乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-16 中国


F1・中国グランプリ。
気温22度、路面温度24度はかなり低い、と言ってもいいでしょう。同じようなコンディションで行われた予選もまた、雨の中で予期せぬ結果を招きました。
言ってしまえばブリジストンの持ち込んだウェットタイヤの想定範囲を外した雨。びしょ濡れのコースでマシンの力を支えることができず、ブリジストンタイヤ勢はミハイル・シューマッハを除いて全員が後方グリッドに固まることになってしまいました。ブリジストンがどうのよりも、こんなにびしょ濡れなコースもなかなか見られるものではありません(笑)。
しかしそんな中でもそれなりの性能を見せたミシュランタイヤ。ミシュランタイヤのクオリティがどのようなものか僕は詳しく知らないのですが、今回はブリジストンタイヤの繊細な部分が裏目に出てしまったような印象です。別に根拠はないですが(笑)。一方ミシュランタイヤにとっては、少々の環境の悪化など堪えないようなタフな、あるいはラフな(笑)性質があるのかもしれません。それが時には、昨年のアメリカグランプリのような事態を齎すのですが(笑)。


という訳で、アジア特有といっていいでしょう、湿潤な気候の中で始まった上海での中国グランプリ。雨は止んだというものの、またいつ降り出すのか、路面が乾くのにどれぐらいかかるか、その中でタイヤ交換でどのタイプのタイヤ(ドライか、ウェットか)を選択するか、チームにとってもドライバーにとっても難しく、困難なレースの幕が開きました。
最初のピットインでドライに交換した山本左近選手、ロズベルグ選手らはコースをグリップしきれないドライタイヤに四苦八苦、スリップやコースアウトを繰り返しながらウェットタイヤへ再度交換する羽目に。
高温多湿な大陸東岸の気候。これがレースの行方に大きな影響を齎したのではないか、と思ったりもしますが。


とにもかくにも、決勝レース。
幅の広い、最新のコースでのバトルは、抜きつ抜かれつの派手なレース展開になりました。そのレースを制したのは、引退を表明しながら元気一杯のミハイル・シューマッハでした。

予選のコンディションに苦しむブリジストン勢の中でただ1人上位のポジションを獲得し、軽快な走りを見せてトップチームのマシンをあれよあれよと抜いていってしまい、気がつけばトップ快走という、「カッ飛び」振り(笑)。


スタート直後でライコネンに抜かれたバリチェロを8周目で抜き、13周目にはバトンを抜き、30周目でスピードダウンしたアロンソを抜いて2位へ。さらに2回目のピットインでドライタイヤに履き替え、ピットを出たばかりでまだスピードに乗らないフィジケラをインからずばりと抜き去ってしまいました。これが全部コース上で、というのですから、まさにミハイルにとっては痛快この上ないレースだったかと。ミハイルファンにとっては、まさに喝采もののレースだったのではないでしょうか。
引退の記者会見から最初の決勝レースとなった今回の上海グランプリ。ミハイルの走りには、これまでにない「軽さ」のようなものが感じられました。引退を宣言することで、やはり自身の中で大きな「何か」が吹っ切れたような、そんな印象です。「皇帝」とあだ名されるように、彼の走りには常に、ある「重さ」のようなものがあった気がします。しかし今回の走りでは、トップドライバーとしての「重み」を持ちながら、「カッ飛んで」いくような「軽み」もまた同時に備えていた、という感じでしょうか。
表彰台で両腕を突き上げて喜びを表現するミハイルの姿には、何か「初々しさ」のようなものも感じてしまいました。


そんなミハイルに、最後猛追をかけながら届かなかったアロンソ。前半は順調に周回を重ね、そして終盤でもドライタイヤに履き替えてフィジケラを追い散らし、ミハイルの背中が見えるところまで追いつめながら、結局及ばず2位。
中盤でミハイルに先を生かせることになってしまったスピードダウンについては、「フロントタイヤが悪くなったので交換したが、それがまずかった」とのことで、なかなか乾ききらないコース状態が、タイヤを交換しないフィジケラやミハイルに先に行かれる状態を作ってしまった、とのこと。
さらに痛かったのは、2回目のピットイン作業でタイヤ交換にアクシデントが生じ、19秒というピットストップを余儀なくされたこと。本当に、「これが無ければ」と思いたくなるようなアクシデントでしょうが、しかしそれもまたレース。しかし「これが無ければ」終盤でミハイルとアロンソのガチンコ対決になっていたかもしれないと考えると、見ているだけのこちらもまた「惜しいものを見逃した」心境(笑)。


そんなこんなで、前半はディフェンディングチャンピオンとして快調な滑り出しを見せたアロンソ、中盤から勢いを増してきたミハイルが、ここへきて同ポイント数(勝利数ではミハイルが1勝リード)で並ぶということになってしまいました。そしてこの帰趨が決まるのは、来週の日本グランプリ
いやあ、なんなんでしょ、このドラマチックな展開は(笑)。リアルとは思えん(笑)。


そして、グリッド2列目で仲良く並んで決勝を迎えたHondaの、2台のマシン。悪天候の予選できっちりと結果を出してきたあたり、Hondaチームの底力が上がってきた、という証しでしょうか。
スタート直後こそライコネンに抜かれたりミハイルに抜かれたりして順位を落とすシーンもありましたが、その後はポジションを守って「ガッチリと」走りきった、という感じでしょうか。Hondaマシンには安定感と力強さが増してきたように感じます。
今回はミハイルにブチ抜かれてしまいましたが、これはまあ、今回のミハイルの「カッ飛び」振りは、それこそ誰にも止められなかったわけで(笑)。やはりHondaのふたりのドライバーの間でも、ジェンソン・バトン選手の方がマシンとの「しっくり加減」が勝っていたように感じました。まあ、バリチェロを追いかけて思わずスピンしてしまい、デ・ラ・ロサに抜かれてしまうという「若さ」も披露してましたけど(笑)。


一方、我が(笑)、ルーベンスバリチェロ
相変わらずスタートダッシュで出遅れながらも(笑)、こちらも終盤までガッチリとした走りを見せてくれました。……まあ、バトンと比べると、まだもう少しマシンとの「なじみ具合」が不足している感は否めませんが、このあたりはバリチェロ=Hondaマシンのカップリングが、まだ発展途上にある、ということではないかと思います。不運にも最終周でバックマーカー絡みのアクシデントでマシンを接触させてしまうという事態もありましたが、6位でフィニッシュすることができました。


Hondaのマシンもここへきて、コンスタントにポイント圏内で完走できるだけの力を発揮し始めた、と受け取ってもいいのではないか、と思いますが。この「コンスタントに」「ポイント圏内で」「完走できる」力というのは、トップチームと呼ばれるチームには必要不可欠な要素ではないかと思います。これはマシンだけではなく、ドライバーだけではなく、スタッフだけではなく、スタッフひとりひとりの力の総合としての「チームの力」によるものだと思いますし、これを持続することが、表彰台への道を開く「力」になるのではないか、と思いました。
ここからが、トップチームへの険しい道の始まりです。「運」や「天候」といった要素までも自分の有利に引きつけるような「チーム力」。フェラーリルノーが持ち合わせて、Hondaが持ち合わせないもの。
それを獲得するための試練は、まだまだ続きますし、その獲得をこそ、Hondaに期待したいと思います。


とまあ、思いはいろいろありますが、とりあえずは、今度の日曜日(笑)。