乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

大阪市の住民投票(終わりましたが)についてのあれこれなど

大阪市民269万人、有権者214万人の意見を問う住民投票が終わりました。
結果は賛成69万票、反対70万票という、ほぼ2分と言える結果でした。この結果について、ぼんやり考えたりしてます。僕個人は大阪市民でも大阪府民でもなく、直接影響を受けるわけではないのですが。
 
 
この住民投票を「勝ち負け」で表明している意見もネットでは多く見受けられます。また橋下氏や江田氏の去就が話題になり、政界再編(それも国政レベルの)の記事も出てくるようになりました。
また、年齢層別の賛否の傾向、区毎の賛否(これは大阪市選挙管理委員会のページで公開されていますが)の数字をどう読むか、という記事も見かけます。
あとは、当の大阪市民がどう受け取っているのかが気になったりするのですが、それは多様な感想と意見のグラデーションになるでしょうし、それは今後の市政の動向にもよったりする、のでしょう。
 
 
というわけで、ごくごく個人的なチェック項目だけをあげてみようかな、と思っているのですが。
 
 
まず、今回の住民投票は、本当に「大阪都構想」についての投票だったのか。
賛否を問われたのは「大阪府大阪市特別区設置協議会」から提出された「特別区設置協定書」について、です。
大阪市を廃止して、5つの「特別区」を設置すること、それに伴う大阪市の議会、行政、財政、人事、資産、負債の府または特別区への移行に関する協定が、その内容になります。
 
 
協定書に示されているのは大阪市から府へ、そして特別区へ移行する市の業務が中心で、細部まで確認したわけではないのですが、大阪府が「大阪都」としてどう変わるのか、については書かれていないようです。
まあ、協定書自体が「大阪市の解消と特別区の設置」に限定されているので、こういう内容になっているのだと思うのですが、果たしてこれは「大阪都構想」なのか。
どうなのでしょうか?
 
 
住民投票で問われたのは、行政システムの変更とそれに伴う業務の移管、財務の移管についてで、政策的な内容はない、と言っていいと思います。
つまり、無駄を失くすとか効率的な業務とかについては、移行後の行政事務機関の運用次第、になっていて、「システムを変えることで効率的になること」にどのような業務が該当するのかは、協定書からは読み取れませんでした。これは僕だけかもしれませんが。
 
 
大阪都構想」と言うからには、変わるのは大阪市だけでなく大阪府もシステムの構造変化を起こすことで、それが府下の各自治体にどのような変化が生まれ、大阪府全体がどのように変わるのか、そういうビジョンも必要ではないか、とも思うのですが。
そういうことを抜きにしても、この「協定書」だけでは消える大阪市部と新たな特別区がどのようになっていくのか、大阪府全体がどう変わっていくのかは、よく読み取れませんでした。
僕の読み取り能力の問題かもしれませんが、変化していく方向を指し示す指針としての大阪都ビジョンが読み取れない中での「政令指定都市の解体」になるとしたら、それは住民にとってあまりにも高いリスクなのかな、と思ってしまいます。
 
 
ただ、賛成と反対がここまで拮抗したことは、重要な市民の「意思表示」ではないか、と感じます。
地方自治体の解体と再編までは必要ない、しかし、それに等しいくらいの「市政の変化」を市民は求めているのではないか、と想像できるからです。
僕は大阪市民が「解体までは必要ない。が、今まで通りではダメだ」という意思を、投票結果という形で示したのではないか、と感じています。
大阪都構想についてネットを徘徊していると、市の職員による不祥事などをいくつも見てしまい、市政の現状はどうなっているのか、と心配にもなります。そのトップにいるのは他ならぬ橋下氏なのですが。
 
 
いずれにせよ、この住民投票の結果を活かすのも殺すのも、大阪市民と大阪市政の今後の取組になる、と思います。
大阪市だけでなく、国政から地方自治体、地方議会まで、市民の監視とツッコミを強めていかないと行政が住民本位になっていかない、という状況は全国であるのではないでしょうか。政治という「政局」に捕らわれることなく、「行政」の姿を住民の視点から細かく検証していく必要が。
自分の街を変えられるのは、その街に住む住民でしかないのだから。