乱反射の光跡 in hatenablog

なみへいのブログです。hatenablogヴァージョン。

F1-2006-06 スペイン

 東京はじめじめ、ぐずぐずした天気が続いてますが、バルセロナは気温28度、晴天のもとでの決勝レースとなりました。路面温度は開始時点で38度。


 今日の主役は、なんと言ってもフェルナンド・アロンソでしょう。母国グランプリでポールポジションとあれば、イヤでも期待は高まります。
 決勝のグリッドで最前列に並んだのは青いマシンが2台。その後ろに並んだ赤い2台とのガチンコバトルは、まだまだ終わりません。
 スタート直後の第1コーナーへの飛び込みで2台揃って後ろを抑えての1、2番キープは見事でした。その後も3位以下をフィジケラが抑える中、ひとりかっ飛んでいったのは、アロンソ(笑)。
 フィジケラの後ろで責めあぐねていたミハイル・シューマッハフィジケラのピットインの後責めに責め、どうにか自分のピットインからの復帰で辛うじてフィジケラの前に。さあこれからアロンソを追撃、と考えたでしょうが、……全く追いつけませんでした(笑)。
 安定度は抜群のルノーマシン。もちろんスピードもトップレベルなのですが、今回のアロンソは一味違った、そんな印象を受けました。


 相手の出方に応じてピット戦略を柔軟に組み立てていくのは、ミハイルの十八番(オハコ)。
 今回もアロンソに追いつくために、ミハイルは必死の努力をしたのでしょうが。それでもアロンソには追いつくどころか、逆に僅かずつ引き離される有り様。
 実際のタイムを見れば、ふたりの差はコンマ何秒という、ほぼ互角の闘い。ですが、何というかその「走り」の印象は大きく違いました。
 今回、ルノーブルーに染まったスタンドがアロンソを燃え立たせたのでしょうか。ふたりの速さはさほど変わらないのに、アロンソの「走り」には鬼気迫るものを感じたりしました。まさに「鬼のような」走り、というか何というか(笑)。
 もちろんミハイルも必死で追いすがろうとしたのでしょうけれど、そのミハイルの必死の追走をコンマ数秒ずつ上回ったアロンソの走り。これにはやはりスタンドの応援という「後押し」もあったでしょう。本人の「母国グランプリで」という決意もあったでしょう。何か今回のアロンソの走りには、「速さ」だけではない、別の「強さ」を感じたりもしました。
 それはアロンソ自身の「母国グランプリでトップチェッカーを」という決意でもあるでしょうし、その決意を受け止めたルノーチームの「決意」だったのかもしれません。そうしたチームとしての「心の強さ」が、今回の「速さ」を生んだのではないか、そんな印象を受けてしまいました。


 そして今回の注目は、両者のチームドライバーである、フィジケラとマッサ。
 同じチームとしてアロンソとミハイルの影に霞んでしまいがちなふたりですが、今回はふたり共々上位でレースを展開し、トップチームのドライバーとしての存在感を日増しに増してきているようです。
 ジャンカルロ・フィジケラは時としてアロンソを凌ぐ速さを見せつけるドライバーであり、優勝も経験しているドライバーですから、こういう言い方はかえって失礼なのかもしれませんが。マッサもまた前々回は4位、前回では表彰台と、ようやくフェラーリのマシンパワーに馴染んできた感があります。これまで結果だけを見れば、アロンソやミハイルの後塵を期してきたふたりですが、同じマシンを駆るドライバーとして、ただの「セカンドドライバーではない」ところを見せ始めてきたように思います。彼らが実力を発揮することで、さらにチームのレース戦略の選択肢が広がり、さらに緻密なストラテジーが要求されることになるでしょう。
 そうした「チーム戦略」の争いもまた、今後のF1レースの楽しみになっていくかもしれません。


 そして、ライコネンもまた。
 スタート直後のルノーフェラーリチームのライン争いの中で、外側にマシンを振って9番手から5位に躍り出たパフォーマンスは、さすが。
 今回のアロンソの「鬼の走り」(笑)はともかくとして、走り出せばそれなりのポジションにつけてくるライコネンの姿は、やはり不気味と言うか何というか(笑)。
 マレーシア以外では必ず5位以内で完走し、表彰台にも乗っているライコネンの存在は、テレビ放送では感じ取れないまでも、その秘めた力は誰もが感じているようです。力強さを増してきたルノーフェラーリのマシンに闘いを挑み、相応の結果を出し続けているライコネンの走りは、見ている者以上に一緒にコースを走っているドライバーが感じているのではないか、などと思ってしまいます。
 そう、ライコネンて、玄人受けする走りをするドライバーなのではないかと(笑)。


