円 4兆0660億円 +1070億円
うち保険料収入 1兆3996億円 1兆5069億円 +1074億円
うち一般会計より繰入 2兆0001億円 1兆9997億円 -3.6億円
うち基礎年金勘定より繰入 5593億円 5593億円 -1624円
うち預託金利子収入 1640万円 2332万円 +692万円
積立金より受入 3426億円 650億円 -2776億円
独立行政法人納付金 1575億円 2994億円 +1419億円
雑収入 9.5億円 6.1億円 -3.5億円
前年度剰余金受入 2902万円 2902万円 +919円
歳入合計: 4兆4600億円 4兆4310億円 -290億円

「保険料収入」のプラスは、「1人当たり保険料が予定より多かったこと等のため」となっています。
「一般会計より繰入」はどこからか、ピッタリとした数字がなかったので、いろいろ計算してみたところ、厚生労働省からの「特別障害給付金給付費」の30億円、「基礎年金拠出金等」の11兆2425億円うちの1兆9967億円、となっているようです。差し引き残りの9兆2458億円が、下の「厚生年金勘定」の「一般会計より繰入」の額とぴったり合うので。
独立行政法人納付金」は、「年金積立金管理運用独立行政法人」「独立行政法人福祉医療機構」からの納付金となります。
ホームページはこちら
年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)」…話題になっていますね。
独立行政法人福祉医療機構 (WAM)」…以前の「特殊法人社会福祉・医療事業団」から2003年に独立行政法人化したもの、だそうです。
「雑収入」のマイナスは、返納金収入、支払調整金受入が予定より少なかったため、とされています。

歳出 算額 支出済額 不用額
特別障害給付金給付費 34億円 31億円 2.9億円
福祉年金給付費 1.7億円 1.2億円 5065万円
国民年金給付費 7131億円 6400億円 731億円
基礎年金勘定へ繰入 3兆5935億円 3兆5935億円 2315万円
業務勘定へ繰入 915億円 915億円 0円
諸支出金 555億円 535億円 20億円
予備費 29億円 0円 29億円
歳出合計: 4兆4600億円 4兆3817億円 783億円

「特別障害給付金給付費」「福祉年金給付費」「国民年金給付費」の不用額は、それぞれ「一人あたりの給付費、受給者数が予定を下回ったため」とされています。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」493億円は、法律により493億円を積立金に、1638万円を翌年の歳入に繰り入れる、となっています。


年金–厚生年金勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
保険収入 45兆0153億円 48兆5918億円 +3兆5765億円
うち保険料収入 28兆7091億円 29兆4754億円 +7663億円
うち一般会計より受入 9兆2471億円 9兆2458億円 -13億円
うち労働保険特別会計労災勘定より受入 84億円 84億円 -837万円
うち基礎年金勘定より受入 7388億円 7388億円 -62円
うち存続厚生年金基金等徴収金 45億円 36億円 -9.0億円
うち解散厚生年金基金等徴収金 1兆5722億円 4兆3844億円 +2兆8122億円
うち実施機関拠出金収入 4兆6391億円 4兆6391億円 -1626円
うち存続組合等納付金 959億円 959億円 -2710円
うち運用収入 2.3億円 4.7億円 +2.5億円
積立金より受入 4189億円 0円 -4189億円
独立行政法人納付金 1兆2545億円 1574億円 -1兆0971億円
雑収入 105億円 64億円 -41億円
前年度剰余金受入 61万円 61万円 +617円
歳入合計: 46兆6992億円 48兆7556億円 +2兆0563億円

「保険料収入」のプラスは、「被保険者が予定より多かったこと等のため」とあります。
「一般会計より繰入」は、上の国民年金勘定のところに書いたように、厚生労働省からの繰入になります。
「解散厚生年金基金等徴収金」が大幅に増額になっています。厚生年金基金は2014年度から新規設立はできなくなっていて、解散時には「最低責任準備金」を国に納付することになっているようです。この「責任準備金相当額徴収額が予定より多かったため」とあり、厚生年金の解散が予算制定時より多くなったためではないか、と考えられます。他年度との比較など、確実なことは、詳しく調べてみないとわかりませんが。
独立行政法人納付金」は、国民年金勘定と同じく「年金積立金管理運用独立行政法人」「独立行政法人福祉医療機構」から納付されています。

