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2016(平成28)年度 特別会計決算報告書を読む その4 エネルギー対策

エネルギー対策(内閣府文部科学省経済産業省環境省所管)

特別会計」を見る前に、訂正を一件しておきます。以前の文章の中で、「一般会計からの繰入総額」のところで計算ミスがありました。
「エネルギー特別会計への繰入」総額は、9282億円でした。前のブログでも、訂正しておきます。
エネルギー対策特別会計」は、「エネルギー需給勘定」「電源開発促進勘定」「原子力損害賠償支援勘定」に分かれています。


エネルギー対策–エネルギー需給勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
一般会計より繰入 6370億円 6370億円 0円
石油証券及び借入金収入 1兆5915億円 1兆4183億円 -1732億円
備蓄石油売払代 417億円 93億円 -324億円
雑収入 148億円 562億円 +414億円
前年度剰余金受入 1947億円 4393億円 +2446億円
歳入合計: 2兆4797億円 2兆5601億円 +805億円

「一般会計より繰入」は、資源エネルギー庁からの「燃料安定供給対策…」と、環境省からの「需給構造高度化対策…」を足し合わせると、この金額になるようです。
「石油証券及び借入金収入」のマイナスは「石油証券の借換発行額が予定より少なかったこと等」のため、とあります。「備蓄石油売払代」のマイナスは「国家備蓄石油の油種入替事業に係る備蓄石油の売払いがなかったこと等」のため、となっています。
「雑収入」の中では、「石油公団の解散」に伴う債権整理収入、株式配当金収入が予定額を上回ってプラスになっていることが、プラスの主な要因になっています。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
燃料安定供給対策費 3047億円 245億円 1782億円 270億円 1239億円
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構出資金 684億円 684億円 0円
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構運営費 142億円 142億円 0円
エネルギー需給構造高度化対策費 4162億円 1080億円 3531億円 445億円 1257億円
(研)新エネルギー・産業技術総合開発機構運営費 1218億円 1218億円 0円
事務取扱費 21億円 12億円 9億円
諸支出金 20万円 1520円 20万円
融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入 9000円 9000円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 1兆5513億円 1兆4501億円 1012億円
予備費 10億円 0円 10億円
歳出合計: 2兆4797億円 1325億円 2兆1871億円 715億円 3536億円

「燃料安定供給対策費」には、「備蓄石油増強対策事業費」「石油備蓄事業補給金」などの他、「石油資源開発技術等研究調査等委託費」「産油国等連携強化促進事業費補助金」「石油製品販売業構造改善対策事業費等補助金」などが含まれています。
あと「国際エネルギー機関等拠出金」も。

独立行政法人、国立研究開発法人には、ホームページがあります。
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
「国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)」

「エネルギー需給構造高度化対策費」には、「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金」など「非化石エネルギー」に関する支出、「エネルギー使用合理化設備導入促進等対策費補助金」など「エネルギー使用合理化」に関する支出、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」などが含まれています。
あと「国際再生可能エネルギー機関分担金」なども。
こちらにも「国際エネルギー機関等拠出金」という項目があります。上の同じ項目とは異なった機関に拠出されているのか、同じ拠出先ながら名目上で振り分けられているのか、これだけではわかりません。

以上の内容には補助金交付金、委託費などが多く組み込まれていて、詳しい支出先を知るにはそれぞれの調達情報に当たる必要があるようです。

「事務取扱費」には、人件費が含まれています。この中にも、「一般会計へ繰入」67万円があります。
ここにも「融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入」という項目があります。わずか9,000円ですが、どこへ回ってるんでしょうねえ。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は3731億円になります。この剰余金は、うち3.69億円を一般家計の歳入に繰り入れ、残額の3727億円を翌年度の歳入に繰り入れる、と言うことになっているそうです。


エネルギー対策–電源開発促進勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
他会計より受入 2913億円 2913億円 0円
うち電源立地対策財源一般会計より受入 1440億円 1440億円 0円
うち電源利用対策財源一般会計より受入 1066億円 1066億円 0円
うち原子力安全規制対策財源一般会計より受入 407億円 407億円 0円
周辺地域整備資金より受入 230億円 134億円 -97億円
雑収入 11億円 18億円 +7億円
うち返納金 3万円 8億円 +8億円
前年度剰余金受入 302億円 618億円 +315億円
歳入合計: 3458億円 3682億円 +227億円

