自動車安全特別会計(国土交通省)
「自動車安全特別会計」は、財務省のHPにあるガイドブックによると、
「自動車ユーザーからの検査・登録手数料、自動車ユーザーからの賦課金、積立金として管理している自賠責保険の再保険契約に係る再保険料、過去の再保険料の運用益を財源として、自動車の検査・登録業務、基準適合性の審査、ひき逃げ・無保険車の被害者救済対策、再保険金の支払い、事故による重度後遺障害者等の被害者救済対策、事故発生防止対策等を実施しています。また、航空運送事業者等からの空港使用料収入や一般会計からの繰入金等を財源として、空港等の維持運営や空港整備事業等を実施しています」
と記述されています。
「自動車安全特別会計」には、「保障勘定」「自動車検査登録勘定」「自動車事故対策勘定」「空港整備勘定」の4つの勘定があります。
自動車安全–保障勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
保障事業収入 | 21億円 | 20億円 | -8960万円 |
積立金より受入 | 7.8億円 | 5.6億円 | -2.2億円 |
雑収入 | 7.0億円 | 7.2億円 | +1938万円 |
前年度剰余金受入 | 566億円 | 586億円 | +19億円 |
歳入合計: | 602億円 | 618億円 | +16億円 |
「保障事業収入」のマイナスは、「責任共済に係る賦課金収入が予定より少なかった等のため」とあります。
「積立金より受入」がマイナスになったのは「再保険金及保険金が予定より少なかった等のため」とあります。「再保険金及保険金」というのは歳出にその項目があります。
「雑収入」では、「預託金利子収入」がプラスになっていて、「預託金の運用利回りが予定を上回ったこと等のため」となっています。
歳出: | 予算額 | 支出済額 | 不用額 |
---|---|---|---|
保障費 | 31億円 | 14億円 | 17億円 |
業務取扱費自動車検査登録勘定へ繰入 | 8.8億円 | 7.6億円 | 1.2億円 |
再保険及保険費 | 5.4億円 | 3.8億円 | 1.6億円 |
予備費 | 2億円 | 0円 | 2億円 |
「保障費」の不用額は「保障金の請求件数及び1件当たりの請求額が予定を下回ったことにより」とあります。
「自動車検査登録勘定への繰入」が不用額を生じたのは、「自動車検査登録勘定において業務取扱費を要することが少なかったため」とあります。
「再保険金及保険金」の不用額は「保険金の請求件数が予定を下回ったこと等のため」と説明されています。
「剰余金」は593億円となっています。これは、6422万円を積立金に、残額592億円は翌年度の歳入に繰り入れること、となっています。
自動車安全–自動車検査登録勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
検査登録手数料収入 | 334億円 | 330億円 | -3.7億円 |
一般会計より受入 | 3.0億円 | 3.0億円 | -143万円 |
独立行政法人納付金収入 | 1.0億円 | 1.5億円 | +4734万円 |
他勘定より受入 | 13億円 | 10億円 | -2.3億円 |
雑収入 | 1.4億円 | 1.8億円 | +4184万円 |
前年度剰余金受入 | 152億円 | 158億円 | +5.3億円 |
歳入合計: | 504億円 | 504億円 | +1898万円 |
「検査登録手数料収入」のマイナスは、「検査登録印紙の売りさばきが少なかったため」となっっています。
「一般会計より受入」は、国土交通省から「自動車重量税業務取扱費」という項目名がついているものになります。
「独立行政法人納付金収入」は、「独立行政法人 自動車技術総合機構」からの納付金になります。プラスになったのは、「中期目標期間の終了にかかる納付金の受入が予定より多かったため」とあります。これだけではよく分かりませんが。
リンク:「独立行政法人 自動車技術総合機構」
「他勘定より受入」は、「保障勘定」より7.6億円、「自動車事故対策勘定」より2.7億円、となっています。両方ともマイナスになっていて、理由はどちらも「業務取扱費を要することが予定より少なかった等のため」となっています。
歳出: | 予算額 | 前年度繰越 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 |
---|---|---|---|---|---|
