引き続き、特別会計の明細を読んでいきます。
国債整理基金(財務省所管)
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
他会計より受入 | |||
他会計より受入 | 88兆4733億円 | 85兆1777億円 | -3兆2957億円 |
東日本大震災復興他会計より受入 | 4207億円 | 4174億円 | -33億円 |
租税 | |||
たばこ特別税 | 1428億円 | 1414億円 | -14億円 |
公債金 | |||
公債金 | 109兆2616億円 | 109兆4798億円 | +2183億円 |
復興借換公債金 | 0円 | 3880億円 | +3880億円 |
資産処分収入 | |||
東日本大震災復興株式売払い収入 | 1兆4000億円 | 0円 | -1兆4000億円 |
配当金収入 | |||
東日本大震災復興配当金収入 | 1136億円 | 1136億円 | 0円 |
運用収入 | |||
運用収入 | 1951億円 | 739万円 | -1950億円 |
東日本大震災復興運用収入 | 57億円 | 0円 | -57億円 |
雑収入 | |||
雑収入 | 471億円 | 448億円 | -23億円 |
前年度剰余金受入 | |||
前年度剰余金受入 | 170億円 | 3兆0807億円 | +3兆0637億円 |
東日本大震災復興前年度剰余金受入 | 1000円 | 5381億円 | +5381億円 |
歳入合計: | 200兆0768億円 | 198兆9935億円 | -1兆0833億円 |
「他会計より繰入」は、財務省の一般会計から22兆円、特別会計「交付税及び譲与税配布金」から33兆円、「外国為替基金」から8240億円、「財政投融資特別会計」から20兆円、「原子力損害賠償勘定」から8兆円、「健康勘定」から1.5兆円、などとなっています。
他会計からの受入は、ほとんどの項目で減額となっています。それぞれの項目について「一時借入金利子の支払財源の受入が少なかった等のため」といった理由が書かれています。
歳出: | 歳出予算 | 前年度繰越 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 |
---|---|---|---|---|---|
国債整理支出 | 198兆1369億円 | 3兆0637億円 | 194兆4541億円 | 3兆0711億円 | 3兆6754億円 |
復興債整理支出 | 9529億円 | 5381億円 | 1兆4571億円 | 0円 | 339億円 |
歳出合計 | 199兆0898億円 | 3兆6018億円 | 195兆9111億円 | 3兆0711億円 | 3兆7093億円 |
「国債整理支出」で不用額を生じたのは「政府短期証券償還及び借入金償還の支払が予定を下回ったこと等により」となっています。
「復興債整理支出」の不用額については、「株式の売払いがなかったので、株式売払手数料を要しなかったこと等のため」と書かれています。「株式売払手数料」として計上されている227億円が、手付かずのまま不用額として計上されています。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は3兆0824億円、これは翌年度の歳入に繰り入れることになっています。
最後に、「国債整理基金の年度末残高表」が付いています。「償還財源繰入額等」が総額75兆1658億円、「償還額」が75兆7029億円、年度末基金残高は、前年度より5371億円減少の3兆0062億円、となっています。
年度末時点での「国際借家額」は、109兆4798億円、と記されています。
外国為替資金(財務省所管)
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
外国為替等売買差益 | 1500億円 | 2084億円 | +584億円 |
運用収入 | 2兆4873億円 | 2兆1877億円 | -2996億円 |
雑収入 | 7億円 | 2351億円 | +2344億円 |
前年度剰余金受入 | 0円 | 3169億円 | +3169億円 |
歳入合計: | 2兆6138億円 | 2兆9481億円 | +3169億円 |
「運用収入」のマイナスは、「外貨証券の運用益が予定より少なかったこと等のため」と書かれています。
「雑収入」のプラスは、「外国為替資金証券の発行において、発行高を超過する収入金があったこと等のため」とされています。
歳出: | 歳出予算 | 流用増減 | 支出済額 | 不用額 |
---|---|---|---|---|
事務取扱費 | 17億円 | 13億円 | 4億円 | |
諸支出金 | 650億円 | +39億円 | 685億円 | 3億円 |
うち償還差額補填金 | 543億円 | +77億円 | 620億円 | 886円 |
うち払戻金 | 4000万円 | +48億円 | 48億円 | 10万円 |
融通証券事務取扱費一般会計へ繰入 | 95万円 | 95万円 | 0円 | |
国債整理基金特別会計へ繰入 | 8240億円 | -39億円 | 4億円 | 8197億円 |
予備費 | 3000億円 | 0円 | 3000億円 | |
歳出合計 | 1兆1907億円 | 703億円 | 1兆1204億円 |
…えらく出入りにばらつきがある会計になっていますが、外国為替レートに左右されるので、これはしょうがないのでしょうか。
