乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-13 ハンガリー


 まずはHondaチーム、そしてジェンソン・バトン選手に精一杯の「おめでとう!!!」
 マシンやドライバーのポテンシャルは他のチームにも要注意と目されるほどでありながら、決勝レースでなかなか結果を残せず、苦しい戦いを続けてきた第3期Hondaチームとジェンソン・バトンが、共に得た「初優勝」の瞬間は、僕も見ていて熱くなってしまいました。
 苦しい戦いを乗り越えてのトップチェッカー、やはりいちばん嬉しかったのはHondaのチームクルーかもしれません。終了後のチームクルーの爆発するような歓喜のシーンに、それが表れているようでした。


 個人的には「Hondaチームは他のチームとも遜色ないポテンシャルを持ってはいるが、トップチェッカーをウケるまでにはもう少し時間がかかるのではないか」などと思っていたので、こんなに早く表彰式で国歌を聴けたことに少し驚きながらも、嬉しい形でHondaに裏切られた気分は最高です。
 何はともあれ、Hondaのチームスタッフ、ドライバー、ファン一同には「おめでとう!!!」を言っておかなくては、という気持ちです。


 という訳で、F1第13戦・ハンガリーグランプリ。
 僕個人としては先週見逃しているため、久し振り(笑)のF1観戦。おや、浜田雅功が(意味不明)。
 そしてそして、画面を見れば空は曇天。少し前まで雨が降っていたようで、路面はウェット・コンディション。ハンガロリンクでは「前代未聞」らしいですが、実際ウェットな決勝レースを見るのも久し振りのような気が。以前に見た「雨中のF1」がいつだったのか、全然覚えていません(笑)。唯一印象に残っているのは、終盤で雨が降り出し、次々とマシンがインターミディエイト(スタンダードウェット)タイヤに切り替える中、ひとりドライタイヤで走り続けて表彰台に上がってしまったルーベンス・バリチェロの姿。はて、あれはいつのどのレースのことだったのか、すぐには想い出せないし、調べるヒマもないのですが(笑)。


 それはともかく、ハンガリーグランプリ。
 久々のウェット・コンディションは、各チームにとっても試練となったようです。高温小湿の天候が予想されていた(らしい)ハンガリーグランプリ。蓋を開けてみれば雨上がり、さらにレース中にも雨が予想される空模様。気温は18度、路面温度は20度。……これが8月上旬のデータに見えますか?(笑) 4月のオーストラリアグランプリよりも、低い温度です(笑)。
 この「異変」が、各チームにも様々な「異変」を齎したようで。


 特にあおりを食らったのが、ミハイル・シューマッハだったのかもしれません。予選でのペナルティ、そして決勝では前代未聞のウェット・コース。これまでドライ・コンディションがずっと続いていたため、ウェット・コースでの最近のデータ蓄積はないとは言え、ミシュランタイヤと差がつきすぎた感じも受けます。
 ドライ・コンディションでミハイルのチャンピオンシップ猛追の立役者となってきたブリジストンだけに、今回のスタンダードウェットのパフォーマンスの悪さはかなり強い印象を残しました。もしもそこにブリジストンの「隙」があったのだとしたら、それはある意味しょうがないとは言え、「いかなる状況でも」という条件をクリアできなかったということなのではないでしょうか。
 もちろん「ブリジストンフェラーリ+ミハイル」というカップリングには、何とも魅力的なものがあります。だからこその5年連続チャンピオンという実績もあったのでしょうし、今回の終盤のパフォーマンスぶりもあったのは疑いのないところでしょう。
 今回はハンガリーグランプリでも「前代未聞」のウェット・コースということで、ある意味「未知の状況」だったのかも知れませんが、それでもミシュランタイヤと比較するなら、予選を見て「ドライ・コンディション」でのパフォーマンスに集中してしまったがゆえに、ウェット・コンディションでのパフォーマンスの追求がおろそかになっていた面がないでしょうか。そんなことを思ったりもしますが。


