ジャン・ボードリヤールさん７７歳＝仏の哲学者−訃報：MSN毎日インタラクティブ
だ、そうです。「消費社会の神話と構造」（７０年）などはとても興奮しながら読んだ覚えがあります。どこか深刻に語られるべき問題について笑い飛ばしてしまうような辛辣な表現、「疑似イベント」といった言葉を使って消費社会を描いていくあたりは、筒井康隆氏の往年のＳＦとの親和性も感じたりして、強く印象に残る著作も何冊かあります。
そう、この人の文章は、「哲学用語で語られるＳＦ（スペキュレイティヴ・フィクション）」のような味わいがありました。
哲学・文学から経済・芸術までを渡り歩きながら現実に対して辛辣な視線を向ける氏の著作は、哲学書にしては奇妙な軽さを持ち、評論・随筆よりは深い射程を見据えている、不思議な作品群ではないかと思います。
氏のご冥福を、遠く東の果てよりお祈りします。
