乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-17 日本


1週間前には台風が日本に接近するかも、しないかも(笑)みたいな状況で、「大丈夫か?」などと密かに心配していたのですが、台風ふたつと低気圧ひとつが合体して猛烈な低気圧となって東日本を撫で切りにしていったこの数日間がウソのような快晴の天気になった、鈴鹿
来年から日本グランプリ富士スピードウェイに変わる、ということで鈴鹿でのF1グランプリもしばらくは見られない、ということになりそうだとのことで。ミハイル・シューマッハ鈴鹿・ラストランが鈴鹿グランプリの見納めと重なることになりました。


さて、決勝レース。
気温24度、路面温度29度は快適なコンディションと言えるかもしれませんが、金曜・土曜と台風と秋雨前線の影響で大きく変わる天気と強い風の中のフリー走行・予選となったようです。すみません、見てませんが(笑)。
という訳で、予選とはまた違ったコンディションとなった決勝レース、何やら波乱があるのかも、などと一瞬思ってしまいましたが、しかし……。


フェラーリトヨタルノー、ホンダと先頭から綺麗に2台ずつ並んでの決勝レース。こんなに綺麗に並んだ隊列も珍しいですが。第1コーナーへ飛び込む直前(?)でルーベンス・バリチェロのマシンが誰かと接触したらしく、フロントウィングを破損するアクシデントがあった以外は大きなトラブルもなく(バリチェロもノーズを交換して最後尾で復帰)、20周目までは全マシンがコース上でレースを続ける、とてもスマートなレース展開だったのですが。


21周目のあれには吃驚。誰かとの接触が伝えられたわけでもなく、単独で走行している最中に右リアのドライブシャフトが破損、リアウィングが丸ごと吹き飛んでしまうという大きなマシンクラッシュになってしまい、コース上に部品を撒き散らしてしまうことに。
どうやらセイフティカーを導入することなく、レースを続けながらコースに散らばった部品は片づけられたようで、このアクシデントが他のアクシデントを引き起こす、ということはなかったようですが、それにしても結構危険な状態だったのではないでしょうか。


それにしても、ミハイル・シューマッハ
やはり今日のレースでも、前回見せた「軽さ」は健在だったように見えました。予選こそマッサにトップを譲り、3周目に入るホームストレートでマッサを躱してトップに立つと、その後は安定したスピードを見せてトップを維持。ピットインしてもトップでコースに復帰し、激しく追い上げようとするアロンソを抑え続けて、トップを快走していたのですが。
37周目、ピットインを終えてコースに戻ったミハイルのマシンから、突然白煙が。
スローダウンし、マシンを止めるためにコースを外れようとした、ミハイルのマシンを後ろから追い抜いて行ったのは、青いマシンに乗ったフェルナンド・アロンソ
「チャンピオンになって引退したい」とインタビューで語ったミハイルにとって、残り2戦は相手がリタイアしても自分がリタイアできないことは、誰よりも判っていたことでしょう。だからこその、前回と今回で見せた「軽みを感じる走り」なのでしょうが、それはエンジンにかなりの負荷をかけてのことだった、ということでしょうか。
フェラーリマシンもまた、「コンスタントに」「ポイント圏内で」「完走できる」トップクラスのマシンであることは確かです。ルノーのマシンもまた、この条件をクリアし続けているマシンですが。今回ミハイルのマシンに起こったことは、まるでイタリアグランプリでアロンソを襲ったトラブルの再現を見るようでした。その心中を本当に察することは、本人以外にはできないことでしょう。


そのミハイルに起こったアクシデントを、フェルナンド・アロンソはどんな気持ちで見たのでしょうか。これも本人にしか、判らないことかもしれません。
今回は気合いの入ったトヨタのマシンに先を行かれ、決勝では3列目からのスタート。フェラーリマシンの好調さは目の当たりにしているでしょうし、「皇帝」の怖さもまた、アロンソは身をもって知っているでしょう。「まずは表彰台を」とレース前のインタビューで語ったアロンソは、それを踏まえてのことだったのではないか、と思います。
そう言いながらも、レースが始まってしまえば勝つことだけしか考えないアロンソ。何度かブレーキミスやコースを外すような動きを見せたのも、一刻も早くミハイルの背中を捉えようとするアロンソの気持ちが招いたことだと感じました。時は天下分目(ちょっと違)、年間チャンピオンシップをめぐって、この日本グランプリをどう戦うかが、チャンピオンシップをどう手に入れるか、という戦いの主戦場であることには違いないのですから。
そのアロンソがミハイルのマシンの白煙を見て何を考えたか。それもまた本人にしか判らないことでしょうが、チャンピオンシップへ一歩近づいたという確信でしょうか、それとも、お互いコース上に留まった上でミハイルを打ち負かすことができなかったという残念な気分でしょうか。


そして、ホンダ。
お互い4列目からのスタートとなった2台、ですが、スタート直後に明暗が分かれることになりました。
ジェンソン・バトンはスタート周回で6位へジャンプアップ。その後調子のいいフィジケラルノーマシンに抜かれるシーンもありましたが、他のマシンとは少しピットインのタイミングをずらし、力強い走りを見せながら堂々の4位完走。


一方、我が(笑)ルーベンス・バリチェロ
スタート直後にハイドフェルド接触してしまったようで(ルーベンスはインタビューで「また」と言ってますが)、フロントノーズを壊してしまい、早々にノーズ交換のためにピットインする羽目に。戻ったところは最後尾。遅いマシンの後ろでなかなかオーバーテイクができず、高峰に沈んだレースを展開することに。
その後はじわりじわりと順位を上げ、最終的には12位で完走。マシンの好調具合から見れば残念な結果となりましたが、それでもしっかりと走ってくれました。


やはりまだまだ、フェラーリルノーのマシンと比べると、ある「重さ」のようなものが感じられ、前を走るルノーフェラーリのマシンに追いつき追い越すのはまだまだ難しいのかな、という印象も受けましたが、それでもしっかり走れるだけのマシンになってきたような感触もあります。今はまだ前を走るマシンの後塵を拝する形となっていますが「コンスタントに」「ポイント圏内で」「完走する」レースができているのは確かで、こうしたレースを続けていくことが大切なことなのではないか、などと思ったりもします。


いよいよ、2週間後は今年最後のF1レース。それぞれのチームがどういう形で今年のシーズンを締めくくるのか、楽しみに待ちたいと思います。