(独)自動車技術総合機構運営費交付金 | 24億円 | 24億円 | 0円 | ||
(独)自動車技術総合機構施設整備費補助金 | 38億円 | 2988万円 | 36億円 | 2.1億円 | 4148万円 |
業務取扱費 | 313億円 | 291億円 | 3769万円 | 22億円 | |
施設整備費 | 15億円 | 2.6億円 | 13億円 | 4.5億円 | 2124万円 |
予備費 | 3億円 | 0円 | 3億円 | ||
歳出合計: | 394億円 | 2.9億円 | 365億円 | 7.0億円 | 25億円 |
「自動車技術総合機構」は上のリンクにあるものです。
「施設整備日補助金」での不用額は、「契約価格が予定を下回ったため」とあります。
「業務取扱費」には人件費が含まれています。というか、ほぼ人件費、庁費で占められています。不用額が生じた理由は「退職手当が予定を下回ったこと等により」とあります。
「剰余金」は140億円となり、「翌年度の歳入に繰り入れること」となっています。
自動車安全–自動車事故対策勘定
歳入: | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
積立金より受入 | 97億円 | 94億円 | -2.2億円 |
償還金収入 | 11億円 | 11億円 | 0円 |
雑収入 | 27億円 | 27億円 | +2002万円 |
歳入合計: | 135億円 | 133億円 | -2.0億円 |
「償還金収入」は、「独立行政法人 自動車事故対策機構」への貸付金償還金になります。
リンク:「独立行政法人 自動車事故対策機構 (NASVA)」
「雑収入」は「預託金利子収入」が主になります。プラスになったのは「自動車事故対策費補助金の返納が予定より多かったため」となっています。
歳出: | 予算額 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 |
---|---|---|---|---|
自動車事故対策費 | 57億円 | 51億円 | 5.6億円 | |
(独)自動車事故対策機構運営費 | 69億円 | 69億円 | 0円 | |
(独)自動車事故対策機構施設整備費 | 4.8億円 | 4.7億円 | 1039万円 | |
業務取扱費自動車検査登録勘定へ繰入 | 3.9億円 | 2.7億円 | 3769万円 | 7837万円 |
歳出合計: | 135億円 | 128億円 | 3769万円 | 6.4億円 |
「自動車事故対策費」の中身は、「自動車事故対策委託費(5899万円)」と「自動車事故対策費補助金(51億円)」に分かれます。どちらも、どのような組織に渡っているのかは、決算書では分かりません。
不用額を生じたのは「独立行政法人自動車事故対策機構において介護料支給費が予定を下回ったこと、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構からの交付申請がなかったこと等により」と記されています。
リンク:「一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構」
「剰余金」は4.8億円。4.4億円を積立金に、残額3769万円を翌年度の歳入に繰り入れること、されています。
自動車安全–空港整備勘定
歳入 | 予算額 | 収納済額 | 差額 |
---|---|---|---|
空港使用料収入 | 2104億円 | 2315万円 | +211億円 |
一般会計より受入 | 979億円 | 920億円 | -59億円 |
地方公共団体工事費負担金収入 | 90億円 | 78億円 | -12億円 |
償還金収入 | 201億円 | 201億円 | +929円 |
配当金収入 | 62億円 | 66億円 | +3.1億円 |
空港等財産処分収入 | 5680万円 | 16億円 | +15億円 |
雑収入 | 237億円 | 315億円 | +78億円 |
前年度剰余金受入 | 333億円 | 896億円 | +564億円 |
歳入合計 | 4006億円 | 4806億円 | +801億円 |
「空港使用料収入」のプラスは、「国際線の空港施設の使用件数、航行補助施設の利用件数が予定より多かったこと等のため」となっています。
「一般会計より繰入」は、内閣府からの「沖縄空港整備事業費」項目の272億円+150億円、国土交通省からの「空港整備事業費」という名前のついた6項目の合計金額になります。
