エネルギー対策(内閣府・文部科学省・経済産業省・環境省所管)
「特別会計」を見る前に、訂正を一件しておきます。以前の文章の中で、「一般会計からの繰入総額」のところで計算ミスがありました。
「エネルギー特別会計への繰入」総額は、9282億円でした。前のブログでも、訂正しておきます。
「エネルギー対策特別会計」は、「エネルギー需給勘定」「電源開発促進勘定」「原子力損害賠償支援勘定」に分かれています。
エネルギー対策–エネルギー需給勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
一般会計より繰入 | 6370億円 | 6370億円 | 0円 |
石油証券及び借入金収入 | 1兆5915億円 | 1兆4183億円 | -1732億円 |
備蓄石油売払代 | 417億円 | 93億円 | -324億円 |
雑収入 | 148億円 | 562億円 | +414億円 |
前年度剰余金受入 | 1947億円 | 4393億円 | +2446億円 |
歳入合計: | 2兆4797億円 | 2兆5601億円 | +805億円 |
「一般会計より繰入」は、資源エネルギー庁からの「燃料安定供給対策…」と、環境省からの「需給構造高度化対策…」を足し合わせると、この金額になるようです。
「石油証券及び借入金収入」のマイナスは「石油証券の借換発行額が予定より少なかったこと等」のため、とあります。「備蓄石油売払代」のマイナスは「国家備蓄石油の油種入替事業に係る備蓄石油の売払いがなかったこと等」のため、となっています。
「雑収入」の中では、「石油公団の解散」に伴う債権整理収入、株式配当金収入が予定額を上回ってプラスになっていることが、プラスの主な要因になっています。
歳出: | 予算額 | 前年度繰越 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
燃料安定供給対策費 | 3047億円 | 245億円 | 1782億円 | 270億円 | 1239億円 | |
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構出資金 | 684億円 | 684億円 | 0円 | |||
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構運営費 | 142億円 | 142億円 | 0円 | |||
エネルギー需給構造高度化対策費 | 4162億円 | 1080億円 | 3531億円 | 445億円 | 1257億円 | |
(研)新エネルギー・産業技術総合開発機構運営費 | 1218億円 | 1218億円 | 0円 | |||
事務取扱費 | 21億円 | 12億円 | 9億円 | |||
諸支出金 | 20万円 | 1520円 | 20万円 | |||
融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入 | 9000円 | 9000円 | 0円 | |||
国債整理基金特別会計へ繰入 | 1兆5513億円 | 1兆4501億円 | 1012億円 | |||
予備費 | 10億円 | 0円 | 10億円 | |||
歳出合計: | 2兆4797億円 | 1325億円 | 2兆1871億円 | 715億円 | 3536億円 |
「燃料安定供給対策費」には、「備蓄石油増強対策事業費」「石油備蓄事業補給金」などの他、「石油資源開発技術等研究調査等委託費」「産油国等連携強化促進事業費補助金」「石油製品販売業構造改善対策事業費等補助金」などが含まれています。
あと「国際エネルギー機関等拠出金」も。
独立行政法人、国立研究開発法人には、ホームページがあります。
「独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構」
「国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)」
「エネルギー需給構造高度化対策費」には、「非化石エネルギー等導入促進対策費補助金」など「非化石エネルギー」に関する支出、「エネルギー使用合理化設備導入促進等対策費補助金」など「エネルギー使用合理化」に関する支出、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」などが含まれています。
あと「国際再生可能エネルギー機関分担金」なども。
こちらにも「国際エネルギー機関等拠出金」という項目があります。上の同じ項目とは異なった機関に拠出されているのか、同じ拠出先ながら名目上で振り分けられているのか、これだけではわかりません。
以上の内容には補助金、交付金、委託費などが多く組み込まれていて、詳しい支出先を知るにはそれぞれの調達情報に当たる必要があるようです。
「事務取扱費」には、人件費が含まれています。この中にも、「一般会計へ繰入」67万円があります。
ここにも「融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入」という項目があります。わずか9,000円ですが、どこへ回ってるんでしょうねえ。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は3731億円になります。この剰余金は、うち3.69億円を一般家計の歳入に繰り入れ、残額の3727億円を翌年度の歳入に繰り入れる、と言うことになっているそうです。
エネルギー対策–電源開発促進勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
他会計より受入 | 2913億円 | 2913億円 | 0円 |
うち電源立地対策財源一般会計より受入 | 1440億円 | 1440億円 | 0円 |
うち電源利用対策財源一般会計より受入 | 1066億円 | 1066億円 | 0円 |
うち原子力安全規制対策財源一般会計より受入 | 407億円 | 407億円 | 0円 |
周辺地域整備資金より受入 | 230億円 | 134億円 | -97億円 |
雑収入 | 11億円 | 18億円 | +7億円 |
