乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

統計不正を考える

折を見て、いろいろ書き残しておきます。

「公文書改ざん」と並んで、行政にとって深刻な問題だと思えるのは、やはり「統計不正」でしょう。これ、内閣官房が「問題ない」などと発言することは、とんでもないことだと思います。

政府の「基幹統計」というものは、国民生活、社会、経済、貿易など、日本という国の「現状の姿」を浮かび上がらせるために集められる重要な統計です。
集められた統計データを元に現状を分析し、行政の課題を抽出し、課題解決の検討や議論を行い、具体的な行政方針につなげ、政策を策定していく、そうした行政執行のための「そもそもの現状認識」の基礎になるものが、この「基幹統計」になるわけです。

こういう、統計データの収集にあたっては、収集方法や手順を厳密に定めて、その手順や方法を厳密に守って収集する必要があります。収集方法や手順にブレや揺れがあると、収集されたデータの正確性が担保できなくなるからです。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査に関する特別監察委員会」の報告書を見てみると、今年初頭の報告書による報告書でも「明らかになった事実関係」として11項目が挙げられています。目次を列挙すると以下の通りです。

1.平成16(2004)年以降の東京都における規模500人以上の事業所に係る抽出 調査の実施及び年報の記載との相違についての事実関係
2.平成16(2004)年以降の東京都における抽出調査の実施に伴い必要であった 復元処理が実施されなかったことに関する事実関係
3.公表していた調査対象事業所数に比べて実際に調査した事業所数が少なくなっている ことに係る事実関係
4.平成21(2009)年調査以降、東京都の規模30人以上499人以下の事業所の 一部で異なる抽出率の復元が行われていなかったことについての事実関係
5.平成27(2015)年1月調査分からの事務取扱要領の見直しに係る事実関係
6.平成16(2004)年から平成23(2011)年の調査の再集計値の算出に必要な 資料の一部の存在が確認されていないことの事実関係
7.平成27(2015)年10月からの調査方法の見直し等の議論の中での事実関係
8.平成30(2018)年1月調査以降の集計方法の変更に際しての事実関係
9.平成30(2018)年調査の実施に当たっての事実関係
10.平成30(2018)年1月調査以降の給与に係る数値の上振れの問題についての 事実関係
11.平成31(2019)年調査の実施等に当たっての事実関係

「東京都における規模500人以上の事業所係る抽出調査」の件(1)が最初にクローズアップされたわけですが、その他にも、抽出調査の結果を全数調査に近似させる「復元処置」が行われていなかった件など、いくつもの統計処理上の問題点が指摘されています。

これによって、集められた統計データが日本社会の現状とズレたものになってしまうことは、政府が会計予算案の練り直しを必要とするほどであり、これは国家予算に影響を与える「重大な問題」だと思います。

しかも最近になって「「一般統計」(232統計)のうち154統計で不適切な対応があったと認定」という報道もでてきています。

つまり現在の政府は、不適切に行われた統計データを元に政策を執行していることになります。そしてそのことを「問題じゃない」「大したことじゃない」と認識している閣僚がいることは、現政府にとっても「重大な問題」だと思います。

これについても、適切に収集された統計データに戻されていくのか、今後も注意しなければならないな、と思ってますけど。