乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-03オーストラリア

 昨日(土曜日)にやっと寒の戻りを抜けて暖かくなった東京に対し、今回の舞台は秋の気配を感じさせるオーストラリア・メルボルン。気温20度、路面温度28度という温度はF1では「涼しい」気象条件になるのではないかと思います。
 そんな中で行われたグランプリ決勝は、とんでもないレースになってしまいました。


 異変はフォーメーションラップからすでに始まってました。冷たいタイヤを暖めるために殆どの車がスピードに変化を与えたり蛇行したりする中、スターティンググリッドに戻る直前、モントーヤのマシンが何とスピン。フォーメーションラップ中のスピンというのも珍しいものです。モントーヤはこのスピンでコース上にマシンを止めてしまうことになり、何と改めてフォーメーションラップのやり直し。そしてその直後、2回目のフォーメーションラップが始まる前にはフィジケラがマシンの中で両手を上げます。フィジケラのマシンはエンジンストールのようで、2回目のフォーメーションラップを走ることができず、ピットからのスタートに。


 そんなこんなで波乱含みの始まりを迎えた決勝。
 フィジケラを欠いたスタート、ポールポジションのバトンに後ろから襲いかかるアロンソのマシン。ギリギリのタイミングで何とかアロンソを押さえたバトン、トップで走行を開始したのですが。
 スタート直後の周回でトゥルーリがマシンをスピンさせ、マッサもまたマシンをスピンさせてしまい、壁にぶつけてクラッシュ。そのクラッシュで路面にマシンの破片が舞い飛び、セーフティーカーが導入され、結局はバトン以下数珠繋ぎになって周回を重ねることに。
 これはバトンにとっては誤算(?)でした。セーフティーカーが下がってレース再開直後、ぴたりと後ろにつけていたアロンソは最初のコーナーまでにバトンをあっさりと抜き去り、トップに躍り出るとそのまま引き離しにかかりました。
 追う立場としては食らいつきたいバトンですがなかなかアロンソを追うどころか後ろからライコネンに襲いかかられる始末。


 今回のバトン、マシンのせいか何なのか、どうもパッとしませんでした。相変わらずの速さを見せるルノー勢やマクラーレン勢の中で、頑張って走っているんでしょうけどその「頑張り」が走りとして画面に出てこない、そんな印象でした。確かに才能のあるドライバーだと思うのですが、今回は「えらく地味」に見えてしまいました(笑)。
 そんな中、トラブルは起こり続けます。5周目にはクリエンがマシンをスピンさせて壁に突っ込み、破片をばらまきながら壁にマシンを擦り付けるようにしてタイヤバリアへ。そして再度のセーフティーカーの導入。


 これでバトンにとってはチャンス到来。水を空けられていたアロンソとの差を縮めるチャンス。でしたがセーフティーカー解除の局面で上手くアロンソに付いていくことができず、トップ奪回はできませんでした。
 この局面でも、何やら変調を感じたのは僕だけでしょうか。本来ならば、追い越せないまでも引き離されないだけの、Hondaのマシンはポテンシャルを持っているの思うのですが。ここでも追い切れないまま、後方からの追い上げを辛うじて押さえるレースが続きます。


 そのうちにウェバーがマシンをスローダウンさせてリタイア。スタート周回でリタイアしたロズベルグと合わせて、これでリタイアは5台。
 何やら雲行きも怪しくなる中、全く先の読めないレースは続きますが、その中で健闘していたのは佐藤琢磨選手。スタート周回の混乱を乗り越えて13位までジャンプアップ。バリチェロクルサードというふたりのドライバーを押さえて、前を走り続けるスーパーアグリマシンには、やはり血が騒いでしまったりしたのは、僕が日本人であるからでしょうな(笑)。