「諸支出金」のうち、「償還差額補填金」という項目で、「外国為替資金の運用に伴い、外貨証券の償還差額を補填するため」という理由で、「国債整理基金への繰入」から38億円流用されています。残りの39億円は「諸支出金」の中で予算の移し替えで対応しています。
「諸支出金」の中の「払戻金」も他の項目から予算が移行されていますが、理由が「過誤納による払戻金の支払が多かったため」とあります。これも気になります。
それにしても「国債整理基金特別会計へ繰入」が予算8000億円に対して支出済み4億円、になっています。これは「外国為替資金証券利子の支払がなかったこと、融通証券起債に係る手数料の支払が予定を下回ったこと等のため」となっています。しかし8000億円もの不用額が出てしまうのは、どうも疑問に思えます。
「融通証券事務取扱費一般会計へ繰入」という項目ですが、一般会計で検索しても、この項目はありませんでした。どこへ行ったんでしょう? おそらく、所管する財務省でしょうが。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は2兆8779億円。この剰余金は規定により、2兆5188億円を翌年度の一般会計へ、3591億円を翌年度の歳入に繰り入れる、と記されています。
歳入・歳出の後に損益計算書、貸借対照表、があり、最後に「外国為替資金増減実績表」が付与されています。昨年度末現在地が149兆円、歳入外受入が275兆円、歳出外払出が278兆円、本年度末現在額は、145兆3986億円、となっています。
財政投融資(財務省・国土交通省所管)
「財政投融資」については、財務省に以下のような説明が示されています。
>> 「財政投融資とは、税負担に拠ることなく、国債の一種である財投債の発行などにより調達した資金を財源として、政策的な必要性があるものの、民間では対応が困難な長期・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動です。」
「財政投融資特別会計」は、「財政融資資金勘定」「投資勘定」「特定国有財産整備勘定」に分かれて決算書が作成されています。
財政投融資–財政融資資金勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
資金運用収入–運用利殖金収入 | 1兆5734億円 | 1兆4455億円 | -1279億円 |
公債金 | 19兆6000億円 | 19兆6000億円 | -13万円 |
財政融資資金より受入 | 19兆4823億円 | 19兆4823億円 | +116円 |
雑収入 | 381億円 | 77億円 | -304億円 |
歳入合計: | 40兆6939億円 | 40兆5355億円 | -1583億円 |
「資金運用収入」のマイナスは、「貸付金の利率を改定したこと等のため」とのことです。
「雑収入」のマイナスは、預金利子収入や金利スワップ取引による利子収入が少なかった等、とされています。
歳出: | 予算額 | 支出済額 | 不用額 |
---|---|---|---|
財政融資資金へ繰入 | 19兆6000億円 | 19兆6000億円 | 13万円 |
事務取扱費 | 59億円 | 56億円 | 3億円 |
諸支出金 | 3877億円 | 2441億円 | 1436億円 |
公債等事務取扱費一般会計へ繰入 | 7110万円 | 6045万円 | 1065万円 |
国債整理基金特別会計へ繰入 | 20兆4852億円 | 20兆3839億円 | 1013億円 |
予備費 | 6000万円 | 0円 | 6000万円 |
歳出合計 | 40兆4789億円 | 40兆2337億円 | 2452億円 |
「公債金収入」の20兆円と「財政融資資金へ繰入」はまったく同額になっています。「財政融資資金から受入」、「財政融資資金へ繰入」というのは、他の会計のような「前年度からの繰越」「翌年度への繰越」とは違う扱いになっている、ということなのでしょうか。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」3019億円は、積立金として積み立てることとする、と記されています。
また、この勘定の損益計算上の利益は3146億円あり、これは翌年度に繰り越して整理する、となっています。
ちなみに財政融資勘定の積立金明細が記されており、それによると、年度末の積立金は5925億円、となっています。
財政投融資–投資勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
運用収入 | 3577億円 | 4254億円 | +676億円 |
うち償還金収入 | 1.05億円 | 1.05億円 | 0円 |
うち利子収入 | 8885万円 | 1376万円 | +4892万円 |
うち納付金 | 2212億円 | 2213億円 | +1.5億円 |
うち配当金収入 | 1364億円 | 2020億円 | +656億円 |
うち出資回収金収入 | 0円 | 18.50億円 | +18.50億円 |
一般会計より受入 | 2590億円 | 2590億円 | 0円 |
資産処分収入 | 2672億円 | 2672億円 | 0円 |
雑収入 | 546万円 | 3万円 | -543万円 |
前年度剰余金受入 | 2857億円 | 5036億円 | +2179億円 |
歳入合計 | 1兆1696億円 | 1兆4552億円 | +2855億円 |