歳出: 算額 支出済額 不用額
保険給付費 24兆4125億円 23兆4814億円 9312億円
実施機関保険給付費等交付金 4兆7855億円 4兆7855億円 0円
基礎年金勘定へ繰入 17兆2627億円 17兆2624億円 2.8億円
業務勘定へ繰入 1189億円 1189億円 0円
諸支出金 226億円 114億円 112億円
うち一般会計へ繰入 1273万円 225万円 1048万円
予備費 970億円 0円 970億円
歳出合計: 46兆6992億円 45兆6595億円 1兆0397億円

「保険給付費」の不用額は「 1人当たり給付費が予定を下回ったこと等により」とあります。この中には「日本私立学校振興・共済事業団負担金」「存続厚生年金基金等給付費等負担金」が含まれています。
「実施機関保険給付等交付金」は1項目だけ、「国家公務員共済組合連合会交付金」となっています。
「剰余金」は3兆0960億円、これは積立金として積み立てることとする、とあります。
リンク:「日本私立学校振興・共済事業団」、「国家公務員共済組合連合会(KKR)


年金–健康勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
保険収入 8兆9693億円 9兆1708億円 +2015億円
うち保険料収入 8兆9200億円 9兆1604億円 +2015億円
うち一般会計より受入 104億円 104億円 0円
運用収入 1万円 612万円 +611万円
独立行政法人納付金 1.8億円 1.8億円 -754円
借入金 1兆4792億円 1兆4698億円 -95億円
雑収入 318万円 567万円 +249万円
前年度剰余金受入 2145億円 2475億円 +330億円
歳入合計: 10兆6632億円 10兆8883億円 +2251億円

「保険料収入」のプラスは、「被保険者が予定より多かったこと等のため」とあります。
「一般会計より受入」は、厚生労働省からの「健康保険事業借入金諸費」が該当するようです。
独立行政法人納付金」とありますが、中身は「業務勘定より受入」のみとなっています。
「雑収入」の中にも「業務勘定より受入」項目があり、314万円が収納済となっています。

歳出: 算額 支出済額 不用額
保険料等交付金 9兆1476億円 9兆1466億円 9.4億円
業務勘定へ繰入 237億円 237億円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 1兆4896億円 1兆4802億円 95億円
歳出合計: 10兆6632億円 10兆6527億円 105億円

「保険料等交付金」の不用額は、「船員保険料等の交付が予定を下回ったため」とあります。
「業務勘定から受入」がありながら、「業務勘定へ繰入」もしていますね。どういう手続きになっているのか、詳しいことは法律などを調べてみないと分かりません。

「剰余金」は、2356億円となっていて、これは法律の規定により翌年度の歳入に繰り入れる、となっています。


年金–子供・子育て勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
拠出金収入 3351億円 3356億円 +5.0億円
他会計より受入
 一般会計より受入 1兆2521億円 1兆2521億円 0円
 うち児童手当財源受入 1兆1614億円 1兆1614億円 0円
 うち特例給付等財源受入 461億円 461億円 0円
 うち地域子供・子育て事業財源受入 427億円 427億円 0円
 うち業務取扱費財源受入 19億円 19億円 0円
積立金より受入 3.4億円 3.4億円 0円
雑収入 24億円 71億円 +48億円
前年度剰余金受入 245億円 399億円 +155億円
歳入合計: 1兆6143億円 1兆6351億円 +207億円

「拠出金収入」は「事業主拠出金収入」の1項目だけで、プラスになった理由は「被用者が予定より多かったこと等のため」とあります。
「一般会計よりの受入」は、全て「内閣府–子ども・子育て本部」からのものになります。「児童手当 繰入」が1兆1614億円、「地域子供・子育て支援事業繰入」が427億円、「年金特別会計へ繰入」が480億円。これは「特例給付等財源受入」と「業務取扱費財源受入」に分けられています。
「雑収入」のプラスは、「子ども・子育て支援交付金に係る返納金が予定より多かったこと等のため」とあります。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
児童手当等交付金 1兆4155億円 1兆3699億円 456億円
地域子ども・子育て支援及仕事・子育て両立支援事業費 1936億円 2.5億円 1754億円 13億円 172億円
業務取扱費 22億円 20億円 1.8億円
うち業務勘定へ繰入 16億円 16億円 0円
諸支出金 4500万円 4000万円 500万円
予備費 30億円 0円 30億円
歳出合計: 1兆6143億円 2.5億円 1兆5474億円 13億円 660億円