「一般会計より受入」の項目が、こちらでは対策別に項目が立てられています。「内閣府」からの100億円、「文部科学省」からの1078億円、「資源エネルギー庁」からの1417億円、「原子力規制委員会」からの318億円を合わせると、総額2913億円になります。
「雑収入」の中の「返納金」は、「電源立地等推進対策補助金の返納金があったこと等のため」となっています。

歳出: 算額 前年度繰越 支出済額 翌年度繰越 不用額
電源立地対策費 1735億円 26億円 1566億円 27億円 167億円
電源利用対策費 188億円 2億円 166億円 15億円 10億円
原子力安全規制対策費 359億円 27億円 293億円 17億円 76億円
(研)日本原子力研究開発機構運営費 915億円 915億円 0円
(研)日本原子力研究開発機構施設整備費 12億円 1億円 13億円 0円 0円
事務取扱費 242億円 10億円 215億円 1億円 35億円
諸支出金 42万円 17万円 24万円
予備費 5億円 0円 5億円
歳出合計 3456億円 66億円 3168億円 61億円 293億円

「電源立地対策費」には「原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金(支出済:350億円)」、「電源立地地域対策交付金(支出済:831億円)」などが含まれています。
「電源利用対策費」には「軽水炉等改良技術確証試験等委託費(支出済:104億円)」、「放射性廃棄物処分基準調査等委託費(支出済:42億円)」、「ウラン炭鉱支援事業費等補助金(支出済:5億円)」などが含まれています。
原子力安全規制対策費」には、「原子力施設等防災対策等交付金(支出済:144億円)」、「原子力施設等防災対策等委託費(支出済:117億円)」などが含まれています。
毎度のように差し込まれる「等」や、実際の支出先はどこになっているのか、いろいろ気になりますが。
「事務取扱費」には人件費も含まれています。他に予算計上していなかった「移転費」も。これは「原子力安全人材育成センター等を移転する必要が生じたため」となっていて、「原子力安全業務庁費から1.8億円が流用され、1.8億円が支出されています。

ホームページへのリンク:「国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 (JAEA)」

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は515億円。これは翌年度の歳入に繰り入れることになっています。


エネルギー対策–原子力損害賠償支援勘定

歳入: 算額 収納済額 差額
原子力損害賠償支援資金より受入 132億円 39億円 -94億円
原子力損害賠償支援証券及び借入金収入 8兆3589億円 6兆2823億円 -2兆0766億円
原子力損害賠償・廃炉等支援機構納付金収入 1万円 2639億円 +2639億円
雑収入 135万円 2764万円 +2529万円
前年度剰余金受入 3億円 1298億円 +1295億円
歳入合計 8兆3724億円 6兆6799億円 -1兆6925億円

原子力損害賠償支援資金より受入」の減額は「原子力損害賠償支援証券利子の支払がなかったこと等のため」とあります。
原子力損害賠償支援証券及び借入金収入」の減額は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成 23 年法律第 94 号。 以下「原賠機構法」という。)第 48 条第 2 項の規定により交付された国債の償還に係る原子力損害賠償支援証券の発行がなかったこと等のため」とあります。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構納付金収入」の増額は、「原賠機構法第 59 条第 4 項の規定による納付金があったため」とあります。
それぞれは「法律の規定により」となっていますので、法律に従って処理された結果、増減が生じたものと受け止められます。

歳出: 算額 支出済額 不用額
事務取扱費 98万円 75万円 23万円
融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入 1000円 1000円 0円
国債整理基金特別会計へ繰入 8兆3724億円 6兆5780億円 1兆7944億円
歳出合計 8兆3724億円 6兆5780億円 1兆7944億円

算額8兆円に対して、支出額6.6兆円。参照書には「不用額を生じたのは、原賠機構法第 48 条第 2 項の規定により交付された国債の償還に係る原子力損害賠償支援証券の償還がなかったこと、同国債の償還に係る借入金の償還が予定を下回ったこと等のため」との記述があります。
これは、歳入においての増減に連動して歳出=「国債整理基金特別会計に繰入」の額が決まる、ということなのでしょうか。

「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は1.02億円。これは翌年度の歳入に繰り入れる、としています。


「電源促進勘定」には「周辺地域整備資金増減実績表」がついています。
資金は「前年度末現在額」が286億円、「電源促進勘定への繰入」が134億円、「本年度末現在額」が152億円、となっています。
原子力損害賠償支援勘定」には「原子力損害賠償支援資金増減実績表」がついています。
「前年度末現在額」222億円、「歳入繰入」が39億円、「本年度末現在額」が183億円、となっています。