 11番グリッドからのスタートとなったミハイル。スタートダッシュを上手く決めて5位へと浮上したまでは良かったのですが、その後はペースが全く上がらず。アロンソに抜かれ、バトンに抜かれ、「抜きにくい=抜かれにくい」サーキットで、まるで悪い夢を見ているかのようなマシンパフォーマンスを見せてしまいました。その後ジャンカルロ・フィジケラにも抜かれそうになり、そこでフィジケラのマシンにフロントを接触させてしまい、フロントウィングを破損するという事態に。すぐにピットインして修復したものの、すぐにアロンソのマシンに後ろから迫られて道を譲り、アロンソには周回遅れにされるシーンまで。スピンをするシーンも映し出され、悪戦苦闘のミハイルでした。
「タイヤがコースに合っていない」というテレビの解説もありましたが、やはりフェラーリマシンとしては、ブリジストンタイヤのパフォーマンスがどれほどマシン性能に寄与しているかを確認できるようなレースだったのかもしれません。
 それでも後半、路面が乾いてくるとミハイルのペースも俄然上昇し、一時は2番手を走行するまでに至りながらも、2回目のピットインでスタンダードウェットのタイヤを交換せずに臨んだためか背後からデ・ラ・ロサに迫られ、抜かれてしまった直後にスローダウン。残り3周を残してミハイル、ついに力尽きてしまいました。
 この週末、ミハイルにとっては「悪夢の週末」だったのかも知れません。


 一方、アロンソと共にミシュランタイヤを履いて順調な滑り出しを見せたキミ・ライコネン。トップを走行しながらのピットイン、その後トップに立ったアロンソを追おうとした矢先、周回遅れのリウィッツィに追突、リウィッツィのマシンの後輪に跳ね上げられ、、マシンを大破させる羽目に。テレビ映像を見ていた限りでは「なんであそこでまた」とも思いましたが、インタビューを読むと、あそこでリウィッツィのマシンがスローダウンしたため、追突を避けられなかったとのこと。ライコネンなら通常のスピードで走るマシンをかわし切れないはずはない、と思っていたのですが。
 結局そのままライコネンのレースは終わり、追突されたリウィッツィもまた、すぐにレースを終えることに。


 という訳で、15番手スタートながら前半ですでにトップに立ったフェルナンド・アロンソ、猛チャージの末ミハイルまでも周回遅れにしてしまうパフォーマンスを見せ、ライコネンのクラッシュの後のセイフティ・カー導入のタイミングでピットイン、順調にトップ草稿を続けていたはずが、2回目のピットインを終えてコースに復帰した直後、マシンの挙動をコントロールできなくなってタイヤバリアへ一直線。放送では「ドライブシャフト破損」と言っていましたがとある記事によると「右リアタイヤのホイールナットが外れた」とのこと。何にせよピットイン直後のことなので、ピット作業による何らかの不具合だったのかもしれませんが。


 そうなってみると、この後の順位は1位がバトン(!)、次いでハイドフェルド、ミハイル、デ・ラ・ロサバリチェロクルサードクビサ、ラルフ、マッサの順。
 ここまでパフォーマンスの高さを見せながらも、マシントラブルにもアクシデントにも会わずに走行してきたバトン。気がつけばトップ走行、しかも2位との差は盤石。ピット作業を終えてもトップで戻り、その後は余裕を見せてのトップチェッカー。結局、無難に周回を重ね、着実なパフォーマンスを見せたバトンが最終的にトップチェッカーを受けることになりました。


 そんな中、我が(笑)ルーベンス・バリチェロ
 セカンド・ロー(3番グリッド)からの発進、第1コーナーでの2位浮上と見事なパフォーマンスを見せてくれましたが、履いているタイヤがスタンダードウェットより雨仕様のエクストラウェットタイヤ。雨が降っている最中ならともかく、雨上がりのコースではさすがに遅かったのか、デ・ラ・ロサにに抜かれてしまって3位に下がり、そこで緊急ピットイン。
 これで順位を落としてしまったものの、ライコネン接触直前にはバトンの後ろ、5位にまで復帰。その後も着実に周回を重ね、ミハイルのリタイアで4位浮上。最後は3位のハイドフェルドに肉薄しながらも、今一歩届かずに4位のままフィニッシュとなりました。
 本人も悔やんでいる通りスタートのタイヤ選択のミスが最後まで響いた形となりましたが、それにしても他のマシンと互角に戦えるマシンになってきた感じで、久し振りにHondaマシンの戦いぶりを安心して見ていられるレースでした。


 もちろん、Hondaにとって、この初優勝はひとつの通過点で、新たなスタート地点に過ぎません。今回の快挙をさらに次へ、来年へと繋げ、さらにステップアップしていく必要があるでしょう。アロンソルノー、ミハイル@フェラーリライコネンマクラーレンもこのまま黙っているわけでもないでしょうし。
 まだまだ、と言っているうちに、今年のシーズンもあと5戦を残すだけになりました。ここからが年間チャンピオンを手に入れるための正念場といえるでしょう。途中参加のデ・ラ・ロサもなんか調子よさげだし、群雄割拠の後半戦、まだまだ目が離せません。