乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

【酔っ払いがこぼす】

酔っ払いながらも、頭から離れないふたつの文章を引用する。
どちらも孫崎享『戦後史の正体』からの引用。

鈴木貫太郎内閣が(一九四五年)八月十七日に総辞職したことをうけ、東久邇宮稔彦王を首相とする史上唯一の皇族内閣が誕生していました。関係者は、みな(ポツダム宣言受諾の)調印式で屈辱的な降伏文書に署名しなければならないことを知っています。ですからできればその役割を担いたくない。みな、逃げます。 (p.28)

九月二日の降伏文書への署名のあと、(中略)米国はなにを一番重要だと思っていたでしょうか。それは戦争犯罪人の処理でした。(中略)
さあ、大変です。戦犯になれば銃殺される可能性すらあるのです。
その結果、多くの人がなんとか戦犯になるのを逃れようと、米軍と接触し始めます。「自分は罪がない」という人もいれば、「罪があるのは別の人間だ」といって罪を逃れようとする人も出てきます。
(中略)
「最上級の幹部たちが、ひんぱんにマッカサーのもとを訪れるようになり、みな自分の安全を図ろうとしている」 (p,35-36)

「責任の回避」と「自己保身の優先」は、71年前から、日本の政治家の性根に刻み込まれている、ということでは、ないですかねえ。ないですよねえ。ないと信じたいですよねえ。…ねえ?

ガルトゥング、関根健次、木内みどり

休日は、家のことをあれこれ片付けたりしているのだが、そういう時はポッドキャストを流しっぱなしにしていることが、最近多い。

本やブログやら、文字情報に集中する時は音楽に切り替えるか、無音の中で文字に集中するのだが、画像をいじったり眺めたり、パソコンの前を離れて雑用などをしている時には基本的にポッドキャストを流したりしている。
最近、というか、ここのところずっと聞いているのは「荻上チキのSession-22」、「荒川強啓のデイ・キャッチ!」、そして「自由なラジオ」など。

Session‐22」「デイ・キャッチ」はTBSラジオの番組、「自由なラジオ」はスポンサーを持たずに、市民からの寄付だけで放送している番組。休みの日にまとめて聞くので、速報性は犠牲になるのだが、テレビなどの報道番組などより、よっぽど出席者の鋭い発言や辛辣な解説が聞けるので、テレビの「ながら視聴」するよりはよっぽど面白い。
ポッドキャストの場合は、プログラム中の音楽は流れない(おそらく著作権処理の関係かな?)なので、リアルタイムで聞くのとはちょっと違う部分もあるのだが。

そんな中で、スポンサーを持たない「自由なラジオ」に、女優の木内みどり氏がパーソナリティを務めていて少し驚いたり。
このプログラムは3月で終了した「ラジオ・フォーラム」という名称で、スポンサーなし、寄付のみで放送されてきたプログラムの後継、ということで、週一回、パーソナリティはプログラムごとに変わる、という構成。

そういうプログラムのパーソナリティを女優としての多くのキャリアを持つ木内みどりさんが務める(一時間番組で)というのにも驚きましたが。

それを聞いていて知ったのが関根健次氏、そしてガルトゥング博士の名前。ガルトゥング博士は昨年夏に来日し、「積極的平和」についての講演を行い、それと安倍政権の「積極的平和主義」とはどのような違いがあるのか、「平和」に関して日本ができる世界貢献への提案、を講演で行った人物。そして、博士の日本講演を準備したのがユナイテッド・ピープル代表、関根健次氏。
この辺はハフィントン・ポストの記事で確認できます。

こうやって、外国の生の情報に触れながら自分の仕事を更新している事業者もいるんだという感想と、その目指している未来のコンセプト、それに向かって個人が何をできるか。
地に足を着けながら「これまでの延長ではない、次の未来を見つめる」姿勢を持ちながら、それでも現実の問題に対応し、直近の問題に立ち向う。

目の前の直近の問題への課題提起と、未来の「生活環境へのビジョン」。双方を繋げられる人は、少ないのではないのかな、と思います。「ぶれないけれど固執しない」態度を、どれだけの人が選択できるのか。

