乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-14 トルコ


 F1第14戦、トルコ・グランプリ。
 最前列には赤いマシンが2台。その後ろに、ぴたりと付くように青いマシンが2台。今年のチャンピオンシップ争いと、現在のチームの勢いと、今年のチャンピオンシップの結果を占うかのようなスターティンググリッドで、トルコ・グランプリの幕は開きました。気温35度、路面温度は53度という、まさに灼熱のバトル。
 今年のシーズンもこのレースを入れて残り6戦。チャンピオンシップ争いもいよいよ煮詰まってきた感があります。


 今回フロントを独占したフェラーリですが、今回のポールポジションはミハイル・シューマッハではなくフェリペ・マッサ。本人にとっても初めてとなるポールポジションです。今年のシーズンが始まった頃には、個人的にはフェラーリのドライバーとしては「影が薄い」印象を持っていた(失礼)マッサですが、マシンの復調と共にその存在感を強くしてきているようです。そして今回は予選でミハイルのタイムを上回って、初のポールポジション獲得。そして、それだけではありませんでした。


 スタートから第1コーナーへの飛び込みで、アロンソを押さえるためにコントロールラインに割り込んで見せたミハイル。それを躱そうとインへマシンを振ったアロンソ、そのあおりを食ってスピンしてしまったフィジケラ。それが後続マシンの多重クラッシュを招き寄せる中、マッサは悠々とトップをキープし、新旧チャンピオンを後ろに従えてのトップ走行。その後も安定したスピードでトップ独走態勢を築き、結局終始レースをリードする形で危なげのないPole to Win。初ポール、初優勝の素晴らしいレースになりました。
 あまりにも危なげなかったためか、各所で勃発するコース上のバトルにカメラが向いてしまい、あまりテレビに映ってなかったような気も(笑)。


 それにしても、今回のレースを見て、自分の「影が薄い」という印象はえらく間違っていたと思い知らされました(笑)。そうではなく、たとえカメラ写りが地味でも(笑)、自分の力とマシンの力のままに「危なげなく」周回を重ねていける力を持ち、その力が今回存分に発揮されたということなのではないか、と、今回のレースを見て思いました。
 前からそういう資質はあったのかもしれませんが、ここのところへ来て「結果を残す力」を多いに身に付けてきたような感じです。この力はもしかしたら、かつてのミハイル、フェルナンド・アロンソが手に入れてきたものと似ているものなのかもしれません。だとしたら、今後のマッサのパフォーマンスにがぜん興味が湧いてきます。


 一方のミハイル。
 時折コース上で挙動不審を見せるようなところもあったりしましたが、最大の「挙動不審」はセイフティーカー導入時の、マッサと隊列を組んでの「同チーム同時ピットイン」という離れ技(笑)。
「セイフティカー導入で1周ノロノロと走るよりも……」と思ったのかどうか分かりませんが、同じタイミングでアロンソもまたピットインをしていたのが運の尽き。
 結局ミハイルはマッサのピットストップと自分のピットストップ、合わせた時間だけピットにいたわけで。マッサのピット作業を後ろで見ている間にアロンソがピット作業を開始し、ミハイルがピット作業を行なっている間にアロンソはピットを離れてレーンへ。
 セイフティカー解除後は必死でアロンソに追いすがり、途中でコーナーで膨らんでタイムを落としながらも、再度アロンソの後ろに付くまで追い上げてはいたのですが。
 ラスト15周に渡って、追いつきそうになりながらもパスするまでにはいたらず、最後のゴール前でプッシュするも、わずか0.1秒差でアロンソに届かず。
 こうした結果から振りかえると、マッサとの同時ピットインはどうだったのか、と思わずミハイル本人に聞いてみたくなったりもしますが(笑)。


 そんなわけで「棚から牡丹餅」な2位を手に入れたアロンソ。今回のレース、ふたりのガチンコ対決が大いに見られたわけですが、前半はアロンソがミハイルに「追いつけず」、後半はミハイルがアロンソを「追い抜けず」、という展開だったように思えます。
 この「追いつけない」と「追い抜けない」の差は、やはりスピードではフェラーリの方が上回っていた、ということなのではないか、と思えますが。
 もしかしたらアロンソはマッサがどれだけ飛ばそうが、「ラストでミハイルの前でレースを終える」とこを最重点にした走りだったのだと思います。一瞬マシンの挙動を乱す瞬間もありましたが、あとは見事に抑え込んだというか、「並ばれそうになって頭を押さえる」というより「並ばれるような隙を作らない」走りを最後まで見せていたように感じます。こういう「渋い」走りができるのも、アロンソのドライバーとしてのポテンシャルの高さでしょうか。それを見せつけられるような、ミハイルとのバトルだったと思います。


 そんな両雄の間に割って入れるだけのポテンシャルを持ちながら、「残念無念」が続いているのは、キミ・ライコネン
 ちゃんと走れれば、もしかしたらアロンソよりもミハイルよりも早く走れるドライバーのような気がするのですが、どうもそこここでアクシデントやトラブルに見舞われてしまいます。本人も悔しいでしょうが、チャンピオンシップ争いの勢力地図を塗り替えられるだけのポテンシャルを持っているドライバーだけに、続く不運は見ている僕にとっても「残念無念」です。


 そして、前回優勝のHondaチーム。
 前回優勝したからと言って、すぐに連戦連勝といくわけがないのがF1、というのはどんなトップチームでも同じ。今回もフェラーリルノーの後塵を拝することになってしまいましたが、それでもスタート直後の多重クラッシュというアクシデントに巻き込まれることもなく、順調に周回を重ねることができたようで。
 ジェンソン・バトンは6番グリッドからのスタートながら、スタート直後のアクシデントを躱して4位へジャンプアップ。その後も順位をキープし続けてそのままフィニッシュ。タイム的にはトップと12秒差、激しいバトルを演じたミハイルの後方6.7秒でのフィニッシュは、手応えのある結果だと思います。


 そして、我が(笑)ルーベンス・バリチェロは13番手という中盤からのスタートながら、バトンよりも多く公式映像に映ってました(笑)。TOYOTAトゥルーリに抑えられてなかなか抜けなかったり、ピットからの指示が出るとすぐに抜いてみたり(笑)。こんな映像を見ると彼の「For The Team」スピリットを感じたりもしたのですが、その一方で「マシンの頑張らせ方」のようなものを、まだどこかで量っているかのような印象を抱いたりもします。
 そんな印象もありながらも、何とか8位入賞を果たし、ダブル入賞となったHonda。予選より順位を上げてフィニッシュできるというのは、決勝レースで結果を残る走りができるマシンとチームになってきた、ということではないのかな、と個人的には期待しています。


 前回の優勝を経験することで、Hondaチームはある「手応え」と「パワー」を手に入れたのかもしれません。今回のレースを見ていて、今年前半のレースに感じていた「マシンの不安定さ」をあまり感じなかったのもその結果なのかもしれません。
 やはり「努力」がちゃんと「結果」に繋がり、その「繋がり」をチームスタッフが実感できたということは、チームにとって非常に大きな収穫だったのではないか、などと思ったりしています。


 今年あと5戦。第3期Hondaの「初優勝イヤー」として、あと5戦をしっかりと戦いきって欲しいものだと思います。
 そしてルーベンスにも、今年最後の5戦で「これがルーベンスだ」という走りを、Hondaマシンで達成して欲しい、などと期待してしまいます。