乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

政府(首相)の任命権? 憲法15条「国民固有の権利」は行政権?

ぼんやりと考える。

日本学術会議問題、といういうのは、やはり問題点をぼやかせる言い方じゃじゃないかな、とぼんやりと思う。

問題点は「首相による任命拒否問題」であり、以前の内閣がしてこなかったことを、最高機関である国会に計ることなく決めてしまったことにある。
首相による任命拒否は、過去の政府答弁で示されていた「形式的な任命=首相(行政)の恣意的な選別の排除」を覆す行為であり、法律で独立性を保証された日本学術会議に対しての、任命権を主張することによる「学術会議の独立性に対する内閣官邸の介入行為」である、と僕は考えています。

憲法学者の木村草太氏がラジオで語っていらっしゃったが、菅首相は「憲法15条第1項に基づいて」と答弁しているが、任務拒否の行政行為は、憲法第73条第4項に抵触するのではないか、と。

憲法第73条は「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 」として、内閣の行う事務の範囲を定めていて、その中に「四  法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。」というのがあります。
行政は常に、「法律の定める基準に従」って、官吏に関する事務を掌握すること、とあります。

首相、内閣が主張する「憲法第15条第1項」による、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利です。」という条文は、公務員の選定は「国民の権利である」ことを述べているだけで、それが「内閣の権利である」とは述べていません。

おそらく菅首相は勘違いしているのかもしれないが、「国民の権利」を代弁するのは、「国民に選ばれた議員で構成する最高機関=国会」であり、行政機関の「内閣」ではない。
憲法15条1項による「公務員選定は国民固有の権利である」ことを主張するのであれば、それは国民の主権を代表する国会が出すべき結論であり、国会の承認を得ない内閣=行政府が、勝手に決めてはいけないのではないでしょうか?

「手続きの問題」は、「事務処理問題」ではないんですから。行政的手続きを踏む、ということは、それぞれの段階ごとに法律の手続きを踏み、正当な手続きを踏んだことを記録に残し、それを段階を踏んで繰り返し、最終的に全てが主権者=国民に正々堂々と開示できる、そのことを保証するものです。

手続きを疎かにすることは、どこかで国民への背信を行っているか、私的事情を介入させているか、どちらかを疑う必要があります。行政は国税=国民が支払う税金を(主な)財源として運営されています。
行政のお金の使い方には、国民が疑問を感じたら、その疑問を行政にぶつけるのは当然ですし、行政はその質問に答える義務があります。地方行政でも、国政でも同じです。

「首相の任命拒否問題」(あえてそう呼びます)でも、問題は一つです。

「前例を踏襲しない判断」は、首相、あるいは首相官邸独自の判断でできるのか?
その判断は、国民の選ぶ議員で構成する「国の最高機関」の国会での承認を、どのような根拠で回避できるのか?
国会で説明しない、と答える首相は、国会議員を選んだ国民に対しても「説明しない」と、宣言していることになるのではないか?

 

「国会に説明しない」というのは、「国会議員を選んだ国民への説明もしない」と言っているのに等しい、と思いますけど。