そして、そんな関根氏が招聘したガルトゥング博士は、「積極的平和」とは、「日本の憲法9条を世界に輸出する」ことを提案する。集団的自衛権を容認する安倍政権とは、根本的に異なっている。
憲法9条を、世界の国々に」浸透させれば、他国を侵略する国家は消滅する。これは「国家」を活かすための政治から、「国民・市民」を活かすための政治への根本的な「政治姿勢の転換」を意味するのではないか。

そんなことを、一本のポッドキャストから考えたりいしている。

憲法記念日を前に

1947年5月3日、憲法記念日。前年11月3日に公布された日本国憲法が施行されたのを記念に設けられた祝日、になります。

 

以前、「憲法は逐条の議論を」と書きました。憲法改正について議論する場合、「護憲改憲か」という対立軸は、どうも発展的な議論を生まないように思います。現実にそれらの議論が「結論ありき」による双方の主張による確執を生じるだけで、国の将来像を描く発展的な議論に結びついていかない、と思います。

憲法施行から69年。70年目を迎えようとする憲法ですが、この間に世界情勢、国内情況は大きく変化しています。そうした変化に応じて憲法は変えていくべき、という意見もあります。

 

さて、憲法について、そもそも「時代に合わせて変えていくもの」というものと捉えることは、妥当なのでしょうか。
様々な国で制定されている憲法ですが、その性格は国によって異なっています。国家の運営体制や方針が異なっている以上、最高法規である憲法の性格が国によって違うのは、当然のことでしょう。
ならば、この「日本の憲法」はどうなのでしょうか。

 

これもまあ、受け取り方によっていろいろな解釈が可能ではありますが。

僕は、「国民の信託によって、国民の代表者が行使する国家権力を制限し、主権者である国民の権利・自由を擁護することを目的とする」(立憲的意味での憲法)がしっくりくるように思います。

その目的に基づいて、国民の基本的人権の保障、個人の尊重、自由の保障が書き記され、内閣・国会・司法の3つの権力が規定されます。
この基本的な骨格の部分については、現在のみならず、未来に渡っても保持されるべき普遍的な骨格ではないか、と思います。将来的に、民主主義的国家運営にとって変わるような、新しい国家運営体制が提案された場合には、変更の検討が必要になるかもしれませんが。

この基本的骨格を維持しながら、現実の社会情況や個人の自由・権利に関わる部分で「憲法と現実社会」に齟齬が生じているようなら、その問題点が憲法にあるのか、現実社会にあるのか、の考察が必要になるでしょう。

 

僕個人は、「憲法の骨格は維持した上で、それぞれの条文における意味と解釈を明確にした上で、条文改正の必要があるかどうか、議論するべき」なのではないか、と考えています。

 

おそらく、憲法を全般的に改正する必要がある場合というのは、かなり限られていると思います。
それは、「国家権力を制限し、国民の権利・自由を擁護する」という、「憲法の骨格を変更する」場合です。そう考えてみると、自民党の草案がこの「国家権力の制限」と「国民の権利・自由の擁護」に対して、変更を加えようとしている内容なのではないか、と受け止められるのですが、どうでしょう?

また、言葉足らずになってしまっているかも。

西日本の地震

熊本での地震、だんだんと被害の大きさが明らかになってきて、さまざまな映像も報道され、時々、5年前の地震の記憶を振り返ったりしています。

被災された方には、とにかく安全の確保と、今後の安寧を祈っています。

 

というところで、そういえば西日本での地震災害って、どのくらいあったのかな、と思ったので、理科年表(2012年版)を元に西日本(近畿以西)の地震をピックアップしてみました。

今回の地震を機に、各地の方々が「自分の土地で起こった地震」に興味を持っていただければ、とふと思ったもので。

とりあえず、戦後の西日本の主な地震として理科年表に記載されていた分をピックアップしてみました。最近→過去の順になっています。

 