「児童手当等交付金」の不用額は、「児童手当の支給対象児童が予定を下回ったこと等により」とあります。この項目の中では、「児童手当交付金」から「特例給付等交付金」へ60億円が流用され、「特例給付等交付金」は予算額462億円より多い522億円が支出されています。
「子ども・子育て支援及仕事・子育て支援事業費」の不用額は、「病児保育事業及び延長保育事業が予定を下回ったこと等により」とあります。
「業務取扱費」には職員基本給などの人件費が含まれています。

「剰余金」は877億円、翌年度への繰越に13億円、積立金に180億円、残額684億円を翌年度の歳入に繰り入れること、となっています。

年金–業務勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
一般会計より受入 1049億円 1049億円 0円
他勘定より受入 2357億円 2357億円 0円
うち国民年金勘定より受入 915億円 915億円 0円
うち厚生年金勘定より受入 1189億円 1189億円 0円
うち健康勘定より受入 237億円 237億円 0円
うち子ども・子育て支援勘定より受入 16億円 16億円 0円
特別保健福祉業資金より受入 1004万円 60万円 -944万円
独立行政法人納付金 1.5億円 2.0億円 +4713万円
雑収入 86億円 398億円 +312億円
前年度剰余金受入 290億円 463億円 +173億円
歳入合計: 3784億円 4269億円 +485億円

「一般会計より受入」は、厚生労働省からの「業務取扱費」が該当する金額になります。
独立行政法人納付金」は「独立行政法人福祉医療機構」からの納付金になります。
「雑収入」が大幅に増えているのは、予算計上されていなかった「日本年金機構納付金(226億円)」「日本年金機構出資回収金(8851万円)」があったためのようです。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
業務取扱費 401億円 384億円 16億円
社会保障オンラインシステム費 672億円 3.6億円 624億円 0円 52億円
日本年金機構運営費 2709億円 2709億円 0円
健康勘定へ繰入 1.9億円 1.9億円 903円
一般会計へ繰入 1004万円 60万円 944万円
予備費 1200万円 0円 1200万円
歳出合計: 3784億円 3.6億円 3719億円 0円 68億円

「業務取扱費」の中には人件費、庁費が含まれています。他には「一般会計へ繰入(1219万円)」が含まれていますが、よくよく調べてみると、コード番号に「会計間重複」と示されているので、一般会計には項目として上がっていないようです。

ちなみに一般会計を見ると、厚生労働省の歳入の中に「厚生年金勘定」からの225万円と「業務勘定」からの60万円を足し合わせた285万円が計上されています。
ホームページ:「日本年金機構

「剰余金」は550億円。「特別保健福祉事業以外の事業」に係るものについての剰余金550億円は、国民年金勘定の積立金に110億円、厚生年金勘定の積立金に120億円、健康勘定の翌年度歳入への繰入に13億円、業務勘定の翌年度歳入への繰入に306億円、となっています。
「特別保健福祉事業に係る者」についての剰余金1656万円については、特別保健福祉事業資金に組み入れる、としています。

以上が年金特別会計の各勘定の決算の明細の主なもの、ということになります。この後には基礎年金勘定、国民年金勘定、厚生年金勘定、健康勘定、業務勘定の損益計算書貸借対照表が添付されています。「子ども・子育て支援勘定」にはなぜかありません。

さらに、積立金の明細が添付されています。年度末現在地を見ておきます。
基礎年金勘定の積立金は、2兆3596億円。
国民年金勘定の積立金は、7兆2583億円。
厚生年金勘定の積立金は、107兆2240億円。
子ども・子育て支援勘定の積立金は、411億円。

その他に、業務勘定には「特別保健福祉事業資金増減実績表」があります。前年度剰余金受入と運用益を合わせた金額(60万円)は、全額歳入に繰り入れられて、年度末現在額は0円です。

2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その5 労働保険

ちょっと時間が開きました。だんだん会計の内容が面倒くさくなってきたので。気を取り直しつつ。その前に「その1」の中の、一般会計から「労働保険特別会計」への繰入総額に誤りがありましたので、訂正しています。総額は1280億円ではなく、1384億円です。単なる計算違いです。

労働保険特別会計厚生労働省所管)


労働保険特別会計は、失業保険、労働者災害補償保険雇用保険などの経理を明確にするために設置されたもので、労災保険事業を経理する「労災勘定」、雇用保険事業を経理する「雇用勘定」、そして労働保険料の徴収に係る業務を経理する「徴収勘定」に三つの勘定に区分されています。

