乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-02 マレーシア


 今回は、早く書けました(笑)。


 F1第2戦・マレーシアグランプリ。
 常夏のクワラルンプール、セパン・インターナショナルサーキット。気温37度、路面温度40度という条件で行われた予選はマシンに厳しい戦いとなりました。ミハイル・シューマッハフェリペ・マッサ、デヴィッド・クルサードラルフ・シューマッハ、そしてルーベンス・バリチェロの5人が予選終了前のエンジン交換で決勝グリッドの10番降格(マッサは2回のエンジン交換で20番降格!)の憂き目に遭いました。
 そう言えば昨年の「2レース1エンジン」のレギュレーションは今年も残っているんでした。昨年は「1レース1タイヤ」ルールだったために必然的にタイヤを庇う走りが要求され、そのためにエンジンをセーブしながら走っていた、とも言えるのではないか、と思います。
 それがタイヤ交換が可能になったことで、決勝レース中にある程度タイヤに無理をさせることができるようになり、それはつまりエンジンにも無理をさせることに繋がるのではないか、と思ったり。つまりエンジンには、昨年以上の耐久性が要求されるようになったのではないでしょうか。正確なところはわかりませんが。
 そういう状況の中、砂漠を走り抜けてきたエンジンに、今度は高温多湿の環境の中でさらに無理をさせようというのです。エンジンも、さすがに悲鳴を上げるのではないか、などとエンジンの味方をして見たり(笑)。


 何はともあれ、予選で4位(ミハイル)、10位(ラルフ)、11位(クルサード)、12位(バリチェロ)、16位(マッサ)がグリッド後方にひしめく光景は、どう見ても「不穏」(笑)。
 おかげでスーパーアグリチームは17、18番手からのスタートと、まだまだ後方ながら「レースができそうな」位置につけ、決勝の幕が上がりました。気温は33度、路面温度36度と予選よりはいくぶん涼しく、雨の気配もありそうな天候の中、始まったレースは第1コーナーへの飛び込みを全車無事に乗り越えたようですが。
 ところが、その直後ライコネンのマシンがスピン、ウォールに激突してマシンを壊してリタイアというアクシデントが。前回の予選のアクシデントといい、どこかシーズン前半に「不運」がつきまとうライコネン。最初の周回を走りきることなく、あえなくレースを終えてしまいました。


 そして、前回の初出走・初入賞を果たしたロズベルグもまた、7周目にエンジンから火を吹いてマシンを止める羽目に。今回2列目・3番グリッドと好位置につけていただけに、早々と姿を消してしまったのは残念。フィジケラ、バトン、モントーヤあたりとどんなバトルを見せてくれるのか、ちょっと期待したりしていたのですが。
 それに加えてウィリアムズチームは、ウェバーまでもがエンジントラブルに泣くことになってしまいました。一瞬「おいおい、コスワース・エンジンか?」と思ってしまったのは僕だけでしょうか。後日トラブルの原因をチェックした限りでは、エンジンが原因のリタイアはロズベルグだけで、後は油圧系やクラッチのトラブルだったようで。同じコスワースエンジンを積んだリウィッツィは完走しているし。


 今回、たくさん映ったのは佐藤琢磨選手。後方でのバトルとはいえ、襲いかかるリウィッツィのマシンをそのドライビングテクニックで抑え込んで見せるあたり、「さすが」と思わせるものがありました。
 特にトップから周回遅れとなってから、譲る相手と譲れない相手が混在するコース上で、トップクラスのマシンを先に行かせながら同一周回のマシンの前に割り込んで見せるシーンもあり、そんなシーンでは「只者ではない」存在感を見せていました。こうしたシーンには、結構感動したりします(笑)。
 井出選手も頑張りましたが、エンジントラブルで前回に続くリタイア。なかなかテレビでは目立ってないのでその実力は未知数ですが、次回も完走をめざして奮闘して欲しいものです。


 2台ともエンジン交換のグリッド降格の憂き目に遭い、後方からのスタートとなったフェラーリ2台はマシンの安定性にものを言わせて、気がつけば5,6位の入賞圏内。ただ、そこから上へのジャンプアップが果たせないのが、今年のフェラーリマシンの、未だに残る課題でしょうか。ルノーマクラーレンのマシンと比べると、まだ「抜きんでた何か」を感じることができない、もどかしい状態がつづいているような印象を受けてしまいます。確かに2戦を通じてその「頑丈さ」は十分に感じられましたが(笑)、やはりトップに立つには、ルノーのマシン性能を越える「何か」が必要ではないか、という印象でした。
 でも、マッサは頑張りましたな(笑)。
 ミハイルよりも後方からスタートしながら、ミハイルのピットでのタイムロスにも助けられて、ミハイルの前でのチェッカー。まあ、ここはミハイルが無理しなかった、ということなのかもしれませんが。フェラーリもそろそろ、世代交代の時期なのでしょうか。


 さて、我らがHondaと、我が(笑)ルーベンス・バリチェロ
 しかし、バトンの3位表彰台は立派。前回、今回と上位入賞、表彰台ゲットは、今年のHondaマシンの仕上がりの良さを証明しているもののような気がします。ただ、Hondaマシンもまたフェラーリと同じく、トップチェッカーを受けるには「抜きんでた何か」を手に入れる必要があるような気がします。それが何かはわかりませんが。
 今シーズン中にHondaチームがそれを手に入れられれば、バトンのトップチェッカーは決して夢物語ではないような気がします。何か、今年の2戦のレースを見れば(まだ2戦ですが)、チーム自体もそれなりの手応えを掴んでいるように見えますし、おそらく今年のうちに、何かやってくれそうな気がします。


 どこまでも快調に前に進み続けるバトンと対照的に、悩みの尽きないルーベンス。今はまだHondaのメカニックとの連携を形作る時期なのかもしれませんが。ミハイルもフェラーリに移籍してチャンピオンシップを獲るまでまる4年がかかってるわけで。ルーベンスもまた新しいチームの中でどういうスタンスを取り、どんなアプローチを試みるべきか、さまざまな試行錯誤の中にいるのでは、と思っています。
 そんな中でも、エンジン交換によるペナルティによって20番グリッドからのスタートとなりながら、最終的に10位まで順位を上げてきたことはいい徴候のように見えます。もともとHondaのマシンのポテンシャルの高さとルーベンスのポテンシャルの「あり方」をどう対応させ、摺り合わせていくか、というところにいるのだろうと思います。長い目で見れば、やはり3年ぐらいのタイムスパンは必要なのかな、とも追いますが、これから徐々にマシンとの相性を構築していくであろう、ルーベンスの走りには今後も期待したいと思います。

 さて、1週空いて次回は4月2日。うーん、今から楽しみ(笑)。