 片や惜しまれるのは、TOYOTAチーム。
 8,9位のランデブー走行を続けてきたチームメイト、ラルフ・シューマッハヤルノ・トゥルーリがまさかの接触フロントウィングを壊したラルフは気を取り直してレースを続けましたが、33周目に電気系のトラブルでリタイア。トゥルーリの方は10位で完走。
 上位へのジャンプアップを目指しながら、こうしたトラブルで思ったような結果を得られないのは、スタッフにとってもドライバーにとってもつらいことでしょう。
 前回「期待したい」と書いたばかりですが、TOYOTAチームについてはチームの力が非力というよりは、やはり「不運に見舞われる」シーンが記憶に残ります。大荒れのオーストラリアグランプリで表彰台をゲットしたように、トラブルなく完走させられればそこそこのポイントをゲットできるような気がするだけに、残念なことです。
 ある意味、昨年のHondaがそうだったように、今年のTOYOTAも「試練の年」なのかもしれません。この試練の年をどう乗り越えていくか、それが試されているかのようです。


 そして、今季初、ダブルでポイントゲットとなったHondaチーム。
 ルーベンス・バリチェロ5番手、ジェンソン・バトン8番手とふたりして好位置からのスタートでした。が……。
 スタート直後、バリチェロルノーフェラーリ、4台の主導権争いに前方を塞がれてしまい、その隙に外へマシンを振ったライコネンに前に行かれてしまうことに。インへ振ったバトンはトゥルーリをかわして7番手に順位を上げ、6,7位に2台並んでの序盤になりました。
 その後は何とか(?)順調に周回を重ねて6位バトン、7位バリチェロと続いてのフィニッシュ。
 先週「安定的に不安定」と書いたばかり(笑)のHondaマシンですが、今回はそうした印象は受けませんでした。今回「鬼の走り」アロンソは別にして(笑)も、トップチームと比べれば「速さ」はまだまだ感じ取れないのですが、それでも「安定して不安定」という印象はそろそろ拭えてきているような気がします。この辺はスタッフの「必死の努力」が、見ている者にとっては「僅かな印象の違い」として感じ取れるだけで、おそらくテレビ放送を見ているだけでは汲み取れないさまざまな努力が払われているのでしょうが。
 それでも一朝一夕に「トップを張れるマシン」はなかなか作ることができない、F1マシンの奥深さでしょうか。ここからはマシンだけではなく、ドライバーも一緒になっての「速さ」の追求になっていくのでしょう。


 そして、我が(笑)ルーベンス・バリチェロ
 スタートでライコネンにあっさり先行されるなど、スタートダッシュのもたつき加減は何というか、「相変わらず」な感じでしたが(笑)、その後はマシンの挙動に悩まされながらのポイント圏内走行、フィニッシュには何はともあれ胸をなで下ろしました(笑)。
 マシンとドライバーのドライビングセンスの摺り合わせという点では、まだバトンの方にアドヴァンスがあるので、今期の結果も致し方ない感じはしますが、それでも徐々にルーベンスのドライビング・スタイルとマシン・セッティングの「摺り合わせ」が進んでいるような感触を抱いています。予選と決勝では走り方が違うとは言え、予選の成績が決勝にも反映してくるような、そんなところへ徐々に近づいてきているような気がします。
 今年の後半、あるいは来年になってしまうのかもしれませんが、そんな頃にはHondaマシンに馴染んだルーベンスの走りが見られるような、そんな予感も感じさせる今回のレースでした。
 いまの段階ではまだあれこれ「探りながら」のレースは続くでしょう。しかしどこかで、「これがルーベンス仕様のHondaマシン」というものに出会えるでしょう。その時、彼はバトンと並んで上位チームに食い込みを見せることができるのではないか、などという期待を抱いたりもしています。
 何はともあれ、これからの1戦1戦でルーベンスがどんな走りになっていくか、見守りたいと思います。


 次回は年に1度の「公道F1」、モナコグランプリ。楽しみ、楽しみ(笑)。