労働保険–労災勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
保険収入 1兆0684億円 1兆0684億円 +532円
うち徴収勘定より受入 8723億円 8723億円 0円
うち一般会計より受入 1.92億円 1.92億円 0円
うち未経過保険料受入 223億円 223億円 +532円
うち支払備金受入 1736億円 1736億円 0円
運用収入 1319億円 1305億円 -14億円
独立行政法人納付金 2.23億円 2.23億円 +50円
雑収入 189億円 224億円 +35億円
前年度繰越資金受入 0円 22億円 +22億円
歳入合計: 1兆2194億円 1兆2237億円 +281億円


「一般会計より受入」は、厚生労働省からの「労働者災害補償保険保険給付費 労働保険特別会計へ繰入」に当たるようです。
「運用収入」のマイナスは、「預託金の運用利回りが予定を下回ったこと等のため」となっています。
「雑収入」のプラスは、17億円が「未払賃金立替払事業費補助金の返納金があったこと等のため」、18億円が「労働者災害補償保険法(昭和 22 年法律第 50 号)第 12 条の 4 の規定による損害賠償金が予定より多かったこと等のため」となっています。
「前年度繰越資金受入」が予算計上されていませんが、これには「前年度において独立行政法人労働者健康福祉機構施設整備費の繰越しがあったこと等のため」となっています。
「労働車健康福祉機構」って? と思ってググってみると、これは「労働者健康安全機構」の全身組織のようで、「労働者健康安全機構」のホームページに「 平成28年4月より、独立行政法人 労働者健康福祉機構独立行政法人労働安全衛生総合研究所が統合し、「独立行政法人労働者健康安全機構」として発足」との記述があります。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
労働安全衛生対策費 186億円 167億円 1960万円 18億円
保険給付費 7679億円 7357億円 322億円
職務上年金給付費年金特別会計へ繰入 84億円 84億円 837万円
職務上年金給付費等交付金 58億円 58億円 0円
社会復帰促進等事業費 1396億円 3944万円 1213億円 13億円 171億円
(独)労働者健康安全機構運営費交付金 99億円 99億円 0円
(独)労働者健康安全機構施設整備費 28億円 17億円 40億円 4億円 5757万円
仕事生活調和推進費 26億円 445万円 12億円 0円 14億円
中小企業退職金共済等事業費 19億円 19億円 31万円
(独)労働政策研究・研修機構労災勘定運営費交付金 1億円 1億円 0円
(独)労働政策研究・研修機構施設整備費 5481万円 4347万円 1134万円
個別労働紛争対策費 11億円 10億円 1億円
業務取扱費 536億円 492億円 1611万円 43億円
施設整備費 13億円 5.2億円 10億円 6.9億円 1.7億円
保険料返還金等徴収勘定へ繰入 377億円 371億円 5.7億円
予備費 67億円 0円 67億円
歳出合計: 1兆0580億円 22億円 1兆0602億円 9934億円 644億円


「労働安全衛生対策費」には、事務費(旅費・庁費など)などの他に、「労働災害防止対策事業委託費」「産業医学助成費補助金」「産業保健活動総合支援事業費補助金」などが含まれています。あと「受動喫煙防止対策助成金」というものも。
「社会復帰促進等事業費」の中には、「労災援護給付金(支出済:959億円)」が最大の支出となっています。この中に「未払賃金立替払事業費補助金」があります。
「仕事生活調和推進費」には、「労働時間等設定改善推進助成金」というのが含まれています。これはどんな事業をしているのか、少し気になります。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 (JILPT)」にはホームページがあります。
「業務取扱費」には人件費、庁費が含まれています。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は323億円。これは積立金として積み立てることとする、とあります。

労働保険–雇用勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
保険収入 2兆0446億円 2兆0199億円 -247億円
うち徴収勘定より受入 1兆8922億円 1兆8922億円 0円
うち一般会計より受入 1524億円 1277億円 -247億円
積立金より受入 4058億円 1700億円 -2358億円
運用収入 6.1億円 7.0億円 +8939万円
独立行政法人納付金 917万円 643万円 -273万円
雑収入 188億円 233億円 +45億円
前年度繰越資金受入 0円 37億円 +37億円
歳入合計: 2兆4697億円 2兆2175億円 -2522億円


「一般会計より受入」は、厚生労働省の「失業等給付費等」と「就職支援法事業費」からの繰入で、総額1277億円になるようです。マイナスになったのは「失業給付金・育児休業給付金・職業訓練受講給付金・認定職業訓練実施奨励金」を要することが少なかったため、との説明があります。これは一般会計決算にも書かれており、「決算額を調整して減額した」と書かれてあります。
「積立金より受入」のマイナスも、「失業給付金を要することが少なかったこと等のため」とあります。

