2016(平成28)年度決算を、引き続き見ていきます。歳出を、あれこれ見ていこうと思います。
歳出–皇室費
皇室費には予算額(補正予算含む)として67億円が計上され、前年度繰越額3億円、予備費2億円を合わせて総額72億円が予算総額になります。
それに対する支出済額は、54億円。15億円を翌年度繰越とし、不用額が4億円、となっています。
その内訳は、大きく「内廷費」「皇族費」「宮廷費」に別れます。
内廷費
「内廷費」3億2400万円は、天皇・内廷にある皇族の日常の費用に当てられるもので、法律(皇族経済法、皇族経済法施行法)によって定額が定められているものです。前年度繰越もなし、予備費の使用もなし。支出済額も同額の3億2400万円で、繰越金なし、不用額なしとなっています。
「皇室経済法」では内廷費の範囲を「天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族」としているので、いわゆる直系を「内廷にある皇族」としているのでしょう。
これについては、天皇・内廷皇族の日常生活のためのお金で、これは「公金ではない」ということになっているので、その明細についても明らかにはなっていません。ま、「家計費」のようなもので、根掘り葉掘りするのも野暮、というものだと思います。
皇族費
そして「皇族費」は、その他の皇族に「品位保持の資に充てるため」独立の生計を営む皇族に支出するもので、これも法律によって年額が定められ、その家族構成によって各宮家に支出される金額は変動します。
「皇族」として、2018年現在では「秋篠宮家」「常陸宮家」「三笠宮家」「高円宮家」への皇族費が計上されています。この費用も、それぞれの宮家の「家計」に当たるものとして、明細はありません。
2016年度の歳出予算は2億2362万円。対して支出済額も同じく2億2362万円。ですが、明細を見ると、168円余らせてます。この余りは何でしょうか。ちょっと不明。予算額通りきっちり支出しても良さそうなものですが。
宮廷費
「宮廷費」は、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てるもの(皇族経済法)だそうで、儀式、国賓・公賓の接遇、行幸、外国訪問などの公的活動の費用、皇室用財産の管理、施設の整備の経費などで、これは宮内庁が公金として経理を行っています。
これが皇室費の殆どを占めていて、予算62億円+繰越金3億円+予備費2億円となっていて、歳出予算総額67億円。支出済額は48億円となっていて、15億円が翌年度に繰り越されています。
不用額が3億7520万円。これは、明細書に「契約価格が予定を下回ったので、施設整備費を要することが少なかったこと等のため」と説明されています。
施設整備費には、予算額27億円+繰越金3.3億円+予備費3368万円で、予算総額30.8億円。対する支出済額が13.8億円で、余剰のうち15億円が翌年度の繰越金、不用額が1.5億円となっています。
その他に不用額が大きいものは、「庁費」が予算総額19億円に対して支出済額18億円。繰越2086万円に対して不用額1.1億円となっています。
「庁費」というのは、職員が仕事するための細々とした支出をまとめたものだそうで、備品費、図書購入費、消耗品費、被服費(制服とか、貸与される衣類なのだろうな)、郵便料・通信費、水光熱費、機器リース料、燃料費などなどを引っくるめたものだそうです。いろいろ節約しているのでしょうか。
「各所修繕費」も予算総額13億円に対して支出済額12.5億円。繰越なしで、不用額5644万円。
その他「諸謝金」「報償費」「招宴費」「自動車重量税」(ちゃんと払ってます)「交際費」などが、宮廷費の内訳として計上されています。
宮内庁に関しては、内閣府の所管官庁として、別枠で決算報告が出されています。こちらは、ざっと見たところほぼ人件費です。あとは宮内庁病院の経費とか、ですな。のちのち、ゆっくり見ることにしてみます。