< 以下 理科年表2012年版・丸善 よりの引用>

2005.03.20 福岡県西方沖:M7.0、最大震度(地上)6弱
    福島県沿岸地域の左横ずれ断層型地震

2001.03.24 安芸灘「芸予地震」:M6.7、深さ約50km
    フィリピン海プレート内部の正断層型の地震

2000.10.06 鳥取県西部地震:M7.3、震度6強
    陸域の横ずれ断層型地殻内地震

1997.05.13 鹿児島県薩摩地方:M6.4。
    最大震度6弱川内市)など

1997.03.26 鹿児島県薩摩地方:M6.6。
    最大震度5弱。余震が続いた。

1995.01.17 阪神淡路大震災 M7.3。
    活断層による直下型地震

1987.03.18 日向灘地震 M6.8。
    最大震度不明。

1975.04.21 大分県西部:M6.4。
    最大震度不明。

1975.01.23 熊本県阿蘇地方 M6.1。
    阿蘇山外輪山内にある地区に被害が集中。

1968.08.06 豊後水道:M6.6。
    詳細不明。

1968.04.01 1968年日向灘地震:M7.5。
    高知・愛媛で多大な被害。小津波あり。

1968.02.21 えびの地震鹿児島県薩摩地方:M6.1。
    2時間前にM5.7の前震、翌日にM5.6の余震。
    03.25にもM5.7とM5.4の地震あり。

1961.02.27 日向灘地震:M7.0。
    九州から中部沿岸に50cmの津波を観測。

1955.07.27 徳島県南部:M6.4。
    
1952.07.18 吉野地震奈良県地方。M6.7

1949.07.12 安芸灘:M6.2。

1948.06.15 紀伊水道:M6.7。

1947.09.27 与那国島近海:M7.4。

1946.12.21 南海地震紀伊半島沖:M8.0。
   死者1,330、家屋全壊11,591を記録。津波が静岡県から九州に来襲。

 

何かの、考えるきっかけとして、参考にしていただければ、と思います。

 

1975年の阿蘇地震の詳細は理科年表ではよくわからなかったのですが、それなりに調べると何かデータが出てくるのでしょうか。気になります。

あと、日向灘と薩摩地方、そして安芸灘の地震が度々見受けられるのが気になります。「主な地震」をピックアップした中で、複数回登場する地名ですので。

 

今夜は、とりあえずこの辺までで。

 

国会議員の定数は…

国会議員の定数削減と選挙区の再設定、各選挙区の定数の変更などが議論されています。

ところで、議員定数を削減すること自体については、どう評価されているんでしょうか。

その前に、各国の国会議員の数はどうなっているのか、ふと気になって調べてみたりして。
とりあえず、それぞれの国の国政議会に議員数と人口の比を比べてみましょうか。各国の数字は、外務省ホームページに掲載されている各国情報から抜き出してみました。

議員一人当たりの人数は、各国の数字からの計算。単純な割り算です。

  • 議員一人当たりの人口 = 人口 ÷ (上院議席+下院議席
  • 下院議員一人当たりの人口 = 人口 ÷ 下院議席

 

各国の人口、議席数、議員一人当たり人口

国名    | 人口(万人)| 上院(議席)| 下院(議席)| 議員一人当たり人口(人)| 下院議員一人当たり人口(人)
日本                     12,536      242           480                      173,629                     261,167
アメリカ              30,875      100           435                      577,102                     709,770
イギリス                6,411      779           650                        44,863                       98,603
フランス                6,633      348           577                        71,708                     114,956
ドイツ                   8,094        69           598                      121,349                      135,351
イタリア                6,080      321           630                        63,932                       96,507
カナダ                   3,599      105           338                        81,241                     106,479
オーストラリア     2,391        76           150                      105,796                     159,400
参考:フロリダ州 1,984        40           120                      124,000                     163,333

 

日本では上院、下院という呼び方はしていませんが、便宜上参議院を上院(242議席)、衆議院を下院(480議席)として表示してあります。合わせて722議席

人口を1億2536万人(2015年10月現在・総務省統計局による日本人人口総計)として、議員一人当たりの人口は、173,629人。
総選挙が行われる衆議院のみで計算すると、議員一人当たり、261,167人。これは、多いのか、少ないのか。


外国では、どうなっているのでしょうか。
もちろん政治の体制、形態は各国さまざまなので、単純な比較はできない、ということは当然の問題としてあるわけです。ですがまあ、ひとつ手を付けてみる端緒として、とりあえず数字を見てみたいと思います。