うち返納金 | 3万円 | 8億円 | +8億円 |
前年度剰余金受入 | 302億円 | 618億円 | +315億円 |
歳入合計: | 3458億円 | 3682億円 | +227億円 |
「一般会計より受入」の項目が、こちらでは対策別に項目が立てられています。「内閣府」からの100億円、「文部科学省」からの1078億円、「資源エネルギー庁」からの1417億円、「原子力規制委員会」からの318億円を合わせると、総額2913億円になります。
「雑収入」の中の「返納金」は、「電源立地等推進対策補助金の返納金があったこと等のため」となっています。
歳出: | 予算額 | 前年度繰越 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
電源立地対策費 | 1735億円 | 26億円 | 1566億円 | 27億円 | 167億円 | |
電源利用対策費 | 188億円 | 2億円 | 166億円 | 15億円 | 10億円 | |
原子力安全規制対策費 | 359億円 | 27億円 | 293億円 | 17億円 | 76億円 | |
(研)日本原子力研究開発機構運営費 | 915億円 | 915億円 | 0円 | |||
(研)日本原子力研究開発機構施設整備費 | 12億円 | 1億円 | 13億円 | 0円 | 0円 | |
事務取扱費 | 242億円 | 10億円 | 215億円 | 1億円 | 35億円 | |
諸支出金 | 42万円 | 17万円 | 24万円 | |||
予備費 | 5億円 | 0円 | 5億円 | |||
歳出合計 | 3456億円 | 66億円 | 3168億円 | 61億円 | 293億円 |
「電源立地対策費」には「原子力損害賠償・廃炉等支援機構交付金(支出済:350億円)」、「電源立地地域対策交付金(支出済:831億円)」などが含まれています。
「電源利用対策費」には「軽水炉等改良技術確証試験等委託費(支出済:104億円)」、「放射性廃棄物処分基準調査等委託費(支出済:42億円)」、「ウラン炭鉱支援事業費等補助金(支出済:5億円)」などが含まれています。
「原子力安全規制対策費」には、「原子力施設等防災対策等交付金(支出済:144億円)」、「原子力施設等防災対策等委託費(支出済:117億円)」などが含まれています。
毎度のように差し込まれる「等」や、実際の支出先はどこになっているのか、いろいろ気になりますが。
「事務取扱費」には人件費も含まれています。他に予算計上していなかった「移転費」も。これは「原子力安全人材育成センター等を移転する必要が生じたため」となっていて、「原子力安全業務庁費から1.8億円が流用され、1.8億円が支出されています。
ホームページへのリンク:「国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 (JAEA)」
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は515億円。これは翌年度の歳入に繰り入れることになっています。
エネルギー対策–原子力損害賠償支援勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
原子力損害賠償支援資金より受入 | 132億円 | 39億円 | -94億円 |
原子力損害賠償支援証券及び借入金収入 | 8兆3589億円 | 6兆2823億円 | -2兆0766億円 |
原子力損害賠償・廃炉等支援機構納付金収入 | 1万円 | 2639億円 | +2639億円 |
雑収入 | 135万円 | 2764万円 | +2529万円 |
前年度剰余金受入 | 3億円 | 1298億円 | +1295億円 |
歳入合計 | 8兆3724億円 | 6兆6799億円 | -1兆6925億円 |
「原子力損害賠償支援資金より受入」の減額は「原子力損害賠償支援証券利子の支払がなかったこと等のため」とあります。
「原子力損害賠償支援証券及び借入金収入」の減額は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成 23 年法律第 94 号。 以下「原賠機構法」という。)第 48 条第 2 項の規定により交付された国債の償還に係る原子力損害賠償支援証券の発行がなかったこと等のため」とあります。
「原子力損害賠償・廃炉等支援機構納付金収入」の増額は、「原賠機構法第 59 条第 4 項の規定による納付金があったため」とあります。
それぞれは「法律の規定により」となっていますので、法律に従って処理された結果、増減が生じたものと受け止められます。
歳出: | 予算額 | 支出済額 | 不用額 |
---|---|---|---|
事務取扱費 | 98万円 | 75万円 | 23万円 |
融通証券等事務取扱費一般会計へ繰入 | 1000円 | 1000円 | 0円 |
国債整理基金特別会計へ繰入 | 8兆3724億円 | 6兆5780億円 | 1兆7944億円 |
歳出合計 | 8兆3724億円 | 6兆5780億円 | 1兆7944億円 |
予算額8兆円に対して、支出額6.6兆円。参照書には「不用額を生じたのは、原賠機構法第 48 条第 2 項の規定により交付された国債の償還に係る原子力損害賠償支援証券の償還がなかったこと、同国債の償還に係る借入金の償還が予定を下回ったこと等のため」との記述があります。
これは、歳入においての増減に連動して歳出=「国債整理基金特別会計に繰入」の額が決まる、ということなのでしょうか。
「収納済額」から「支出済額」を引いた「剰余金」は1.02億円。これは翌年度の歳入に繰り入れる、としています。
「電源促進勘定」には「周辺地域整備資金増減実績表」がついています。
資金は「前年度末現在額」が286億円、「電源促進勘定への繰入」が134億円、「本年度末現在額」が152億円、となっています。
「原子力損害賠償支援勘定」には「原子力損害賠償支援資金増減実績表」がついています。
「前年度末現在額」222億円、「歳入繰入」が39億円、「本年度末現在額」が183億円、となっています。