 そんな中でまたまた起こるマシンクラッシュ。最終コーナーからの立ち上がりでミハイル・シューマッハのマシンがコースオフ、壁にマシンをぶつけてクラッシュさせてしまい、3度目のセーフティーカー導入を齎すことになってしまいました。
 Hondaのマシンと同じく、今回はフェラーリのマシンもおかしな挙動が目立っていたようです。ミハイルのマシンがあれだけ縁石に大きく乗り上げたり、コースオフをするシーンを何度も見かけるレースはこれまであまり見なかったものです。
 放送の中では気温、路面温度共に低いためにタイヤが暖まらず、地面にしっかりグリップしないためにとてもスリップしやすい状況だと解説されていましたが。確かにそれもあるのでしょうが、それに加えて何らかの、マシンの不調もあったのではないか、と思ったりもしています。


 さらに続く、マシントラブル。
 3度目のセーフティーカーが下がった直後、今度はリウィッツィがマシンをクラッシュさせてしまいます。さらにはモンテイロのマシンがスローダウン。さらにはCM中にモントーヤのマシンが最終コーナーでコースオフした揚げ句、リタイアの憂き目に遭ってしまいます。これでリタイアは9台。フェラーリ、ウィリアムズのそれぞれ2台とも、マクラーレン、ミッドランド、トロ・ロッソTOYOTAとウィリアムズの各1台。
 その中で頑張ったのは、ラルフ・シューマッハでしょうか。3ストップ作戦で着実に順位を上げ、勢いの出ないバトンを尻目に堂々の3位表彰台。TOYOTAマシン自体はまだまだ課題を抱えているように見えるのですが、その中で今年は3戦全部でグリッドより順位を上げてのフィニッシュを続けてきました。大型新人・ロズベルグとともに、今年もしかしたら飛躍を遂げるのかもしれない、などと思ったりもしましたが。勘の鈍い僕の勘がそう告げています(笑)。


 さて、我らがHondaマシン。バトンは苦しみながらも5位につけ、後ろにまで上がってきたフィジケラに脅かされながらも、何とかレースを展開していたのですが……。
 このまま5位フィニッシュ確実かと思われた最終周回・最終コーナー、まるで悪い夢を見ているような出来事。バトンのマシン後方から突如煙が上がったかと思うと、大きな炎が吹き上がりました。
 目の前に見えるチェッカーフラグを前に、スローダウンしてしまったマシンを芝生の上に停めたバトン。ゴールまではあと150m。
 こんなことって、あるんでしょうか、と思いたくなるような、バトンの無念が画面いっぱいに伝わってくるようなシーンでした。


 そして我が(笑)ルーベンス・バリチェロ
 放送中に無線通信が紹介されていましたが、ブレーキにトラブルを抱えていたようで、後ろの方の集団に埋もれる形になり、一時は新米スーパーアグリマシンをなかなか抜けない(笑)シーンも放送されるなどありましたが、それでも我慢を重ねてレースを乗り切り、結果は7位入賞、ポイントゲット。
 しかし、バトンの不幸といい、ルーベンスの不調といい、高いポテンシャルを持ちながら、Hondaの苦労は続きます。ルノー、そしてマクラーレンのマシンを超えるために、Hondaには極限までの性能アップが求められているのでしょう。その性能アップを狙ったがゆえの、マシンバランスの変調が今回のレースに出ていたのではないか、そんな勝手な感想を抱いていたりしますが(笑)。


 何はともあれ、手応えもありながら、一歩抜きんでるための、Hondaの必死の試行錯誤が続きます。最初はパッとしなかったTOYOTAも、今回のラルフの健闘で手応えを感じているでしょう。そしてルーベンスを抑える走りを見せた佐藤&スーパーアグリ・マシン。今回は2台とも完走と、着実に自らの目標をひとつひとつクリアしていっている、そんな印象を受けます。錚々たるメーカーチームの輝きに隠れながらも、独自のテーマを一歩ずつクリアしていっている、もしかしたら今一番「アグレッシヴな」チームかもしれません。
 それはそれとして、今回初ポイントゲットのルーベンスの、次回の活躍を期待しつつ(笑)。