乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-10 アメリカ

 アメリカ・インディアナポリスモータースピードウェイ。F1唯一のオーヴァルコースを持つサーキットでもあり、それはヨーロッパ・ラウンドで蓄積した経験が新たな環境にどう対処できるか、という勝負でもあります。

 実際、インディアナポリスは他のサーキットとはかなり毛色が違っているらしく、ここでは各チームの意外な姿を見ることができたり。……あ、昨年の悪夢は、忘れたいですが(笑)。


 さすがに2年続けて同じサーキットに「対応できない」タイヤは持ち込めないミシュラン。もちろん今回は「走れるタイヤ」を持ち込んではきましたが、インディの経験も持ち合わせるブリジストンに対し、昨年の決勝ボイコットもあり(だから思い出したくないのに(笑))、やはり不利は払拭できなかったのかもしれません、ミシュランタイヤ。


 スタート時点での気温は36度、路面温度43度、湿度39%。

 ……えらく、温度が高い気もしますが(笑)。正午(近く)の気温が36度って、東京では「猛暑」と呼ばれるほどの温度だと思いますが。そんな気温の中で、狭いコックピットに納まっていたドライバーたち。……「やめてやる」とか、思わないんでしょうか?(笑)。


 ……そんな、失礼なこと、思ってませんけど。いやほんとに(笑)。


 で、決勝レース。……の前にスターティング・グリッド。
 とにかく好調ぶりを大きくアピールしたのは、フェラーリの2台。他のマシンと差をつける走りを見せ、お見事&久し振り、のフロントロー独占。対するルノージャンカルロ・フィジケラが3位へ食い込んだものの、ディフェンディング・チャンピオン、フェルナンド・アロンソは辛うじて3列目の5位。そしてそのアロンソを追いかけるもうひとり、キミ・ライコネンも9位と中段に沈んでしまいました。そのチームメイト、ファンパブロ・モントーヤも11位。予選ではフェラーリとHondaが明、ルノーマクラーレンが暗、ということになったでしょうか。

 ブリジストンタイヤがいい、という解説もありましたが、実際には予選のトップ10でブリジストンタイヤを履いていたのはフェラーリの2台、ラルフ・シューマッハTOYOTAの3台のみ。もちろん予選順位がすべてタイヤのせいではありませんが。


 さてさて、決勝レース。

 広いレーン、抜きどころ満載のコースでの決勝レースは、スタート直後に跳んでもないことに。

 スタート直後はフェラーリルノーの4台がかなり調子のいいスタートを見せ、5位スタートのアロンソバリチェロフィジケラを抜いて3番手に立つという、なかなかエキサイティングなスタートだったのですが、その直後の第1コーナーで、何台ものマシンを巻き込んだマルチ・クラッシュが起きてしまいます。当然、セイフティカー導入。

 この瞬間、実に7台がレースを終えるという事態に。ジェンソン・バトンニック・ハイドフェルド接触し、ハイドフェルドのマシンが宙に浮いて横転してしまいます。さらにその後方でキミ・ライコネン、ファンパブロ・モントーヤマーク・ウェバースコット・スピード(地元レース)、クリスチャン・クリエン、フランク・モンタニがマシンを接触させ、あるいはコースアウトしてマシンを止めてしまいました。

 バトンは辛うじてコースに戻りましたが、接触によるダメージが大きく、セイフティカー導入中にマシンをガレージに入れてリタイアとなってしまいました。

 その後も佐藤琢磨選手がティアゴ・モンテイロ接触してリタイア。レースに復帰したモンテイロの方も、その3周後にリタイアとなってしまいました。

 その後も24周目でジャック・ヴィルヌーヴエンジンブローでコースアウト、37周目にはクリスチャン・アルバースがトラブルを抱えてピットインからそのままリタイア。

 これでコース上は10台。このまま何事もなく最後まで、と思いきや、64周目にラルフ・シューマッハがマシンをガレージに入れてリタイア。これでコース上にはわずか9台のみ、という結果になってしまいました。