歳出 算額 前年度繰越 流用増減 支出済額 翌年度繰越 不用額
中小企業雇用安定事業等補助金 62億円 62億円 16万円
(独)勤労者退職金共済機構運営費 3238万円 3238万円 0円
労使関係安定形成促進費 4.1億円 3.9億円 1896万円
個別労働紛争対策費 11億絵円 10億円 9660万円
職業紹介事業等実施費 574億円 527億円 46億円
地域雇用機会創出等対策費 978億円 786億円 1485万円 193億円
高齢者等雇用安定・促進費 1731億円 -174億円 1444億円 113億円
失業等給付費 1兆7211億円 1兆4838億円 2374億円
就職支援法事業費 251億円 2.6億円 182億円 72億円
職業能力開発強化費 549億円 2124万円 498億円 2.2億円 49億円
若年者等職業能力開発支援費 33億円 26億円 6.9億円
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構運営費 672億円 672億円 0円
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構施設整備費 20億円 2454万円 16億円 1.4億円 3.7億円
障害者職業能力開発支援費 17億円 16億円 1.3億円
技能継承・振興推進費 41億円 41億円 3313万円
男女均等雇用対策費 118億円 +174億円 271億円 21億円
(独)労働政策研究・研修機構運営費交付金 19億円 19億円 0円
(独)労働政策研究・研修機構施設整備費 1.4億円 1.3億円 612万円
業務取扱費 948億円 9.8億円 910億円 48億円
施設整備費 34億円 2.8億円 23億円 12億円 1.9億円
雇用安定資金へ繰入 528億円 528億円 0円
保険料返還金等徴収勘定へ繰入 284億円 271億円 13億円
予備費 610億円 0円 61億円
歳出合計: 2兆4697億円 16億円 2兆1144億円 16億円 3554億円


「職業紹介事業等実施費」の不用額は「業務内容の見直しによる業務計画の変更をしたこと及び契約価格が予定を下回ったことにより」との説明があります。
「地域雇用機会創出等対策費」の不用額は「キャリア形成促進助成金の支給人員及び 1 人当たり支給額が予定を下回ったこと等により」との説明があります。
「高齢者等雇用安定・促進費」の不用額は「特定求職者雇用開発助成金及びトライアル雇用奨励金の支給件数が予定を下回ったこと等により」との説明があります。
「失業等給付費」の不用額は「一般求職者給付及び高年齢求職者給付が予定を下回ったこと等により」とあります。
「就職支援法事業費」の不用額は「支給人が予定を下回ったこと等により、認定職業訓練実施奨励金を要することが少なかったこと等のため」とあります。
「職業能力開発強化費」の不用額は「総合的職業能力開発プログラム推進事業及び雇用型訓練等の推進事業が予定を下回ったこと等により、生涯職業能力開発事業等委託費を要することが少なかったこと等のため」とあります。


「若年者等職業能力開発支援費」の不用額は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成 28 年法律第 89 号)の施行が遅れたので、外国人技能実習機構交付金を要することが少なかったこと等のため」とあります。
「キャリア形成促進助成金」「特定求職者雇用開発助成金」「トライアル雇用奨励金」「認定職業訓練実施奨励金」などなど、様々な助成金、奨励金がありますが、これらの「支給人が予定を下回ったのは、どういう経緯があってのことか」についての説明を知りたいと思いますが。どこかで公表されているのでしょうか。
「若年者等職業能力開発支援費」の中の項目で、「外国人技能実習機構交付金」は7.4億円の予算が計上されていますが、支出済額は3.2億円に留まっています。

「男女均等雇用対策費」は計上された予算を大きく上回って支出されています。これは「介護支援取組助成金の支給件数が増加したため」とあり、「高齢者等雇用安定・促進費」から移用されています。「不用額を生じたのは、介護支援取組助成金の支給件数が予定を下回ったこと、介護離職 防止支援助成金を要しなかったこと等により、雇用安定等給付金を要することが少なかったこと等のため」となっています。


「業務取扱費」には人件費が含まれている他に、「一般会計へ繰入」として6257万円が支出されています。これは一般会計のどの項目に繰り入れられているのかは、ちょっとわかりません。厚生労働省の歳入歳出決算の中に「失業者退職手当特別会計等負担金(収納済額:834万円)」、「労働保険審査会費特別会計負担金(収納済額:2.86億円)」がありますが、金額が合いません。


