乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

「共謀罪」成立

共謀罪」が、あまりにも乱暴な国会運営の末に成立しました。
14日、金田法相の問責決議案を否決した参議院本会議は、法務委員会の審議を打ち切って「中間報告」を提出、直接本会議で可決する、という事態に。本会議の審議を経て、翌朝に採決、成立ということになりました。

圧倒的多数を誇る与党である自民党公明党がどうして、これほどまでの異常な運営を行ってまで法案成立を急いだのか、どのような理由があったのかは、国民に向かって説明されているのでしょうか?
普通に考えれば、日程的に不足なら会期を延長して審議を続け、可決まで持っていくのが普通で、多数を占めている与党ならば、無理なくできるはずであり、このような異常な会議運営を進めざるを得ない理由など、ないはずでは、と思ってしまうのですが。

http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2017/06/post-7333.html

弁護士の方のブログでは、国会法では、委員会を止めて中間報告を求めるには「特に必要がある」場合で、委員会の審査に期限を設けるか本会議で議決するには「特別な緊急性が認め」られる必要がある、と説明されています。

今回の採決は、国会法に違反する可能性があり、場合によっては「共謀罪」の成立に疑いが生じる可能性もあるのでは、という意見が示されています。

では、今回の「共謀罪」の本会議採決には、「特に必要がある」事由はどのようなもので、「特別な緊急性」としてどのような理由があったのか、本会議や委員会でどのような説明がされたのか、されなかったのか、が気になります。

手続きもさることながら、その内容についても疑問が山積しています

安倍首相の「この法案が成立しないと、オリンピックが開けないと言っても過言ではない」という答弁は、答弁の瞬間から破綻しているわけですし。
オリンピックの招致委員会で安倍首相自らが「日本は安全な国」とアピールしているばかりでなく、東京オリンピック決定時にも「オリンピック開催のために共謀罪の成立が必要」などという言及はされてなくて、共謀罪とオリンピックが無関係であることはいうまでもなく、安倍首相自身も「共謀罪が成立しなかったら、東京都にオリンピックの中止を求める」ことはしていませんし。

共謀罪」の論議では、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約TOC条約)」を締結するため、との説明が政府からされていましたが、国連の担当者は「新たな法律の導入を正当化するために条約を利用してはならない」と発言してます。
さらに、「英国は長年TOC条約のメンバーだが、条約を締結するだけでは、テロの防止にはならない」とも語ってます。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017060590070737.html

それに、そもそもTOC条約は「テロ対策の条約ではない」訳で、この法案を「テロ対策のため」という理屈もまた、破綻しています。

共謀罪」の国会審議が滞ったように見えるのは、法案審議の基礎となる「立法の根拠」となる事例が、政権側から一つも提示されなかったことが最大の理由だと思います。金田法相の答弁は、これまで聞いたことがないほど酷いものであり、政府の側すらも答弁させないようにしている有様で、採決の乱暴さもさることながら、金田法相、安倍首相の「質問に答えないで、別のことばかり長々と喋り続ける」答弁は、呆れるのを通り越して「日本語が通じてないのか?」と疑うばかりでした。


ただ、それが政権側の(内閣の)戦術(重要な質問には一切答えない)だとしたら、これほど国民の代表としての国会議員を、ひいては国民をバカにした答弁にしか思えず、国会という、国の運営の根幹を決める議会を軽視している、としか思えません。

国会をバカにして、国民をバカにする内閣(行政府)に対しては、国民としてはあらがうしかないのだろうな、と思ったりもする。