 そんなサバイバル・レースを制したのは、フェラーリ

 スタート直後の第1コーナーで好スタートのマッサがミハイルの前に出て、前半をトップでリードし、その後ろにミハイルがしっかりつきます。その後、マッサのピット作業でミハイルとトップを交代。その後は終始ミハイルがトップを守り、マッサを引き連れての堂々のワンツーフィニッシュ。

 レースを終えたあと、表彰台に上がる前に、ブリジストンの浜島氏と勝利を分かち合ったミハイルの姿が印象的でした。普段は見せないだけに、今回のブリジストンタイヤの性能がかなりマシン性能の向上に寄与していた、ということでしょうか。


 そんなフェラーリと好対照だったのが、ルノーの、特にアロンソ

 スタートの瞬間はミハイルに食いつかんばかりのダッシュを見せ、3位に食い込んだのですが、その後ミハイルを追いつめるどころか、スピードに乗れないアロンソ。後ろのフィジケラに煽られたりするシーンもあったりして。

 15周目にはフィジケラアロンソをコース上でパスする、というシーンも見られ、本来の「速さ」が見られないままに周回を重ね、結果的にはワンストップを選択したトゥルーリTOYOTAに4位を譲り、5位でのフィニッシュ。最近では表彰台圏内でチェッカーを受けるのが「ふつう」になっていたアロンソでしたが、そんな「速さ」をまるで感じさせない、「どうしちゃったの」アロンソ(笑)、今回はまるでパッとしませんでした。


 そして何と、いちばん後ろから走り出して4位をゲットしたトゥルーリTOYOTA

 最初からの予定だったような感じでしたが、序盤のセイフティカー導入もプラスに作用したのではないかと思います。ラルフのガレージ・インが気になったりもしますが、過酷なレースを乗り切っての4位入賞は、手応えのあるものだったのではないでしょうか。

 TOYOTAもHondaも、今回はマクラーレンが早々にコースを去ってしまった中ですが、こうした結果を残せたのはよしなのかもしれません。

 あとはヨーロッパ・ラウンドでどう前を狙っていくか。

 やはり、ヨーロッパのコースで結果を残すことが、F1でランクアップをするには避けて通れない道ですし。


 そして、我が(笑)ルーベンス・バリチェロ

 スタート直後で順位を落とすのは毎度のことだったりしますが(笑)、今回はやはりルノーとのスタートダッシュの性能の違いが大きかったのかな、という気がしています。前にも後ろにもルノーマシンとあっては、なかなか難しいスタートだったのではないかと。スタートでのルノーの性能はやはり高いですし。

 などということもありながら今回は着実に周回を重ね、着実にピット作業を行なっての結果であり、前でチェッカーを受けたのがフェラーリルノー、そしてワンストップのトゥルーリだけ、と考えれば、今回の結果はまず「手に入れられるものを着実に手に入れた」と言えるのではないでしょうか。

 もちろんさらに上をめざすには、厳しい努力が必要でしょう。ルーベンス自身もレース後のインタビューでそう語っているそうですし。「世界のトップレベル」へ追いつくのはできる、しかし「世界のトップレベルの、その上」を実現するのは、どう考えても大変なことだと思います。

 前に立ちはだかるのはフェラーリルノーマクラーレンなど、実績を積み重ね、ノウハウを蓄積した強者ばかり。そんなチームをこれから追い抜いていこうとするなら、やはり実績と経験を積み重ねていくことしかないかもしれません。ま、「走って走って走りまくるしかない」ということですかね?(笑)


 これから後半戦、ヨーロッパでの5戦、そしてアジア2連戦とブラジルと、ツアーは続きます。

 フェラーリにとってもルノーにとっても、もちろんHonda、TOYOTAスーパーアグリにとっても正念場を迎える、ということになるでしょう。ひとつひとつのレースで何をやり、どんな結果を得ていくのかが、これから重要になってくるような気がします。

 チャンピオン争いも激しくなってくるでしょうし、各チームの「前をめざした」努力にも厳しさが要求されてくるでしょう。その「努力」がどんな「結果」になって結実するのか、いろんなチームがこれから面白くなってきそうです。レッドブルトロ・ロッソなどのチームも、これから面白くなってきそうだし。

 いやあ、ますます、見逃せませんなあ(笑)。