アメリカ

まずは、アメリカ。
アメリカは連邦制です。内政に関しては各州が憲法、法律を持ち、各州独自の行政・政治を行なっています。というわけで、連邦議会議席数は他の国と比較しても少なくなっています。議員数は上院・下院合わせて535議席
そんな訳で、参考データとしてフロリダ州の議員数と人口を探してみました。人口との対比で考えると、オーストラリアと近いでしょうか。


では、ヨーロッパ諸国はどうか。
これも各国それぞれの統治形態、職掌の範囲の違いなどがあるので、単純な比較はできないと思いますが、乱暴であることを承知のうえで比較してみましょう。


イギリス

日本と同じ、立憲君主制の国家です。
貴族院(上院)と庶民院(下院)の両院制で、議員数は両院合わせると1,429人という、大所帯となっています。しかも上院の方が、議員数が多くなっています。

上院に当たる貴族院は、文字通り貴族・聖職者等から構成され、公選制ではありません。国民の選挙で選ばれるのは庶民院(下院)の議員のみです。
しかも、貴族院には任期もなく(終身議員)、定数の規定はありません。779議席は2015年5月現在の数字です。この辺りは、日本と大きく異なっています。
ちなみに庶民院(下院)は小選挙区制。

フランス

フランスは共和制国家。上院と国民議会(下院)の二院制で、合わせて議席数は925議席になります。
国民議会は小選挙区制で、二回投票制。
上院は任期6年で3年毎に半数改選、という日本の参議院の同じような任期になっていますが、投票は国会議員地方議会議員による間接選挙となっているそうです。


ドイツ

ドイツは16州を持つ連邦共和制。
連邦参議院(上院)と連邦議会(下院)から構成され、合わせた議席数は667議席
ただし、連邦議会議席数は、選挙によって変動するそうです。選挙制度は「小選挙区比例代表併用制」というもので、日本の「小選挙区比例代表並立制」とは異なっています。
詳しいことは調べてみて欲しいのですが、小選挙区の得票数が比例代表の得票数を上回った時には、その超過分が「超過議席」として配分されるために、実際の議員数が多くなることが多いそうです。
2013年の選挙による超過議席は33議席あり、現在の連邦議会は631議席となっています。
上院である連邦参議院は、人数が極端に少なくなっています。それに、参議院の権限も制限があるそうです。


イタリア

イタリアは共和制。
上院、下院合わせた議席数は951議席
下院は全国単位の完全比例代表制
上院には、終身議員6名が含まれているそうで。その他の315議席については、州単位の完全比例代表制

カナダ

カナダは立憲君主制
おや、と思いましたが、国家元首エリザベス2世、ということだそうで。イギリス連邦諸国は、元首としてイギリス国王を戴き、各国へは国王の代理者として総督が派遣されているそうで。意外な事実。
イギリスに倣う形で、下院は小選挙区制、上院は「首相の助言により総督が任命」するそうで、公選制ではないのですね。両院合わせた議席は443議席

オーストラリア
オーストラリアは立憲君主・連邦制。カナダと同じく、イギリス連邦の一員です。
上院は各州・各特別地域から一定数の議員を選出。下院は小選挙区制。
上院・下院を合わせた議員数は226人。

オーストラリア

オーストラリアは立憲君主・連邦制。カナダと同じく、イギリス連邦の一員です。
上院は各州・各特別地域から一定数の議員を選出。下院は小選挙区制。
上院・下院を合わせた議員数は226人。

 

さて、多いのか少ないのか

さて、日本の国会議員数は多いのでしょうか? 少ないのでしょうか?


一覧表をざっと見渡すと、連邦制のアメリカは別として、ヨーロッパの各国はだいたい議員一人当たりの人口が10万人前後、だと言えると思います。
その数字からみると、日本の国会議員数は、人口に比べて少ない、と言えるようです。連邦制を採っているドイツと比べても少ない、と言えます。

ま、単純な数字だけで結論を出せる問題でもないのですが、「日本の国会議員数は、本当に多すぎるのか」という議員定数改正の議論の前提を、もう一度考え直したほうがいい、と思えてきています。

 

P.S. 一覧表のスプレッドシートGoogleドキュメント)へのリンクを貼っておきます。

国会議員数比較表 - Google スプレッドシート