「地方公共団体工事負担金収入」のマイナスは、「直轄空港整備事業の年度精算に伴う減額があったこと等のため」となっています。
「償還金収入」は、空港運営会社の貸付金の償還金が主になっています。
「配当金収入」は、「成田国際空港株式会社」一社からの配当金です。
「空港等財産処分収入」のプラスは、「施設用地の売払いがあったこと等のため」とあります。
「雑収入」には、土地・建物の貸付料(261億円)の他に、航空衛星使用料収入、弁償及び返納金、預託金利子収入などが含まれています。プラスになったのは「土地の貸付料を改定したこと等のため」「契約金額の精算による返納金が予定より多かった等のため」など、小項目ごとに理由が説明されています。
歳出 | 予算額 | 前年度繰越 | 支出済額 | 翌年度繰越 | 不用額 |
---|---|---|---|---|---|
空港等維持運営費 | 1473億円 | 1392億円 | 80億円 | ||
空港整備事業費 | 1066億円 | 271億円 | 833億円 | 460億円 | 44億円 |
北海道空港整備事業費 | 115億円 | 15億円 | 102億円 | 24億円 | 3.2億円 |
離島空港整備事業費 | 15億円 | 5.7億円 | 18億円 | 1・5億円 | 1.7億円 |
沖縄空港整備事業費 | 409億円 | 281億円 | 467億円 | 221億円 | 1.3億円 |
航空路整備事業費 | 318億円 | 39億円 | 332億円 | 19億円 | 5.7億円 |
地域公共交通維持・活性化推進費 | 64億円 | 56億円 | 8.5億円 | ||
空港塔整備事業工事諸費 | 18億円 | 9570万円 | 17億円 | 3219万円 | 1・2億円 |
一般会計へ繰入 | 26億円 | 26億円 | 667円 | ||
国債整理基金特別会計へ繰入 | 499億円 | 496億円 | 3.4億円 | ||
予備費 | 3.3億円 | 0円 | 3.3億円 | ||
歳出合計: | 4006億円 | 612億円 | 3739億円 | 726億円 | 153億円 |
「空港等維持運営費」には人件費、庁費、事務処理日などが含まれています。不用額を生じたのは「課税対象仕入が予定を上回ったこと及び課税対象収入が予定を下回ったことにより、消費税を要することが少なかったこと等のため」とあります。この文章、よく理解できないのですが。
この中には「空港警備機器整備費補助」という項目があり、3.6億円を「消費税」の予算から流用増額され、5.3億円が支出されています。流用の理由として「バングラデシュにおけるテロ事案に伴い空港警備機器を整備したため」とありますが、この項目、当初予算で6.8億円確保されているんですよね。流用額を足して10億円としながら、不用額5.1億円を計上しています。
「空港整備事業費」の不用額が生じたのは、「契約価格が予定を下回ったこと、事業規模の縮小による事業計画の変更をしたこと等により」とあります。
「北海道空港整備事業費」「離島空港整備事業費」「沖縄空港整備事業費」はそれぞれ「空港整備事業費」「営繕宿舎費」「調査費」などが含まれています。それぞれ「契約価格が予定を下回ったこと等」といった理由で不用額を計上しています。
「航空路整備事業費」の不用額は、「契約価格が予定を下回ったこと、事業規模の縮小による事業計画の変更をしたこと等により」とあります。
「地方公共交通維持・活性化推進費」の内訳は「航空機等購入費補助金」の一項目だけです。不用額を生じたのは「航空運送事業者からの交付申請額及び契約価格が予定を下回ったため」とあります。
「空港等整備事業工事諸費」には、別に人件費、事務費が計上されています。
「一般会計へ繰入」は、正式には「収益回収公共事業資金貸付金償還金一般会計へ繰入」という項目名になっていて、これは同じ金額が財務省一般会計の収入の中の「諸収入」の項目の中に、「自動車安全特別会計受入金」として計上されています。。
「剰余金」は1067億円。これは翌年度の歳入に繰り入れることと、となっています。
以上が「自動車安全特別会計」の主な内容になります。
この後には、「保障勘定」「自動車事故対策勘定」の損益計算書と貸借対照表がついています。
「保障勘定」「自動車事故対策勘定」には「積立金明細表」があり、2016年度末現在の積立金は、保障勘定:143億円、自動車事故対策勘定:1878億円となっています。
「空港整備勘定」には、それぞれの事業ごとの事業費と財源内容を示した「事業実績表」がついいています。