「運用収入」の中で大きな「配当金収入」は、「日本たばこ産業」「日本電信電話(NTT)」「日本政策投資銀行」「商工組合中央金庫」からの配当金収入で「1株あたりの配当金が予定より多かったため」となっています。
「一般会計より受入」は、財務省からの2590億円です。「雑収入」のマイナスは、「国有地の売払いがなかったため」とのことです。
歳出: | 予算額 | 前年度繰越 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
産業投資支出 | 5667億円 | 2億円 | 2780億円 | 2026億円 | 863億円 | |
事務取扱費 | 1.23億円 | 9111万円 | 3145万円 | |||
一般会計へ繰入 | 1244億円 | 1244億円 | 0円 | |||
地方公共団体金融機構納付金収入 | ||||||
交付税及び譲与税配布金特別会計へ繰入 | 2000億円 | 2000億円 | 0円 | |||
国債整理基金特別会計へ繰入 | 13万円 | 0円 | 13万円 | |||
東日本大震災復興 | ||||||
国債整理基金特別会計へ繰入 | 2783億円 | 2783億円 | 0円 | |||
予備費 | 1億円 | 0円 | 1億円 | |||
歳出合計 | 1兆1696億円 | 2億円 | 8808億円 | 2026億円 | 865億円 |
「産業投資支出」が少なくなっているのは、「株式会社海外交通・都市開発事業支援機構出資金、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構出資金」が予定を下回ったため等、とのことです。というか、こんな会社があったのか、とちょっと驚いたり、そこにそれなりの投資支出が行われているということも、知られてないことではないか、と思います。ちなみにこの2つの会社は、「一般会計」の明細には出てきません。
他への出資金もあるのかも知れませんが、この会計による投資先にどのようなところがあるのか、知りたくなってきます。
「事務取扱費」には、人件費も含まれています。
「一般会計へ繰入」について、一般会計決算を見てみると、財務省の収入として「財政投融資特別会計受入金」として1245億円が計上されています。これはこの会計の1244億円と、上の「財政融資資金」の中の「一般会計繰入」の6045万円を足した金額になっています。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」5743億円のうち、法律の規定により10万円を一般会計に繰り入れ(少ない)、残りを翌年度の歳入に繰り入れる、とあります。
また、この勘定の損益計算上における利益は4761億円あり、この利益は「利益積立金」に組み入れる、と記されています。
財政投融資–特定国有財産整備勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
国有財産売払収入 | 619億円 | 1000億円 | +380億円 |
雑収入 | 1.33億円 | 5.52億円 | 4.19億円 |
前年度剰余金受入 | 52億円 | 325億円 | +273億円 |
歳入合計 | 673億円 | 1330億円 | +657億円 |
「国有財産売払収入」のプラスは、「売払単価が予定を上回ったため」と書かれています。
「前年度剰余金受入」のプラスは、「前年度の売払収入が予定より多かったこと等のため」だそうです。
歳出: | 予算額 | 前年度繰越 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
特定国有財産整備費 | 590億円 | 127億円 | 506億円 | 204億円 | 7億円 | |
事務取扱費 | 18.29億円 | 9120万円 | 9.98億円 | 0円 | 9.22億円 | |
国債整理基金特別会計へ繰入 | 1億円 | 990万円 | 9010万円 | |||
予備費 | 1000万円 | 0円 | 1000万円 | |||
歳出合計 | 609億円 | 128億円 | 516億円 | 204億円 | 17億円 |
「整備費」の不用額は「事業内容の見直し、契約価格が予定を下回ったこと」などのため、となっています。また、この勘定の「事務取扱費」には、職員基本給や手当などの人件費は入っていません。「財政融資資金勘定」と「投資勘定」には、それぞれ人件費が計上されているのですが。
「国債整理基金特別会計への繰入」が、支出済額が予算の1割に留まっているのは、「借入金利子の支払が予定を下回ったため」となっています。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は814億円、これは翌年度の歳入に繰り入れることになっています。
ちなみに、「財政融資資金勘定」と「投資勘定」については、損益計算書と貸借対照表が掲載されているのですが、この「特定国有財産整備勘定」についてはどちらも掲載されていません。他の2つの勘定とは、性格の違う会計になっているのかも知れません。
「財政融資資金」には「増減実績表」というのが掲載されています。
前年度末現在額は133兆5187億円、受入合計が4195億円、払出合計が3兆8711億円、本年度末現在額は、130兆0672億円、となっています。
さらに、「財施融資資金勘定」には「運用資産明細表」が掲載されていて、有価証券、貸付金(国家会計、政府機関、地方公共団体、独立行政法人、国立研究開発法人などへの)の明細が一覧表になっています。