「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は1032億円となっています。このうち、「雇用安定事業、能力開発事業及び法律に規定された暫定雇用福祉事業以外」の収納済額から支出済額・繰越額を引いた506億円は積立金とは積み立てる、とします。
「雇用安定事業、能力開発事業及び法律に規定された暫定雇用福祉事業」収納済額から支出済額・繰越額を引いた464億円は、規定によって雇用安定資金に組み入れる、としています。
これ、2つを足すと970億円となって、剰余金の金額と異なりますが、その差額についての説明はありません。翌年度の歳入に繰り入れる事になっているのでしょうか。


独立行政法人のホームページはこちらになります。これ、一般会計の時もやっとけばよかったかも、と思ってしまいますが。
ホームページ:
独立行政法人 勤労者退職金共済機構
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

労働保険–徴収勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
保険収入 2兆7436億円 2兆7561億円 +125億円
一般会計より繰入 9266万円 9266万円 0円
一般拠出金収入 36億円 37億円 +2871万円
労災勘定より受入 377億円 371億円 -18億円
雇用勘定より受入 284億円 271億円 -13億円
雑収入 9.6億円 17億円 +7.7億円
前年度剰余金受入 244億円 290億円 +46億円
歳入合計 2兆8388億円 2兆8548億円 +161億円


「一般会計より受入」の9266万円は、環境省からの「石綿健康被害救済事務費」というものに当たるのか、と思われます。
「労災勘定」「雇用勘定」からの受入がマイナスになっているのは、「業務取扱費を要することが予定より少なかったこと等のため」と説明されています。
「雑収入」のプラスは、主に延滞金で、「雇用保険料に係る延滞金が予定より多かったこと等のため」だそうです。

歳出 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
業務取扱費 343億円 312億円 31億円
保険給付費等財源労災勘定へ繰入 8723億円 8723億円 0円
失業等給付費等財源雇用勘定へ繰入 1兆8922億円 1兆8922億円 0円
諸支出金 399億円 373億円 26億円
予備費 1億円 0円 1億円
歳出合計: 2兆8388億円 2兆8330億円 58億円


「事務取扱費」には人件費も含まれています。ここからも「一般会計へ繰入」41万円が支出済みとなっています。
「諸支出金」には、「賠償償還及払戻金」「保険料返還金」が含まれています。不用額を生じたのは「雇用保険料及び労災保険料に係る精算返還金が予定を下回ったことにより」となっています。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は218億円となります。これは翌年度の歳入に繰り入れられます。


労災保険特別会計」には、それぞれの勘定ごとに損益計算書貸借対照表が添付されています。
さらに「労災勘定」「雇用勘定」には積立金があり、「雇用勘定」には「雇用安定資金」があります。
「労災勘定積立金」は2016年度末で、7兆8616億円。
「雇用勘定積立金」は2016年度末で、6兆2560億円となっています。
「雇用安定資金」は前年度末9403億円、雇用勘定から528億円、前年度剰余金から1180億円を受け入れ、年度末現在額は1兆1112億円となっています。

決算書に見る「統計調査」

「毎月勤労統計」や「賃金構造基本統計」の不正、不適切な統計操作が話題になっていますが、ついでなので2016年度の決算報告書から、厚生労働省で支出された統計調査に関する決算項目をピックアックしてみます。

厚生労働本省–本省共通費

項目 算額 支出済額 不用額
厚生労働統計調査費 8.82億円 8.47億円 3520万円
厚生労働統計調査委託費 4005万円 3896万円 109万円
国民生活基礎調査等委託費 19.75億円 19.56億円 1952万円
毎月勤労統計調査委託費 8.83億円 8.83億円 0円

厚生労働省都道府県労働局

項目 算額 支出済額 不用額
統計調査員手当 9167万円 8647万円 521万円
厚生労働統計調査費 1143万円 990万円 153万円

ま、これだけでは、それぞれの予算がどのように使われたかははっきりしませんが、それなりに予算を使用して取り組んでいることが(好意的にみれば)分かります。気になるのは、「毎月勤労統計調査委託費」だけが全額支出済で不用額が0円なこと。

厚生労働省のホームページを探しても、この「毎月勤労統計調査委託費」がどこに支払われているのかは、判然としません。引き続き、なるべく時間を作って追いかけてみようかな、と思っていますが。

まあ、自分ひとりでできることも少ないし。
今日の所は、取り急ぎ。