乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-04 サンマリノ


 3週間ぶりのF1。「やっぱり、ヨーロッパに戻ってくるとレースが落ち着くなあ」と思ったのは僕だけでしょうか。中東からアジア、オセアニアとヨーロッパでは気候も環境も違い、そうしたことがレースにも間接的な影響を与えているのかもしれません。……去年もそんなことを思ったりした覚えが。
 場所はイモラ、フェラーリのお膝元。放送でも言ってましたが、セナが命を落としたのもここだったんですな。今回もレース初っぱなに井出のマシンと接触したアルバースのマシンが砂の上を転がる大クラッシュ。命に別状なさそうだったのが、何より。


 気温26度、路面温度37度。……初夏、ですな(笑)。
 この3週間のブランクは、FerrariとHondaにとって吉と出たようで。ポールと2列目を2チームで独占した決勝レース。フォーメーションラップのスタートで一瞬バトンのマシンが走り出さないシーンが映し出され、「おや」と思ったりもしたのですが。


 スタート早々のアルバースのクラッシュには、ちょっとヒヤリとさせられました。後方から詰めてきた井出選手のフロントタイヤに跳ね上げられるようにして横転、部品を撒き散らしながら底面を上にして止まったシーンでは、ドライバーの姿がよく確認できなかったので吃驚しましたが。それでも救急車が出動する事態には至らなかったようで、ひとまずは、ひと安心。


 ポールから順調に飛ばし、後続を引き離しにかかるミハイル・シューマッハに対し、マッサのFerrariマシンに前を押さえられた格好のアロンソ。最初のピットインを終えてからはあれよあれよという間にミハイルに追いついて見せるなど、ルノーマシンの仕上がりは決して悪くありませんでした。
 それにポールを獲得したとは言え、ミハイルのマシンが抜きん出て速くなった訳でもないようですし。抜きどころが殆どないコースで、それでもチャンスを窺い続けていたアロンソでしたが、残り3周というところでコーナーリングに小さなミスが出てしまい、ミハイルにPole to Winを許す結果になってしまいました。


 何といっても場所はイモラ、コースの名前に「フェラーリ」が付く、まさに「故郷」。周囲はフェラーリファンの山また山(笑)。そうした状況がフェラーリの背中を押したとも言えるでしょうし、またそうしたファンに応えるために、フェラーリのスタッフがこれまでにも増して頑張りを見せた結果だった、とも言えるのかもしれません。
 おそらくマシン性能だけを見れば、ルノーの方がまだ勝っているのかもしれません。しかし、レースはレース。記録会でもなければ性能試験でもありません。マシン性能は然ることながら、そのマシンを操るドライバー、マシンとドライバーをチェッカーフラッグまで導くためのスタッフの力、そうしたものがないまぜになった「チーム力」と、そしてまた「このレース」という「1回限りのプレイ」が齎す結果が、F1の結果でもあります。
 マシンコントロールのちょっとしたミスが1,2秒の差になるのなら、30周近くを1秒以内の差で走り続けた今回のミハイルとフェルナンドの場合、もしもミハイルの側に一瞬のコントロールミスがあれば、チェッカーフラッグはフェルナンドが受けていたのかもしれません。
 それほどに微細な差しかなかった、そんな印象を受けました。
 それにしてもミハイル、延々と続くバトルの中でミスを見せない、完璧なドライブを見せてくれました。やはりさすが、としか言いようがありません。最後までお互い気の抜けないレースを戦ったミハイルとアロンソ、新旧の王者の対決、今後も続きそうです。


 しかし、テレビ放送では目立ちませんでしたが、地道にポイントを重ねているのがマクラーレン。不運なリタイアもありますが、毎回ポイントを重ね、バーレーンとオーストラリアではライコネンが、そして今回はモントーヤが表彰台。ミハイルのアロンソのチャンピオン争いばかりが強調されていますが、なかなか油断のできない位置に付けています。昨年と同様、これからその力を発揮してくるなら、とても不気味な存在だと言えます。


 決勝グリッド2番手、3番手を手に入れ、確実にトップを狙えるマシンを仕上げてきたHondaチーム、こちらも頑張りました。が。
 フォーメーションラップでのバトンのマシンの挙動は何でもなかったようでしたが。
 軽いミハイルのマシンに引き離されながらも、2位をキープしていたバトン、今回はピット作業のトラブルに泣きました。1回目はタイヤ交換にもたつき、2回目は給油ホースのリグが外れる前にロリポップマンがロリポップを上げてしまい、給油ホースのリグを付けたまま発進してしまうトラブル。
 3週間のブランクは、マシンを仕上げるのに充分な時間を費やすことができたのは確かでしょうが、その分ピット作業の本番にもそれだけのブランクを齎してしまった、ということなのでしょうか。
 バトンにとっては残念な結果となりましたが、マシン、そしてレース自体は手応えのあるものになってきた気がします。もうFerrariRenaultとも互角に渡り合えるマシンになってきた、と感じます。あとは、やはりチームとしての総合力でしょうか。FerrariRenaultの両チームに比べて経験が足らないのははっきりとした事実です。今回のトラブルを克服していくことで、Hondaチームはさらにトップを狙って歩を進めていくことができると、期待してしまいます。


 さて、我が(笑)ルーベンス・バリチェロ
 なんか、久しぶりに前方でのスタートシーンを見たような気がする(笑)。しかしスタートで4番手・5番手のマッサ、アロンソにあっさり抜かれてしまったのは残念。もしかしたら、もしかしたらですが、フォーメーションラップでのバトンのトラブルが、本番ではルーベンスの方に出てしまったのかもしれませんが(Web記事では何も触れられてませんが)。
 その後誰よりも早く入った給油のためのピットインで15秒もかかってしまい、あえなく順位を落とすことに。原因はルーベンス用の給油ホースのノズルが破損していて、慌ててバトン用のノズルと交換したためだったようです。その後はブレーキにトラブルを抱えながらのレースだったようで、
 なかなか、マシンと「しっくりいかない」感じをまだまだ受けますが、それでもマシンとの「馴染み具合」はだんだんと良くなっている感じ。テレビを見ていて、今はまだ白いマシンに乗るルーベンスの姿に若干の違和感が残っているように感じますが、これも徐々に解消していくのではないでしょうか。などと、バトンとHondaマシンの「馴染み具合」と比べながら思ったり。
 もう少し「ルーベンスのHondaマシン」が仕上がってくれば、おそらく白いマシンに乗るルーベンスの姿もしっくりして来るような気がします。その姿を、楽しみにしたいと思います。